【映画】『きみに読む物語』
とにかく泣ける映画と言うことで、一度見たかった映画。大泣きしてしまいました。
二日間で5本の映画を見たんですが、その中で、いわゆる「名作」とか「大作」と呼ばれるものは、コレだけなのだと思います。そういう意味で安心して見られる映画です。
この先は、ネタばれになるので、これからこの映画をご覧になる方は
見ないでくださいね。
女性って、別れた男のことなど、ケロッと忘れて、特に次の相手がいれば、全然平気だったりするたくましさがあると思うんですが、そういった意味で、このヒロイン・アリーは、とっても女性らしい。
ひと夏の恋を過ごした相手・ノアと別れてロンと出会うと、アリーは、あっさりノアのことは忘れて婚約してしまいます。
ノアのほうは、アリーと別れてから、彼女に手紙を書き続けます。手紙はアリーの母に阻まれて、彼女に届くことはなく、お互いにそれを知らずに、相手の心変わりだと思いこみます。
それでもノアは、戦地に行って帰還したあとも、偶然彼女がほかの男と一緒にいるところを見かけても、彼女だけを一途に思い続けていました。
ところが、運命のいたずらで、ノアの偉業を新聞で知ったアリー。結婚式を数日後に控え、彼女は会いに行ってしまいます。
手紙の誤解が解け、互いにまだ愛し合ってることを確認した二人。
そこでノアはすごいのです。
朝早くに、ボートで向かった先は、アヒルがいっぱいの池。(ここでもちろん、私は大興奮!!)そして翌朝アリーが目覚めると、彼女の夢見たアトリエが用意されていました。
お金持ちには決してできない方法で、愛を示すノア。こういう「貧乏青年VSお金持ち青年」の図式は、どこかタイタニック的だなぁと思います。
そしてそこで、アリーの母親登場。ここでの母は、今までの母とは違います。
母は、ノアの働く材木置き場にアリーを連れて行きます。そこで、自分の過去の恋の話と、過去の恋人をアリーに見せます。
「いつも今の幸せを思うわ。お父様と結婚して本当に幸せだった。あなたには、ある日目覚めて後悔してほしくないの」
そう言って、母はアリーにノアからの手紙の束を渡します。
母の嘘の下手さに、涙が出て止まりませんでした。アリーの父親は、悪い人ではなく、母は不幸ではなかった。けれど、ある朝目覚めて、何度も後悔したのでしょう。やっぱり、苦労しても、本当に好きな人と結婚したかったと。
最後に婚約者に会いに行くアリー。ここでも往生際の悪い彼女は、彼にこう言います。
「彼を愛してるけど、あなたのことも愛してる。まるで自分が二人いるみたいなの」
私は思うのですが、同時に同じ深さで別の人を愛するなんて、そんな器用なことは、人はできないと思うのです。
どちらも選べないと思った時点で、アリーはよりノアを愛していたのでしょう。そしてそのことを悟ったロンは「きみには僕だけの君でいてほしい」と言って、3つの選択を自分に与えます。
「彼を殺す」「彼を殴る」「きみと別れる」
「どれを選択しても、きみを失うことになるんだ」彼のこの言葉の後、場面は切り替わり、アリーはノアを選んだということになっていますが、ロンがアリーを送り出してくれたんですよね。あっぱれ。なんていい男。タイタニックと違って、敵のロンがいい男なだけに切ない。
こんなにいい男二人に愛されたアリーは幸せモノです。
けれど、愛していない女には男は残酷ですね。関係のあった未亡人に対するノアの態度はちょっとがっかり。まぁ、それもわかってて、の関係だったのかもしれませんが。彼女が道を進めることができたのは、アリーのおかげ。それはそれでよかったのかも。
そして、最初から予測できていたことではありますが、冒頭に出てくる認知症の女性はアリー。ノアとのことも、二人の間の子供たちのことも忘れてしまった彼女に、ノアは、二人の物語を読んで聞かせます。
あんなに愛し合ったことも、あんなに幸せだった日々も、全て忘れてしまうなんて、目の前にいるのに、まるで他人のような顔をしているなんて、なんて残酷なこと。
けれど、ノアが読み聞かせているノートは、実はアリーが書いたものでした。アリーが、ノアとの生活に満足し、後悔することがなかった、そのことを、そのノートが示していました。
ときどき戻ってくるアリー。
最後に記憶が戻ったそのときに、二人眠りについたまま
息を引き取る二人。
永遠の愛の奇跡。
二人の死をもって終わる物語なのに、ハッピーエンドなのは、二人が死の瞬間まで、変わらずに愛し合った、というその事実があるからなのでしょう。
アリー、なんて幸せな女性なんでしょうね。
冒頭でノアが言う
「自分は平凡な人生を過ごしたが、ただ一人の女性を命をかけて愛し抜いた。そのことだけで、十分だ」
という言葉こそ、愛の真実なのではないかと思うのです。
きみに読む物語
The Notebook
監督 ニック・カサヴェテス
製作総指揮 トビー・エメリッヒ
アヴラム・ブッチ・カプラン
製作 マーク・ジョンソン
リン・ハリス
脚本 ジャン・サルディ
ジェレミー・レヴェン
出演者
ライアン・ゴズリング:ノア・カルフーン
レイチェル・マクアダムス:アリー・ハミルトン
ジーナ・ローランズ:認知症の女性患者
ジェームズ・ガーナー:デューク
サム・シェパード:フランク(ノアの父)
ジョアン・アレン:アン(アリーの母)
ジェームズ・マースデン:ロン
ケヴィン・コナリー:フィン
ヘザー・ウォールクィスト:サラ
デヴィット・ソーントン:ジョン(アリーの父)
ジェミー・ブラウン:マーサ
スターレッタ・デュポワ:エスター(看護師)
音楽 アーロン・ジグマン
撮影 ロバート・フラッセ
編集 アラン・ハイム
配給 アメリカ合衆国: ニュー・ライン・シネマ
日本: ギャガ=ヒューマックス
公開 アメリカ合衆国 2004年6 月25日
日本 2005年2 月5日
上映時間 123分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $29,000,000[1]
興行収入 $81,001,787[1] アメリカ合衆国
$115,603,229[1] 世界
2008年5月にアメリカの映画専門サイトMovieFoneが発表した
「Sexiest Movie Couples of All Time(歴代映画のセクシーな
カップル)」において、ライアン・ゴズリングの演じたノアと
レイチェル・マクアダムスの演じたアリーのカップルが第18位に
ランクインした。また、2005年度のMTVムービー・アワードでは
「ベスト・キス」に選ばれた。
同じ監督のこの作品もぜひ見たい。