映画『ヘルタースケルター』(ネタばれあり)

昨年の話題作『ヘルタースケルター』を見た。想像以上によかったと思うのだが、世間の低評価に驚いた。とりあえず「アンチ沢尻」と「アンチ蜷川」なんだろうなぁ。私はどちらも好きでも嫌いでもないというか・・・

沢尻エリカの性格がどうとかいうけれど、そんなの関係ないんじゃないの?彼女の仕事は女優なのだから。女優として才能があればそれでいいわけで。もちろん、現場での軋轢とか、人間関係のもろもろで、はずされて去っていくということはあるのかもしれないけれど、それを乗り越えたなら、あとはいい作品を作れればそれでよいわけで。

とにかく圧倒的な美しさ。エリカさまも映像もとにかく美しく、まがまがしいほどのド派手さでも、それが映画の世界観とぴったりで、違和感なく楽しめたと思う。いわゆる「ガールズムービー」という感じの、ただただおしゃれを羅列したものとは違い、消費されていく美というものをきちんと表現して、小物一つも吟味された素晴らしい世界だったと思うのだ。



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ただ一つ言えるのは、蜷川実花も言うように、この役をやれたのは沢尻エリカ以外あり得なかった。演技力も肝の据わったところも、そして外見的にも。アンドロイドかと思うほどの圧倒的な美貌。けれど、脱いでみると、意外に細すぎず、程よい肉付きが心地よかった。たとえそれが人工的な美でも、天然の美でも、美しかったものがほろんでいく様は恐怖だし、痛ましい。

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今は圧倒的な美貌を持つエリカさまですら、それを失う日のことは考えるだろうし、作中でも、生まれながらの美貌を持つことから、美に執着しないこずえですら「私たちは欲望処理装置なのだ」と悟って見せる。

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最終的には、杏ちゃん演じる、検事の助手(?)の「なぜ神は最初に、美と若さを与えて、それから奪うんでしょうか」という疑問に答える検事の「その二つはイコールではないからだ。若さは美ではあるけど、美は若さだけではない、もっと奥深いものだ」という言葉が、ひとつの答えなんだけど・・・

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この検事のセリフ回しはどうにかならんかったものか。女社長の桃井かおりや、ドMなマネージャーの寺島しのぶがもう完璧!だっただけに、この人のセリフはひたすら浮いたわー。杏ちゃんからも「それは何かのポエムですか?」と突っ込まれてましたが。

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もうとにかく、寺島しのぶがすごすぎた。ええーなんでこの人この役引き受けちゃったの?って何度も言い合ってしまった。そりゃ、美人ではないけれど、梨園のお嬢様に生まれて、女優としても大成して、人にかしずかれることはあっても、踏みつけにされたことなんかないだろうに。とにかく、ブスで、りりこに翻弄されいたぶられる役に徹底していた。目の前で彼氏とりりこが関係を持ったり、りりこの陰部を舐めさせられたり、命令されて犯罪にまで手を染めて。

ただ、マネージャーがりりこの整形の件をリークした目的が読めない。最後に同じ店で働いていたところをみると、彼女はりりこと運命を共にしたので、リークもりりこを救うためだったのかも?と思える。ならば、ポストに投函するときのあの薄笑いは何?それに、警察の事情聴取に答えてるのも矛盾するよねぇ。窪塚くんの役もはまり役だったけど、最後は最低でしたが、そんな中、オカマのメイクのきんちゃんの言葉が救いだったかな。

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