2007.06.25 Monday
日曜日、3年ぶりに、ある人に会った。ずっとずっと遠くに住んでいる人。
一年ぶりくらいに、たまたま私が相手にメールをした朝、相手はちょうど東京へ向かうところだった。これは会わなくては、と思ったと、翌日メールが届いた。
ぜひ会いましょう、と約束を取り付けてから、ふと不安になった。3年という月日が隔てるもの。
私は多分変わってしまったと思う。3年前一緒に笑い合えた事、喜び合えた事ではもう、同じようにはできないかもしれない。
それなのに、そんな不安はまったく不要だった。待ち合わせた渋谷はスゴい人だったけど、お互いすぐにわかった。お互いまったく変わってないと言えば、それはウソになるけれど。
移動したのは、都会の喧噪を逃れた静かなホテルのティールーム。パリのジョルジュサンクのパティシエのスイーツを前に、気付けば本当に長い時間、話題が途切れる事なく話し込んでいた。
このところ考えていたこと。
たくさんの人と出逢う中で、友達になったり恋人になったり家族になったり、そんな特別な存在になれる人とそうでない人との違いは何なのだろうと。
そして、一度は深く繋がっても、離れてしまうのはなぜなんだろうかと。
それはつまり、人は同じスピードで歩く者同士しか、一緒にいられないという事。どちらかが歩幅を早めれば、そこに亀裂が生じる。
この三年、私は駆け足で走り抜けて来た。そして相手も、今全速力で走っている途中だった。三年前、交わり合ったのとは違う角度で、でも確かに、私たちは今回も同じペースで生きているのを感じ合った。
これが例えば一年前だったら、微妙に違っていたのかもしれない。今この場所で、こうして会うよう仕向けられた運命。そこにはきっと何か意味があるはず。そんな想いで、ワクワクするところも同じ。
三年前なら、会話よりまずはケーキに夢中だったはずな二人。ホワイトチョコにくるまれたラベンダーのムース。上にはオレンジ色にお化粧した桃。もうひとつは、チョコとミルクのムース。
どちらもとてもおいしくて、ひとくち口に運べば
「おいしいね」
と言うのに、次の瞬間にはケーキの存在すら忘れている。いつまで経ってもなくならないスイーツ。減らない紅茶。
相手は、今いる世界にとても満足していて、とても楽しいのだと言う。けれど、その世界に偏見を持つ人がいるのも事実で。その偏見をどう取り除いて行くかが、今後の課題だと言っていた。
頑張ってほしい、と思った。
そしてふと、もしかしたらそれは、私自身が今やろうとしている事と近いのではないか?とも思えて来たのだった。
もっと力のある存在になりたい。私と言う吸引力で、周りに影響を与えられるような、関わったものの、ちょっとした悪評など吹き飛ばしてしまうような、そんな存在になりたい。
「宇宙は繋がってるんだよね」
相手がたくさん口にした名言の中で、これが一番楽しかった。だって、ウチの社長と同じこと言うんだもの。
「自分の生き方や価値観が定まると、多くのモノを必要とはしなくなるよね」
おおきくうなずく。
帰り際、すっかり静かになった渋谷駅で、私はJR、相手は東急線へと向かう。
「結局、自分が必要なものしか寄って来ないってことなんだよね」
と相手が言った。シンプルだけど、それが本当に真実。
あせるな。本当に必要なものなら、きっと最後には残るはず。
誰かが私にそう教えるために、今日のこの出会いをセッティングしてくれたのか。そんな風に思えるほど、大切な時間だった。
Jさん本当にありがとう。