日本橋丸善(元の本店。今はオアゾ内の丸の内店が本店なのですね)で開催されていた”いせひでこ「ルリユールおじさん」絵本原画展”を見てきました。
名作と言われている本作。水彩でやさしくかつダイナミックに描かれた一枚絵の数々を、じっくり堪能。ご本人がちょうどいらしていたようで、ドキドキ。
作・絵: いせひでこ
出版社: 理論社
税込価格: ¥1,680(本体価格:¥1,600)
発行日: 2006年09月
ISBN: 9784652040508
絵も素晴らしいけれど、やはり本作のテーマとなっている「ルリユール」という職業にとても惹かれます。
主人公のソフィーは、大切にしていた植物図鑑が壊れてしまったので、直せないかと街中を探しまわります。お母さんにですら「新しいのを買ってあげるから」と言われても、「この本がいいの」と「本のお医者さん」を探すソフィー。そしてついにルリユールおじさんと出会います。
古い本をほどいて閉じ直し、新しい表紙を着け、最後に金文字でタイトルを入れる。そんな手仕事の出来る後継者も今は減っているのだそう。
読むのは面白い本じゃないと嫌なんですが、面白くなくていいから、美しい本は手元に置いておきたい、などとよく思ってしまうわたし。若い頃は装丁買いもよくしましたっけ。音楽好きの方はよくジャケ買いなんてしますよね。
それだけに美しく本をよみがえらせてくれる魔法使いのようなルリユールさんに心底憧れます。
今もお父さんに言われた事を思い出しながら、ひとつひとつ丁寧に作業をするおじさん。原画では、おじさんの骨張った手がたくさん描かれていて、その手が何よりおじさんの仕事の確かさを物語っていると思うのです。
本を直す休憩中に、おじさんに大好きな木の話をしてあげるソフィーもとっても素敵。何度も読み返したくなる素晴らしい絵本なのですが、原画もやっぱり素晴らしかったです。