落花流水/山本文緒

2008.01.16 Wednesday 13:15
陽菜ひよ子の名刺や販促グッズ


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山本作品は、思い返してみれば、短篇の中には、コミカルでユーモアを保ったまま終わるものはあるものの、長編のほとんどは後味が悪く、やりきれない救いのないものが多い。(その最たるものが『恋愛中毒』『ブルーもしくはブルー』である)

奔放な母親が17歳のときに産んだ娘が主人公・手毬。彼女は7歳までは、祖父母を実の両親だと信じて育ち、その後、姉だと思っていた人が実の母親だと聞かされる。その生い立ちからして複雑だが、物語はとんでもない方向へ行ってしまう。

物語は手毬が7歳ではじまり、17歳・27歳・37歳・47歳・57歳・67歳まで、10年刻みに進んで行く。17歳・37歳・57歳は手毬自身の言葉で語られているが、7歳は手毬の幼なじみのマーティル、27歳は母親の律子、47歳は弟の正弘、67歳は娘の姫乃によって語られる。

奔放な母親の律子は、生涯を通じて奔放で、最後に登場する84歳において、20代の男にかしづかれて暮らしていると言うたくましさ。すでに40代になろうとしている孫娘にも現役の女の匂いを感じさせるのだから、あっぱれというか、実に見事な生き方だと思う。

それに対して娘の手毬は、7歳まではわがまま放題に育つものの、その後は母親とのどん底の生活がはじまり、17歳の母の再婚で立派な義父と出逢い、(手毬は密かに父親を愛するようになる)27歳で結婚と母親の蒸発、37歳で幼なじみと駆け落ち、47歳では新たな家庭を作っているものの、57歳になる頃には、マーティルと別れ、その後再々婚した夫とも死に別れ、ボランティアをしながら一人で生活。67歳になる頃には、アルツアイマーで駆けつけた母親と娘の顔も分からなくなっている。すごい人生だと思う。

三度も結婚し、二人の娘を産み(マーティルとの間にグミという娘もいる)子どもの頃には成績もよく、ちゃんとした大学も出て、家事も得意でも、流されてばかりの人生に、幸せは訪れないのだと言う見本かも。人はやはり能動的に好きになって、パッと花のように散る方がいい。かといって、恋多き女性で奔放な律子が幸せかと言うとそれも微妙で、84歳で20代の男の心をとらえ続ける大変さを最後ににじませる。

地味で恋なんて無縁だった手毬が三度も結婚し、母親に捨てられた自分が同じように娘を捨ててしまうのも、因果はめぐると言うか、血は争えないと言うべきか。さらに娘の姫乃は、芸能界をめざし成功しかかるが、父親の自殺で人生を狂わされ、若い男の子を肉体の魅力でスカウトしてタレントとして売り出すと言う仕事を40歳になっても続けている。

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