このブログにしては珍しく、会期中のお届けです。
とはいえ、会期は来週末までですので、興味のある方はお急ぎを!
この展覧会、実はこのチラシを見ただけでは、あまり食指が動かなかったんですね。あんまりアカデミックな絵に興味がないもので。んでも、フジタの自画像があると知り、それだけで行ってしまったひよこ夫婦。行ってよかったです!
この展示、サブタイトルが−巨匠たちの「秘めた素顔」1664-2010−となってるように、中世から今年にかけての作品が展示されてるんですね。だからカテゴリに困ってしまい、間を取って「近代絵画」に入れてしまいましたが、本当は「モダンアート」に入れたいくらい。
なぜなら、今回のこの展示を記念して、新たに日本人の現代芸術家3名の自画像が、コレクションに加えられることになったんです。まだの方は、行ってのお楽しみに、とっておかれてもよいかと思いますが、ココでは最後に発表しちゃいますね。
たくさんの自画像を見ていると、画家の心の中まで見ることができるようで、また一枚一枚に、きちんとその画家の当時の背景なども開設されていたり、普段の作品もプリントながら添えられていたりして、とっても親切でわかりやすい!!
とってもよい内容の展示だったと思います。
ところで、私が食指の動かなかったポスターの画家は、ル・ブラン。マリー・アントワネットお気に入りの宮廷画家として有名な彼女ですが、革命勃発後すぐにパリを抜け出し、各国宮廷に歓待され、すでに牢につながれたアントワネットの肖像を描いてるこの絵は、革命後に描かれたモノなのだそう。
当時のトスカーナ公は、アントワネットの実兄だったそうですが、えーと、そういうの、何も感じなかったんでしょうか?
「ベルサイユのばら」に、妊娠中のル・ブランが落とした絵の具をアントワネットが拾うというシーンが出てきます。恐縮する彼女に、まだ子供のいない王妃が、妊婦である彼女を気遣いつつ、うらやむ、というその場面、実話ではないかもしれませんが、当時、高貴な女性が女性が外で働くことは許されなかった時代に、才能を認められて宮廷画家として華々しく活躍して、後世に名を残し、妻として母としても幸福であったと思われる彼女は、王妃に比べれば、本当に幸せな女性だったと思わずにはいられません。
と思ったら、wikiにこんな記述が。
>画家としては名声を博したが、夫は賭博好きであり
一人娘も長じてから素行が悪かったなど、家庭的には恵まれなかった。
・・・うーむ。
そのル・ブランは、研究熱心な画家だったようで、ルネッサンスの画家の絵を見て、独自に薄い色を塗り重ねて透明感を出すという手法などを学んだのだそう。
髪をまとめる薄い布や、レースなど、素晴らしい技法です。大きな彼女の絵の前には人だかりができていました。
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
しかし私が素晴らしいと思ったのは、大家・アングル。黒いジャケットに黒いコート、そして白いシャツにサテンのネクタイ。ほとんどが黒なのに、きっちりと描き分けられた質感に脱帽です。
モーリス・ドニ
個人的に好きだと思ったのはドニ。実際の絵はこの数倍色彩できれいで魅力的です。
ジョルジョ・デ・キリコ
形而上絵画派の中心的人物で、不条理な世界を描いて人気のキリコのこんな自画像が見られたのもラッキーな感じ。
マルク・シャガール
シャガールの絵には鶏がよく登場しますが、コレは故国ロシアをあらわしているそうですね。初めて知りました。やっぱり好きです。
マリー・ルイーズ・ド・ギール・ベルエンストラーレ
もう笑うしかない。最高です。女性と言うのに驚きです。
これの布バッグが売ってましたが、かなり欲しかったです。
さて、最後になりました。
今回加えられた日本人芸術家3名とは
草間彌生
横尾忠則
杉本博司
この3名の自画像が今回の展示の大目玉!トリを飾ってます。必見です!!特に横尾さんはいつもながら最高です!!
美術館公式ページ
【特別展】
ウフィツィ美術館自画像コレクション
−巨匠たちの「秘めた素顔」1664-2010−
当館では2005年から3回にわたり、魅力あふれるイタリア美術の展覧会を開催してまいりました。
今回はルネサンス芸術を生んだ「花の都」フィレンツェから、その核心ともいうべきウフィツィ美術館の
所蔵する「自画像コレクション」を日本で初めてご紹介いたします。
ヴァティカンのサン・ピエトロ広場を設計したベルニーニ、マリー・アントワネットの肖像画家ル・ブラン
輝くような美女を描いたアングルからシャガール、未来派まで、近代ヨーロッパ最古の美術館ならではの
伝統と革新性をあわせもつラインナップで約60名の素顔を一堂に展示。
この秋は、華やかな活動のかげに秘められた芸術家たちの思いにふれてみませんか。
ヴァザーリの回廊
観光客でにぎわうフィレンツェの名所、ポンテ・ヴェッキオ。じつは、人々の頭上に静かな回廊が通っており
「自画像コレクション」の展示スペースとなっています。
しかし、一般公開されず予約見学制であるため、その存在はあまり知られていません。
回廊の設計者は、ウフィツィの建築もてがけた画家・建築家のジョルジュ・ヴァザーリ。
注文主である初代トスカーナ大公コジモ1世・デ・メディチは、オーストリアやスペイン、フランスが強大な
中央集権国家として台頭した16世紀に、建築や美術に力を入れることによって、諸宮廷にフィレンツェの
存在感を高めようとしました。
自画像コレクション
1664年に「自画像コレクション」を創始したトスカーナ大公の弟レオポルド・デ・メディチは、自画像が
芸術家のスタイル・芸術館・世界観・自意識などのすべてを内包していると考えました。
以後、代々の統治者の努力によって「自画像コレクション」は西洋美術家の総カタログともいうべき
コレクションに成長。
まさに「美術家の殿堂」として、各国の目をフィレンツェに向けさせる文化戦略の象徴となりました。
現在も続けられる収集活動の結果、コレクション総点数は1,700点以上に達しています。
それぞれの美術家が自己申告した相貌とじっくり対話していくうちに、芸術の都フィレンツェの歴史と
400年以上にわたる西洋美術の広がりが見えてくる展覧会です。
開催概要
会 期 2010年9月11日(土)〜11月14日(日)
月曜定休 ただし9月20日、10月11日は開館
※10月1日(金)はお客様感謝デー無料観覧日
会 場
損保ジャパン東郷青児美術館
〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1
損保ジャパン本社ビル42階
開館時間 午前10時から午後6時まで、金曜日は午後8時まで
※入場は閉館の30分前まで
料 金 一般1000(800)円
大学・高校生600(500)円 ※受付で学生証をご提示ください。
シルバー〈65歳以上〉800円
中学生以下無料 ※中学生の方は受付で生徒手帳をご提示ください。
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
※前売り券はチケットぴあ、ローソン等でお求め下さい(8月28日発売)。
主 催 損保ジャパン東郷青児美術館、朝日新聞社
協 賛 損保ジャパン
後 援 イタリア大使館、イタリア文化会館
協 力 東京大学美術史学研究室、アルテリア、ヤマトロジスティクス、
日本貨物航空、アートプランニング レイ
音声ガイド
500円(税込)(制作:能登印刷)
解説作品23点、所要時間約40分
常設展示コーナー
ゴッホ《ひまわり》
セザンヌ《りんごとナプキン》
ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》
東郷青児、グランマ・モーゼス