【読書】『イルカ』よしもとばなな


先日は、死後の世界の話が多いと書いたばなな作品だけど、この話はちょっと趣が違った。

ちょっと世間とずれた感覚で生きてきた主人公
・・・と、たびたび本文中に一人称で出てくるんだけど、私の感覚では、え?そんなにはずれてるかなぁ???と思ってしまう。
・・・そもそも、私自身が世間からずれているのだろうか?自分では、とっても常識的だと思っているんだけど。

物語の途中に、主人公が「自分自身の選民意識がつくづくいやになる」と言うようなくだりがあるんだけど、ばななさんの作品って、選民意識の塊だと思うのだ。「私たちは特別な人たち」みたいな一人称が延々と続いているような。
それがいけないというんではなく、そういう小説のスタイルなんだろうなぁ、と思う。

主人公が恋愛小説家なせいか、セックスに関する考えなんかも、あけすけに書いてて、そういうののほうが、なるほどって思ったりした。
男の人と言うのは、基本的にセックスで、リードしなくちゃいけないわけで、そのためには、こっそり勉強したり、ある程度場数を踏んだりしなくちゃいけなくて
それが、ヘンなビデオだったり風俗だったりするのと、本当に好きな生身の女性相手に、手探りできちんとひとつひとつ学んでいったのとでは、それは違うよなぁ、と思った。

物語の本筋に関しては、ネタばれになってしまうので、多くは書けないけど・・・・今の私ではなく、少し未来の私が読んだら、きっともっともっと感動するんだろうなぁ・・・と、希望的観測で書いてみた(謎?ww)

そんな未来が迎えられたら、もう一度読みたいと思った。




商品の説明
出版社 / 著者からの内容紹介
この気持ちはどこから来るのだろう? 生命の誕生、まだこの世にやってきていないある魂との出会いを描いた書き下ろし長篇

内容(「BOOK」データベースより)
妊娠、出産…よしもとばななの新境地!まだこの世にやってきていないある魂との出会いの物語。

内容(「MARC」データベースより)
来年の今頃はもう子供がいるのか、と私は不思議に思った。今はまだこの中にいて、いろいろな臓器をわかちあっているのに…。妊娠、出産を経た、よしもとばななの新境地。まだこの世にやってきていないある魂との出会いの物語。


単行本: 256ページ
出版社: 文藝春秋 (2006/3/20)
ISBN-10: 4163247602
ISBN-13: 978-4163247601
発売日: 2006/3/20
商品の寸法: 19 x 10.8 x 2.4 cm
おすすめ度: ★★★★☆ 4.1 (19件のカスタマーレビュー)


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