【読書】『くまちゃん』角田光代


いきなりネタばれです。


白い文字で書きます。

失恋ばかりの短編集です。
まず、主人公が失恋して、失恋した相手が、また次の話で失恋すると言う流れ。



それはわかったのだけど、それでも、最後までぐいぐい読ませてしまう。すっごく共感できた。恋愛に、仕事を絡ませているのが、特に共感させられたのかもしれない。
この物語の登場人物の年代の頃から今も、私自身も、恋と仕事は、いつも無関係ではないから。仕事について、いくつかの登場人物が言ってることが、すごく心に響いた。

「自分が行けるときというのは、周りのことが気にならない。自分しかない。自分が何をやりたいかしかない」
「行きたい方向に顔を向けて、焦点が定まったら、自分からがしがしと歩いて行って、ほしいものをもぎ取る」
「普通で平和な毎日は、自分をダメになんかしない。そういう日々の先に、自分にしか手に入れられない何かがある」
「履歴とかキャリアじゃなくて、すげえって思った、その気持ちの強さが、これからのきみを引っ張って行く」
「勉強なんか足を引っ張るだけだって。いい成績をもらえる絵が人の心を動かすか?」
「過去も未来も関係ない。今何者でもなきゃ、何者でもないってこと。今何かしなきゃ、未来につながるものだって何もないってこと」
「地味とかみみっちいとか、キャリアとか給料とか、人生になーんにも関係ない。なりたいものになるには、自分で目の前の一個一個、自分で選んで。やっつけてかなきゃならない」



最後にすごいネタばれ。



この話って結局はロンドになっていてつながっている。だから、失恋って、振ったほうが上とか、振られたほうが下とか、そういうものじゃないんだねぇ。

最初にこっぴどく振られた苑子が、苑子を振ったくまちゃんを振った、ゆりえを振ったマキトを振った希麻子を振った久信を振った(?)文太の子を産むんだから。



それにしても、恋はすごい。





内容(「BOOK」データベースより)
4回ふられても私はまた、恋をした。なんてことだろう。
あんなにつらい思いをしたというのに。
きっとここにあなたがいる、傑作恋愛小説。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
角田 光代
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。
96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年
『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、
06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で
中央公論文芸賞を受賞


単行本: 281ページ
出版社: 新潮社 (2009/03)
ISBN-10: 4104346047
ISBN-13: 978-4104346042
発売日: 2009/03
商品の寸法: 19.4 x 13.8 x 2.8 cm
おすすめ度: ★★★☆☆ 3.1 (7件のカスタマーレビュー)


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