昨年2004年の秋の展示会のために描き始めた、ヘレンドの「地中海の庭」。オリエンタルなモチーフが得意なヘレンドの中では、珍しくアシンメトリーな構成の伸びやかなヨーロピアンスタイル。
最初は、トリオ(カップ&ソーサー&ケーキ皿)で作り始めたのですが、カップ&ソーサーのみを「カップのコーナー」に展示することが決まり、他の作品作りに追われるうちに、ケーキ皿はそのまま作成途中のまま、捨て置かれることに。お皿のウラを見ると、描き始めは2003年10月となっています。そのときに一度目の焼成をして、2004年秋頃に再び途中まで手を入れ、焼かないままに、一年が経過。
展示会で、生も根も尽き果てたのでしょうか。その後、他に始めた事もあり、自宅に窯があるから、いつでも焼けると言うのをいいことに、お教室をお休みして、そのまま、この一年、一つの作品も仕上げることもなかったのです。
そして、こちらにも少し書いていますが、最近、ある事情から、窯を手放すことを決めました。新しい持ち主は、チャイナではなく、ジュエリーデザインを手がけている方。この窯から、どのような美しい作品が飛び出して行くのか、楽しみにしつつ、窯の動作テストを兼ねて、未完成の作品を仕上げたら、年明けにはこの窯は、わたしの元を巣立って、お嫁に行きます。
本当に、本当に最後まできれいに焼いてくれて、どうもありがとう。チャイナペイントの焼成はとても繊細で、艶が命なのです。ツヤツヤに焼けてくれると、拙い絵でも、何割かうまく見せてくれるほど。そのためには、湿気や温度の調整など、いろいろ課題があるのです。
もっともっと使いこなしてあげたかったなぁ。本当に残念。この窯には、とても思い入れがあるだけに、感慨深いものがあるのです。しばらく、最後に作成した作品が続きます。 →「窯について」