大事な人に会う30分前に読む本/大原敬子
この本は恐ろしい本である。裏表紙には「シャイできまじめなあなたの背中をそっと押す、未来を変える心のヒント集です」などと、やさし気なことが書いてある。大事な人と会うことが苦痛になってしまうような、シャイで繊細できまじめで、デリケートなあなた(とまでは書いていないが)とすっかり読者を持ちあげているが、中味ではそう言う書き方はしていないのである。
それが怖い。
人に会うのがおっくうな人、人に会うと緊張する人というのは、一見すると繊細で気遣いがあるためのように受け取られることが、多いような気がするし、自分自身も気疲れしてしまうからだと、思っていたけれど、著者はそんな生温いことは言ってくれない。
ようするに、人前に見せない部分がちゃんとしていない、だらしない人間なのに、人前でだけとりつくろおうとするから、本当の自分を知られるのが怖くて、人に会うと緊張してしまうのだ、と言うのである。とまぁこんな調子で、いろんなパターンにおいて、情け容赦なく著者はビシビシと気持いいほど言い切って行く。
胸に手を当ててよく考えてみれば、確かに思い当たる。グサグサ胸に突き刺さるけれど、きちんと生活して、堂々と人前に出て行かねばという気持にさせられる。結局30分前に読んだところで、ちょっと遅いのでは?とは思うのだが、身近においてときどき自分にカツを入れたいときに読み返したい本である。
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