華やかなうつわたち -伊万里・鍋島・柿右衛門-

050205nedu_museum.jpg根津美術館で2/13まで開催されていた「華やかなうつわたち」を見てきました。

2/5(土)は学芸員さんによる解説があるというので、それを目的に、ひとり休日の表参道から南青山へ。以下、解説で聞いたことを、まとめておきたいと思います。

※画像注:チラシがなかったので、ポスターの写真を撮ってきました(^^;
   

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今回展示されていたものは、山本さんと言うコレクターの方のコレクションで、タイル製造の勉強のために、こうした古い陶磁器を収集なさっていたとか。この方のタイルは、セントレア(中部国際空港)で話題の愛知県常滑市にある「世界のタイル博物館」で見ることができるのだそうです。この博物館に関しては、聞いたことはあったのですが、まだ行ったことがないので、今度帰省するときにでも、セントレアのついでに足を伸ばしてみようかと思いました。

もともと根津美術館には、肥前の焼き物は少なかったのだそうです。というのも、山本氏が収集始めた頃には、これらの磁器は、普段使いの食器として、使用されていて、コレクションとしての価値は認められていなかったそうです。これらの磁器の収集が始まったのは、大正時代にさかのぼることができますが、とてもマニアックな方に限られていて、本格的に収集が盛んになったのは、戦後で、進駐軍の影響に寄るところが大きく、山本氏が収集を始めたのもちょうどこの頃。1650〜1660年代に作られ、本来は輸出用に作られたものの中で、日本に残っていたもの、海外に輸出後に買い付けられて、日本に戻ってきたものを中心に集められました。彼は、バブル期の1990年頃まで収集を続け、以後はタイルに転向します。

肥前の焼き物(いわゆる古伊万里)の輸出が始まったのは、1640年代頃だと言われています。初期のものはろくろで作られていたのですが、ろくろ一台につき税金がかかるようになり、何とかろくろを使わずに、生成ができないものかを知恵を絞った結果、ひも作りが考えだされました。1660年頃には技術が安定し、職人はみな、同じものを作ることができるようになりました。時は元禄文化華やかなりし頃。ハレの日を彩る日本人好みの中国風や京風の絵付けのなされた華やかなものが、盛んに作られるようになります。

伊万里が全部が全くの手描きで、自由に伸び伸びと描かれているのに対して、鍋島は、あたりをつけ、転写を使用し、型通りに丁寧に描かれているのが特徴です。伊万里はセットでも少しずつ絵柄が違うため、バラバラになっても使いやすいのですが、鍋島は、大名などに献上されたということもあり、セットで残っているものが多いのだそうです。

確かに鍋島は、本当に美しく精魂込めて作られているという感じで、表だけでなく、裏側まで丁寧に絵付けがされています。また、釉薬もよいものを使われているので、素地が美しく、青磁も非常に美しいのが特徴です。そうした贅を尽くしたものを、大名は、10枚、20枚というセットで買い付けたのだそうです。

もちろん、そうした陶磁器は、大切に使われていたということもあるのでしょうが、この地震大国日本で、これほどの数の磁器が残っているということに関しては、日本人の風習が強く影響しています。欧米人にとっては、磁器は使用するものであると同時に、室内を飾るものでもありました。しかし、日本人は、季節ごとに使う食器を変えたり、大名などの奥方の意向で「今日はあれ」と指定されたものを、女中が出してきて使用する、ということがほとんどだったので、普段は大切に箱に入れてしまわれていました。そのお陰で、我々は当時の素晴らしい作品を目にすることができるのです。それを聞いて、食器をしまってしまおうと思ったのは、わたしだけではないはずだ(笑)

作品数はあまり多くなかったものの、ひげ剃りに使ったものや、日本の磁器をコンポート風にアレンジされたものなど、いろいろ面白いものが見られました。正直¥1000は高いかな?と感じたけど、この立地で管理するのには、莫大な費用がかかるのでしょうね。休日ということもあり、ものすごい人で、なかなかお話が聞き取りにくい部分もあったのが、少し残念でした。


                  


050205nedu_museum2.jpg
根津美術館で『華やかなうつわたち』を見たのは2時過ぎ。
学芸員さんのお話がその時間から始まったので、それに合わせて行ったのですが
休日で起きるのが遅かったので、お昼を食べ損ねてしまいました。

それで、見終わってから、庭園内に併設されているカフェで遅いランチ・・・のつもりが
もう4時を過ぎていて、できるのは地鶏卵を使ったフレンチトーストだけということ。
でも、トッピングが日替わりというのも楽しみで、それにしてみました。
それがね、とーってもおいしかったのでした。
自分で作るフレンチトーストとは、全然違うし(わたしが下手なだけかもしれないけど)
トッピングも、チョコレートソースとアイスとバナナと手前のあずきの豪華な組み合わせ。

このカフェ、美術館での展覧会を利用しないと入ることができないとあります。
というのもきっと、庭園のみの利用も禁止しているためで、このカフェに入って
そのままお庭も見ちゃったり・・・ということが多かったのかな。
でも別に、チケットを見せないと入れないということはありませんでした。

050205nedu_museum3.jpg
門から見た美術館。
お庭も、もっと違う季節にくると、いろいろ楽しめるかもしれません。
次は春に来てみたいなぁ。


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