
| まずは下絵を描きます。スタビロ鉛筆と呼ばれる専用の鉛筆を使用します。これは焼成時に消えてしまいます。もっと手の込んだものになると、やはり専用のカーボン紙を使用して、下絵を写すこともありますが、これは単純な絵柄なので、ラフで描いてみました。 |

| 下絵に色を入れたところです。絵の具は鉱物などでできた顔料ですので、焼成によって化学変化をします。特にマロンと呼ばれる濃いローズ色や紫は、焼成前にはこんなくすんだ色をしています。この色は顔料に金が含まれるので、非常に高価な絵の具でもあります。 |

| 一度目の焼成が終わりました。きれいなローズ色が出てくれています。まだ絵の中に色が入った程度ですので、こんなに薄くても大丈夫。むしろ、濃く描きすぎると取り返しがつかないので、最初は薄く描き始めるほうが失敗が少ないのです。 |

| 次に線描きと呼ばれる作業をします。細い線で葉脈や花の芯などを入れていくのは、とても骨の折れる作業です。また、影も少しずつ入れていきます。ここまで来ると、だいぶ花らしくなってきました。 |

| 2度目の焼成が終わりました。もっと小さな小花だと2回程度で完成しますが、この花にはもう少しメリハリと葉の影などが必要です。もっと大きな花はもっと何度も焼き重ねることもあります。 |

| 花と葉に影を入れて、金彩を施しました。取手部分のこげ茶っぽいのがそうです。金は純度によって値段が違ってきます。これは40%のマット金で、一番高価な部類に入ります。ブライト金といって、磨かなくても光るものは安価ですが、やはり高価なものに比べると輝きの質が劣ります。 ※このカップは二客作ったのですが、ここからカップの片割れのほうになってしまったようです。一客一客花の形が違うのも、手書きならではの味わいです。 |

| 3度目の焼成が終わりました。これで完成です。チャイナペイントには他に盛り金やレリーフなどの様々な技法があります。これは一番初歩的なテクニックだけで作ることのできる作品です。 |

| マット金は焼いたままですと、まったく光らないのですが、専用の金磨きやすりや、金磨き砂で丁寧に磨くことで、非常に美しい輝きを引き出すことが出来ます。 さぁ、これでいつでもお茶の時間にデビューが可能です。 |
| 作成期間 2002年2月〜4月 |