庭園植物記展

051105garden_bot.jpgこの日曜日に会期終了となってしまった、庭園美術館の「庭園植物記展」を、会期ギリギリに見に行ってきました。植物画を長年描いている私としては、どうしても押さえておきたかったこの展覧会。植物画というより、もっと広範囲で楽しめる展覧会でした。

なんと言っても一番印象に残ったのは、写真。アラーキーの「花曲」や蜷川実花のウィンターガーデン内の展示の色彩の鮮やかさを前に(私はこの二つの部屋に住みたいと思いました。やっぱり植物が好きなんだなぁ。でも、蜷川さんのには、でっかい毛虫が写ってたので、やっぱやだ(笑))日本画チックな渋い植物画は、ちょっと地味でしたね。素晴らしい作品ばかりでしたが。

一年前のもっと熱心に植物画をやっていた頃の私には、ちょっと物足りない展覧会だったかもしれませんが、この展覧会の趣旨は、植物画にあるのではなく、植物をモチーフにした表現にあるわけで、洋画家の浅井忠をデザイナーとして、とらえ、(彼の工芸品はいろんなところで見ることができますが)彼の指導の元に、作られた漆器なども展示され、植物がいかに芸術表現における重要なモチーフであったかがわかります。

しかし、わたし的には、生け花の中でも、あのちょっとグロテスクなのは、いただけませんでした。花は花のままで愛でたい。実のところ、切り花が好きでないわたしは、そもそも生け花やアレンジメントと言ったモノとは相容れないのかもしれません。花はすっくと地面に力強く咲いているものが好きです。とはいえ、生け花を写真に撮ったものも、楽しめましたが。写真の中では、井津建郎の青い写真の美しさに惹かれ、植物画は杉浦非水が素晴らしかったです。

庭園美術館HPより
庭園美術館にとって、多くの植物たちに囲まれた広大な庭は大切な構成要素であり、建物(旧朝香宮邸)の装飾にも、いくつもの植物のモチーフを見ることができます。「美」を考えさせる植物という身近な存在は、古くから芸術表現の重要なテーマでした。本展では日本における植物表現に焦点を絞り、自然観察と写生態度に基づき、描き出された幕末期の植物画から、 植物をとらえた現代の写真作品までを展示します。
そこには芸術性を追求した作品だけでなく、 植物の真の姿(本質)に迫ろうとした植物学研究のために制作されたものや、生け花という日本独自の文化に魅せられ、
その姿を残そうとする作家の作品も含まれています。この展覧会では、絵画、写真、工芸などさまざまなジャンルの作品を通して、近代以降の造型表現において、植物がどのような存在であるのかを明らかにします。展覧会の会期にあわせ、美術館の庭園では、珍しい「変化朝顔」[へんかあさがお]を栽培します。さまざまな形に変化した朝顔の姿を、展示作品とともにお楽しみください。


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