東京タワー/江國香織

070127tokyo_tower.jpg今さらながら「こっち」の東京タワーを読んでみる(笑)
(リリー・フランキーのじゃありません)


     


正直、主人公の二人は、勝手にやってなさい、と言う感じで、 どうでもよかった。
作者が結局、この二人の関係を通じて、何を訴えたかったのか、よくわからなかった。ちょうど魅力的な年頃の、年上の女に恋した年下の男が、切ながってるだけ、に思える。

未来のない恋は、確かに切なく苦しいけど、切なさや苦しさで言えば、この二人より、詩史の夫の方だろうと思う。つき合うなら、せめてこの人にバレないようにしてあげて欲しかった。
それとも、取り繕うこともできないほど、無防備に恋してしまったのだと言うのだろうか。

それならば、どうして責任を取れないのだろう。
自分が1人にならないために、夫という保険を持ち、その夫の目の前で、愛人と一緒に仕事する。愛が冷めたわけでもない夫に、そんな残酷な仕打ちができるものだろうか。

いつか、女が年取って、男が去ってしまうから?
確か映画にはそんな台詞があったけれど、原作には出て来なかった。
これを読んだ人は、この二人のような恋がしたいと思うのかな。

ただ詩史と言う女性はとても魅力的に描かれていて、透が恋をしてしまう気持は、とてもよくわかる。でも、この物語は、ココから始まるのじゃないのか?と言う終わり方。
むしろこの続きが読みたい。きれいでもおしゃれでもない、もっとどろどろとした関係。

私は透の友達の耕二の方がおもしろかった。
年上の人妻と学生の彼女と、うまくやってるつもりが、過去に犯した過ちから、歯車が狂い始める。そして本命のはずだった彼女に振られたことより、遊びのはずだった人妻のことが後を引くあたり、体の相性とは侮れないものだなぁ、と思ったりする。

おもしろかったけど、ちょっと物足りない感じもした。多分私の好みはもっと、濃い物語なのだろう。どろりと余韻を引くような重さのあるもの。さらっと都会的な小説がとても人気があるのはわかるのだけど。




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