ムンク展

071215munch1.jpgムンク展に行って来ました。
ムンクと言えば『叫び』がそのままムンクを表すくらい、もはや代名詞ともなっているくらい有名ですが、『不安』『絶望』とともに3部作となっているのは初めて知りました。ポスターの絵はその中の一枚、『不安』です。
《不安》1894年 油彩・カンヴァス オスロ市立ムンク美術館
071215munch3.jpgこれがもう一枚の『絶望』
071215munch2.jpg『叫び』の次くらいに有名だと思われる『マドンナ』
この作品に見られるように、絵画だけでなく額装部分にも装飾を施し、それらをひとつの作品として捉えたものが、今回の展覧会のテーマで、数多く展示されていました。この作品で言えば、絵画部分がマドンナ、絵画と額装の境に胎児、そして額装部分に精子が描かれています。
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《生命のダンス》1925−29年 油彩・カンヴァス オスロ市立ムンク美術館
この絵画と似たモチーフは繰り返し描かれていました。私には、左右の黒と白のドレスの女性が同じ人にしか見えないのです。左から過去・現在・未来だったかな。

071215munch6.jpgおもしろかったのが、マックス・リンデ邸の子供部屋の壁用の絵画で、ムンクに依頼したものの、抱き合う男女の絵などを描かれて
「コレは子供部屋にふさわしくない」
とリンデ氏がムンクに描き直しを命じ、だいぶ明るい色調の多少子供部屋らしいものには仕上がっていましたが、それでも、ムンクに子供部屋らしい絵画を期待すること自体、間違っているのでは?と突っ込みながら見ておりました。

『生命のフリーズ』では、たわわに実る果実を手折ろうとする裸の人物などが描かれていましたが、思わず
「くびれがきれい」
などと口走ってしまい、おやぢっぽさを思いがけず露呈してしまった私。ハズカシや。

また、ムンクは労働者を好んで描いていたそうで、わたしは最初のほうの暗い絵よりも、生命力溢れ、今にも動き出しそうなおじさんたちの絵のほうが好きでした。特に素描は素晴らしい!
http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/munch/itten/20.html


              


ムンク展・展覧会概要
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibition/index.html#mainClm
会期: 2007年10月6日(土)−2008年1月6日(日)
主催: 国立西洋美術館/東京新聞
後援: 文化庁/ノルウェー大使館
協賛: 日本写真印刷/EPSON
協力: スカンジナビア航空/JR東日本/西洋美術振興財団

〈生命のフリーズ〉は、全体として生命のありさまを示すような
一連の装飾的な絵画として考えられたものである。

───エドヴァルド・ムンク「生命のフリーズ」より

ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクは、日本でもすでに数多くの展覧会が開かれ、愛と死、喜びと絶望といった「人間の魂の叫び」とも呼べるテーマを描いた作品が、非常に高い人気をえています。

彼は、自らが描いた作品のなかでも、最も中心的な諸作品に〈生命のフリーズ〉という名をつけました。
それは、個々の作品をひとつずつ独立した作品として鑑賞するのではなく、全体としてひとつの作品として見る必要があると考えたからでした。

しかし、彼が〈生命のフリーズ〉という壮大なプロジェクトによって達成しようとしていたことは、「愛」「死」「不安」といった主題からの切り口だけでは捉えきれないものです。
なかでも最も見過ごされてきたのが、上に引用したムンク自身の文書にも語られている、その「装飾性」です。

今回の展覧会は、ムンクの作品における「装飾」という問題に光を当てる、世界でも初めての試みで、オスロ市立ムンク美術館などからの代表作108点を一堂に展観します。

本展は、ムンクが試みた装飾プロジェクトにそれぞれ1章をあてて構成され、彼の「装飾画家」としての軌跡をたどれるものとなっています。
第1章では〈生命のフリーズ〉における装飾性の展開を扱い、それに続く各章では、アクセル・ハイベルク邸やマックス・リンデ邸といった個人住宅の装飾や、ベルリン小劇場、オスロ大学講堂、フレイア・チョコレート工場、オスロ市庁舎の壁画構想といった公的建築でのプロジェクトを紹介します。
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