『アカペラ』山本文緒

2013.04.08 Monday 23:16
陽菜ひよ子


そこに、物語のもう一人の語り部の担任教師・蟹江(カニータ)とその彼女とか
タマコが年をサバ読んでバイトしてる古着屋の元ヤンの社長・姥山とか
いろいろからまって、うんうんとうなずきながら読んでしまった。

家ではDVなのに、外では被害者みたいにふるまう母親にゲゲーッという感じで
DVされるトモゾウさんと何かを重なり合わせてしまう私なのだった。
それにしても最後は切ない。これが表面化して事件になったら、心のケアとか
イロイロ言われるような事例だけど、きっとタマコはたくましく、雄々しく
生きて行くんだろうと思う。「タマや」と呼ぶおじいちゃんを看取ってからも。

『ソリチュード』
イケメンだが、誰もが認めるダメ男の春一(はるいち)が、父の死をきっかけに
20年ぶりに帰った故郷で、年老いた母や、かつての恋人の美緒やその娘の一花(いっか)
悪友の武藤などとの交流を通じて、「スナフキンごっこ」をしている自分を自覚する。
「オレはいつでも旅に出ますよって顔で、でもずっとムーミン谷のはしっこで
ギター弾いてるニートな男」
そう言えば、今の私たちだってそんなものなんじゃないかって思ったけど
昨日この本を読みながら、彼は私に楽しい話をしてくれた。
未来がパーっと明るくなるような話。
スナフキンは、ごっこじゃなくなる。
いずれは旅をしながら暮らしていきたいと思う。
もっと年をとったら、そんな風には思わなくなるんだろうか。そうかもしれないけど。
そういえば、主人公と元恋人の美緒は、いとこ同士だからと仲を裂かれたのだが
同じ二つ違いのいとこ同士でも、彼と秋に結婚したあの子とは全然違うねーと笑いあった。

『ネロリ』
ネロリとはアロマオイルの名前。催淫作用があるらしい。
50歳になる姉・志保子と、39歳の弟の日出男は寄り添うように暮らしている。
日出男は絶望的に体が弱く、食事も生活も精神的にも管理した生活を送らねばならず
一度も働いたことがない。
そんな中、姉の志保子はリストラされることになり、ほぼ時期を同じくして
一回り年下の須賀からプロポーズされる。
結局、須賀とは結婚せず、どうにか姉弟二人での生活を模索してるところで
この二人の話は終わるのだが、その後、この物語のもう一人の語り部である

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