【映画】『ブーリン家の姉妹』
最初の頃は、ジョニデの出る映画ばっか見ていたり、「ジュード様を見る〜〜〜」とか騒いで見ていたりしていたのですが、映画を毎週数本見ていると、割と同じ役者さんにぶち当たる。
『ショコラ』で優等生な娘&厳しい母親役を演じていたキャリー=アン・モスが、メメント』では一転して薬の売人の女で、気性の激しい悪女役に扮していたり。(一番有名なのはマトリックスでしょうが)
売れっ子さんがたまたま、ということもあるのでしょうが、そうでもなくても当たるのは、我々の嗜好のベクトルと、その役者さんの出演作品の傾向が似てるのでしょうかね。
そんなわけで、最近見た映画によく登場するのが、ナタリー・ポートマン。
上でジュードサマ目当てに見た『マイ・ブルーベリー・ナイツ』とか『コールド・マウンテン』では、どちらも印象的な役で、前者はきれいだったねー。後者はかわいかったねー、とか言っていたら、どちらもナタリー。
なかなかカメレオンな役者さんだね、と言いつつ次は、『リバティーン』のときに宣言したこの映画。いよいよ、ナタリー、主役です。
前置きが長くなりましたが、この映画はおもしろかったです。
なんといっても、ナタリーの壮絶ともいえる演技が光りますが、対称的に描かれる妹のメアリー役のスカーレット・ヨハンソンもいいです。
最初のうちは、メアリーのほうはぼうっとした感じで、なんかあんまり魅力を感じなくて、むしろ、不遇なアン(ナタリー)がかわいそうで、同情的に見ていたんですが、だんだんメアリーのほうに感情移入してきて、ここまでされても、まだ姉に優しくできるこの人はすごい!!と。
だから、ヘンリー8世も、姉のアンは邪魔だったのもあるけれど、だんだん仲も悪くなっていて、処刑までしてしまったのに、メアリーのことは、信頼していたのかな、と思いました。
ヘンリー8世の行動は、単に好色なのか、世継ぎを得るために必死だったのか、悩むところですが、それにしても、せっかく男の子を生んだのに、すでにアンに気持ちの移っていた王が、メアリーと生まれた子を無視して立ち去る場面は、思わず「人でなし!!」と思ったのでしたが、その後の3人の王妃も、似たり寄ったりで(3人目はお産がもとで死去、4人目は容貌が気に入らず結婚を無効にし、5人目はアンと同じく処刑)。。。
しかも、ヘンリー8世は、史上最初に梅毒で亡くなった国王だそうで、(3人目以降の王妃が流産や死産を繰り返したのもそのせいだと言われ、3人目の王妃の産んだ男子は、のちに即位するけど、先天性梅毒で、15歳くらいで亡くなっている)なんなんだと思いますが、国民には今も意外と人気のある国王なのだそうで、すごく博識で教養のある王さまだったそうなんですね。
そんな若き日のヘンリー8世を、エリック・バナが、とっても魅力的に演じています。
テューダー様式のお衣装も素敵で、特にヘンリー8世のお帽子が毎回楽しみで、じっくりお衣装に注目すると、王様って、一日に何回も着替えてるっぽいんですね。王妃は割と同じ衣装だったりするのに。
物語に話を戻します。
かわいそうなのは、アンとメアリーの母と、弟。名門の出の母は、アンやメアリーを出世の道具に使うことに最後まで反対していました。けれど、策士の母の実弟や、数代前は農民だったのを、伯爵家や国王との婚姻でのし上がってきて、娘とはそういうものという夫の言葉に、押し切られてしまうわけです。
その結果、妹のメアリーは、夫がありながら王の愛人となり、庶子を産んで捨てられ、姉のアンは、姦通罪で処刑、そして弟は姉であるアンとの近親相姦の罪で処刑されてしまいます。
悲劇と不名誉が一気に押し寄せて、母は思わず夫を平手打ちし、自分の弟をなじります。
しかし史実によると、この母もヘンリー8世の愛人だったと言う説もあるのだそうで・・・いいお母さん!!なんて映画の中では思っていても、実際は分かりませんねぇ。
救いになったのは、最後に心やさしいメアリーが、彼女を想い続けたスタッフォードと幸せな家庭を築いたこと。この物語、最初はメアリーの幸せな結婚の場面から描かれて、本当に幸福を絵にかいたような感じなんですね。
父やアンは野心に燃えていたけれど、最初のままで十分幸せだったのに。お金だって、普通に生活できればいいはずなのに。ていうか、十分だったと思うんですけど・・・
幸せは権力争いのうちにはないわねぇ、というのがこの映画の感想かな。
ブーリン家の姉妹
The Other Boleyn Girl
監督 ジャスティン・チャドウィック
製作 スコット・ルーディン
アリソン・オーウェン
脚本 ピーター・モーガン
製作総指揮 スコット・ルーディン
デヴィッド・M・トンプソン
原作 フィリッパ・グレゴリー
撮影 キアラン・マクギガン
プロダクションデザイン ジョン=ポール・ケリー
衣装デザイン サンディ・パウエル
キャスト
アン・ブーリン:ナタリー・ポートマン
メアリー・ブーリン:スカーレット・ヨハンソン
ヘンリー8世:エリック・バナ
ジョージ・ブーリン:ジム・スタージェス
トーマス・ブーリン:マーク・ライランス
エリザベス・ブーリン:クリスティン・スコット・トーマス
ノーフォーク公:デヴィッド・モリッシー
ウィリアム・ケリー:ベネディクト・カンバーバッチ
ヘンリー・パーシー:オリヴァー・コールマン
キャサリン・オブ・アラゴン:アナ・トレント
ウィリアム・スタッフォード:エディ・レッドメイン
乗り手:トム・コックス
医者:マイケル・スマイリー
侍女:モントセラト・ロイグ・ド・ピュイグ
ジェーン・パーカー:ジュノー・テンプル
トマス・クロムウェル:イアイン・ミッチェル
フランシス・ウェストン:アンドリュー・ガーフィールド
ブランドン:マーク・ルイス・ジョーン
ジェーン・シーモア:コリーヌ・ギャロウェイ
王の使者:アルフィー・アレン
若いヘンリー:ジョゼフ・ムーア
メアリー・タルボット:ティファニー・フレイスバーグ
クランマー大司教:ビル・ウィィス
産婆:ジョアンナ・スキャンラン
若いキャサリン:ブローディー・ジャッジ
小さなヘイリー:オスカー・ネーガス
若いエリザベス:メイジー・スミス
若いアン:デイジー・ドイジ-ヒル
若いメアリー:キッジー・フェイゼット
若いジョージ:フィントン・ライリー
メイド:エマ・ノックス
小さなキャサリン:ポピー・ハースト
メアリー1世:コンスタンス・ストライド
音楽 ポール・カンテロン
撮影 キアラン・マクギガン
配給 アメリカ合衆国 コロンビア映画
日本 ブロードメディア・スタジオ
公開 アメリカ合衆国 2008年2月29日
イギリス 2008年3月7日
日本 2008年10月25日
上映時間 114分
製作国 アメリカ合衆国
イギリス
言語 英語
製作費 $35,000,000
興行収入 $68,280,091(世界興収)