落花流水/山本文緒

2008.01.16 Wednesday 13:15
陽菜ひよ子の名刺や販促グッズ



律子も手毬も夫を捨てているが、姫乃は未婚でありながら、自分を思い続ける叔父(血は繋がっていない)の正弘が重くて逃げ出してしまう。マジメで実直な男の愛情を重苦しく感じるのが、この家の女たちの業なのかも。そういえば、語り手に男性が出てきたのは唯一正弘だけである(注:マーティルもである)。そして、その中で彼に「この男は女に捨てられた事などないのだろう、いつも自分が捨てる立場なのだ」と言わしめられるマーティルは、やがて手毬を捨てて去って行く。また律子も手毬の実父には捨てられている。律子と手毬に捨てられた夫たちは最後まで語る言葉を持たない。そもそも読者は彼らになど興味はないからかもしれない。

平気で娘を、夫を捨てられる気持を言うのはどんなものなのだろうと、そんなややこしい事柄とは無縁な世の中のほとんどの人(最近はそうでもないか)は気になってページをめくる。

一見まるでちょっと散歩にでも行くように家族を捨てる律子や、マーティルに誘拐された姫乃と引き換えに、正弘に差し出されてしまう手毬、(警察に連絡すれば、駆け落ちなどしなくても済んだのだ)どちらも我が子と別れる事で胸が張り裂けそうに痛んだりと言った感情とは一見無縁に何と言う事なく家族を捨ててしまう。しかし、捨てられた方は、心から憎む事が出来ず、最後はボケてしまった手毬を中心に、再び家族のような結びつきが出来てゆく。もう家族なんかじゃないのに、と思いながらも、そこには、捨てる事の出来ない親子の情というものも感じさせる。

うーん。手毬と律子。究極、どちらのように生きたいだろうか。37歳の手毬はすでにおばさんで、何となく生涯を通じて実年齢より老けて見えていそうだ。エイジレスをめざすわたしは、やはり律子の方向で生きていきたいものである。めざせ、80代で現役!(笑)


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