【映画】『コールド・マウンテン』
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』のジュード・ロウにしびれたので、彼の出世作と言うべきこの作品も見てみました。
南北戦争をテーマにした大作と言うことで、『風と共に去りぬ』とよく比較されていますが、『風〜』を見たのは10代の頃なので、今比較はできないなぁ。もう一度見てみようかな、と思いました。『風〜』の原作は、2回読んだんですけどね。
物語の主題は、ニコール扮するエイダと、ジュード扮するインマンの恋愛物語。
たった一度キスを交わしただけの二人が、なんとかもう一度、相手に会いたいと思いを募らせて、お嬢さん育ちだったエイダが、流れ者のルビーの助けを借りて、たくましくなっていくさま、エイダに会うために脱走兵になったインマンの苦難の道のりを中心に描かれています。
ジュード見たさに見た映画ですが、確かに彼はかっこいいし、ニコールは美しいですが、彼ら二人にはあまり心を打つシーンが少ないかなぁ?と言うのが正直な感想。もちろん主役の二人が再会できたところも、最後のシーンも、思わす泣いてしまったし、感動はできるのですが、それよりも、この映画の見るべき点は、ほかにあると思うのです。
この映画には、悪い奴がいっぱい出てきます。けれど、この映画で一番言いたいのはきっと、悪い奴もいいやつも、戦争の中で、生き延びようと必死だと言うこと。
途中、助けてくれたと思った相手に裏切られるシーンが出てきますが、彼らとて、もともとはごく普通に暮らしていた善人だったのに、自分たちが生きるためには、そうするしかなかったのでしょう。
すべては戦争が悪いのだ、とこの映画は言っています。
ナタリー・ポートマン扮する乳飲み子を抱えた未亡人
神など信じないと言いきる船渡しの少女
脱走した息子たちをかくまう隣人家族の悲劇
主人公のインマンとて、脱走兵ですから、大手を振って歩ける身分ではありません。なんかイマイチ心に響かないのは、たぶん、そこが引っ掛かってるんですね。
インマンは、自分の前でスカートをまくりあげる女を前にしても、未亡人に同じベッドで眠ってくれと言われても、エイダに操を立てて、決して手を出そうとしません。略奪とも無縁、敵を倒す時もすぐには殺そうとはしないし、エイダに再会した時も、汚れてしまった自分を恥じるような、そんな清廉潔白な人間です。
それなのに、あんなに簡単に脱走してしまうのが、なんだか不思議でならないのです。
重傷を負って、この先死んでしまうくらいなら、罪を犯しても会いたい・・・・彼をそんな気持ちに駆り立てるほどの愛。そういうことなのでしょうか。うーん。
そんなわけで、主人公の二人にはイマイチ共感できませんが、この映画の見所は、なんと言っても流れ者のルビー。エイダに生きるすべを教えるたくましい女性を、レネー・ゼルウィガーが生き生きと演じています。
彼女だけが賞を取りまくったのも納得です。
最後に、記憶の中の『風〜』と比較すると、『風〜』がまるっきり南部側の白人上流社会から南北戦争を描いてるのに対して、この映画は、南部側から描きながらも、南部寄りではなく描かれているのが、よいところかなぁと思いました。
この映画で
「この死んでゆく兵士たちは、何のために死ぬのか?
黒人奴隷を持つ農園主のために死んでゆくのではないのか」
と語られるシーンが、今現在の南北戦争への評価と言えるのではないでしょうか。
南部の兵士は10人にひとりも帰ってこないと言う言葉が出て来て、『風〜』のスカーレットの取り巻きの兄弟は亡くなったけど、レットもアシュレイも生きてるのは、なんだか不自然だなぁ、なんて急に思ったりしたのでした。
そうそう、『風〜』公開後、世界は実際に第二次世界大戦に突入して、レット・バトラー役のクラーク・ゲイブルは、軍隊に入り、ヨーロッパ戦線に出撃したものの無事帰還。一方、アシュレイ役のレスリー・ハワードは兵士の慰問に訪れる途中で誤撃され死亡(映画公開から4年後)。
なんだかそれも皮肉なものだなぁと思ったのでした。
同じ南北戦争を描きながらも、『コールド・マウンテン』が、反戦映画であるのに対して『風と共に去りぬ』は、黒人奴隷社会への追憶映画という決定的違いがあるので、比較するのは、ちょっと違うのかなぁ?とも思うのでした。
形式: Color, Dolby, DTS Stereo, Widescreen
言語 英語, 日本語
字幕: 日本語, 英語
リージョンコード: リージョン2
画面サイズ: 2.35:1
ディスク枚数: 2
販売元: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
DVD発売日: 2004/09/15
時間: 155 分
おすすめ度: ★★★★☆ 4.1 (27件のカスタマーレビュー)
内容紹介
豪華キャストにジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、
レニー・ゼルウィガーを迎え、巨匠アンソニー・ミンゲラ監督が
描いた戦禍に巻き込まれた愛を壮大なスケールで描いた感動の
ドラマ巨編。特典ディスク付きの2枚組コレクターズ・エディション。
【特典映像】
《Disc: 1》
●アンソニー・ミンゲラ(監督)とウォルター・マーチ(編集)に
よる音声解説
《Disc: 2》
●メイキング・オブ「コールド・マウンテン」(約70分)
●コールドマウンテンへの旅(約28分)
●言葉と音楽でつづる「コールドマウンテン」(約93分)
●未公開シーン(約21分)
●教会での合唱(約4分)
●ストーリーボードと完成版の比較(約11分)
《監督・脚本》 アンソニー・ミンゲラ
《製作》 シドニー・ポラック、ウィリアム・ホーバーグ、アルバート・
バーガー、ロン・イェルザ
《編集》 ウォルター・マーチ、A.C.E
《出演》 ジュード・ロウ ニコール・キッドマン レニー・ゼルウィガー
ドナルド・サザーランド ナタリー・ポートマン フィリップ・シーモア・
ホフマン
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南北戦争末期の1864年。南軍兵士のインマンは、愛するエイダを置いて
戦場に出る。重傷を負ったインマンは、脱走兵としてエイダの待つ
コールド・マウンテンへの果てしない旅に出ることを決意。
一方、彼を待ち続けるエイダは、たくましさを身につけていく。
ニコール・キッドマン、ジュード・ロウという美男美女が演じる、
壮大なラブロマンス。
たった一度の口づけで、おたがいを運命の人だと確信する主人公のふたり。
戦況が悪化するなか、もう一度だけ会いたいと願う強い気持ち。
ロマンチックなテーマが全編に貫かれるなか、ふたりがさまざまな局面で
出会う人物が、物語にスパイスを与えていく。とくに、エイダに生きる
術を教える流れ者の女ルビー役のレニー・ゼルウィガーと、インマンを
かくまう未亡人役のナタリー・ポートマンが強烈な印象。
ルーマニアでのロケを含む雄大な映像美や、血なまぐさい戦闘シーンと
いった大作としてのスケール感や風格をキープしながら、ラブシーンは
官能的にみせるなど、ツボを得た演出はアンソニー・ミンゲラ監督の
手腕だ。(斉藤博昭)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
アンソニー・ミンゲラ監督がジュード・ロウ他、豪華キャストを配し、
戦渦に巻き込まれた運命的な愛を壮大なスケールで描いた感動巨編。
南北戦争末期、瀕死の重傷を負った兵士・インマンと、彼の帰りを
待ち続ける恋人・エイダの一途な愛の物語。2枚組。
内容(「Oricon」データベースより)
ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガーほか
豪華キャスト共演の感動のドラマ巨編。激動の戦渦に巻き込まれた
運命的な愛を、巨匠アンソニー・ミンゲラ監督が壮大なスケールで
描きあげている。
コールド マウンテン
Cold Mountain
監督 アンソニー・ミンゲラ
製作総指揮 ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン 他
製作 ルバート・バーガー
ウィリアム・ホーバーグ
シドニー・ポラック
ロン・イェルザ
脚本 アンソニー・ミンゲラ
出演者
ジュード・ロウ(インマン)
ニコール・キッドマン(エイダ・モンロー)
レネー・ゼルウィガー(ルビー)
ドナルド・サザーランド(リヴェレッド・モンロー)
フィリップ・シーモア・ホフマン(ヴィージー)
ジョバンニ・リビシ(ジュニア)
ブレンダン・グリーソン(スタブロッド)
レイ・ウィンストン(ティーグ)
アイリーン・アトキンス(マディ)
ナタリー・ポートマン(サラ)
キャシー・ベイカー(サリー・スワンガー)
ジェームズ・ギャモン(エスコー・スワンガー)
イーサン・サプリー(パングル)
ジェナ・マローン(渡し舟の少女)
ジャック・ホワイト(ジョージア)
メローラ・ウォルターズ(ライラ)
ルーカス・ブラック(オークリー)
キリアン・マーフィ バードルフ
音楽 ガブリエル・ヤレド
撮影 ジョン・シール
編集 ウォルター・マーチ
配給 ミラマックス(アメリカ合衆国)
東宝東和(日本)
公開 2003年12月25日(アメリカ合衆国)
2004年4月24日(日本)
上映時間 154分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $79,000,000
興行収入 $95,636,509(アメリカ合衆国)
$173,013,509(全世界)