生誕100年記念 ダリ回顧展
2006.11.21 Tuesday 00:06
陽菜ひよ子の名刺や販促グッズ
特にラストの絵の前での、ダリの友人の言葉が響きました。
「ピカソは画家でしかなかったけれど、ダリは画家であり、作家であり、映画監督であり、ありとあらゆる芸術家であった。その意味でピカソの先を行く」
そんな意味だったと思います。
それよりなにより、ピカソが自分自身の恋愛を芸術に昇華させた結果、相手の女性を翻弄して、不幸のそこに突き落とす、というようなことを繰り返したのに対し、ダリは若き日に出会った年上の人妻を奪い取りはしたものの、生涯をかけてただひとりのミューズとして愛し続けたことが素敵だと思いました。
彼女の死後、彼は絵が描けなくなり、後を追うように亡くなってしまいます。
ダリが終生大切にしていたモチーフが、そこかしこに登場して、解説が加えられていたのが面白かったです。パン、アリ、タマゴ、あとは・・・なんだっけ?パンのモチーフは、ダリ美術館の外壁いっぱいに貼付けられたほどお気に入りだったようです。
彼は独特の美意識や審美眼を持っていましたが、人をある特定の人と見分けるために、一番大切な要素は「肌の質感」だとしていたというのは、興味深かったです。
それから特筆すべきは彼の絵の技術的な完成度の高さです。シュールリアリズムの不可思議な世界が、違和感無く成立し、どこか不可思議ながらも説得力があるのはすべて、彼の卓越したデッザン力、描写力の賜物。
ルネッサンスに大いなる影響を受け、リスペクトした作品を多く残していますが、ここまで見事に描ききれば、もはやアカデミックな筋からも文句は言われないでしょう。
そしてとても勉強家でもありました。
精神世界(フロイト・ユングなど)をモチーフにした作品群は、有名ですが、後半は科学の分野でも独自の研究と解釈を重ね、核をモチーフにした作品も残しています。
独特のパフォーマンスで、自分自身を演出することも忘れず、舞台や映画にも積極的に取り組んだ彼は真の意味での総合芸術家だと言えるでしょう。
同じく20世紀を生きた偉大な芸術家ピカソと比較することは愚なことかもしれません。
その世界の追求を絵画のみに求めたピカソも別の意味で偉大ですが、我々の世代とも重なるダリの生きた時代が求めていた芸術家は、まさにダリのような多方面から自分や自分の作品を演出できる芸術家であったと言えるのではないでしょうか。
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