トリモノ帖

鳥に関するあらゆるコト。あらゆるモノ。

世界中の鳥好きさんに捧ぐ。
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くまとやまねこ/湯本 香樹実 (著) 酒井 駒子 (絵)

081005kuma_to_yamaneko.jpgちょうど9月末まで
紀伊国屋書店新宿本店で
開催されていた
酒井駒子さんの原画展に
行ってきました。

このお話はまだ未読でしたが
内容を知らなくても
絵を見ているだけで
何度も涙ぐむほど
素晴らしいものでした。


タイトルに鳥は出てきませんが、表紙のクマの肩に
ちょこんととまっているように、鳥は重要な登場人物。
だけど、タイトルが「くまとことり」じゃなくて
「くまとやまねこ」というところに、湯本さんが
この物語に託された思いを感じるのです。

一見ちょっと暗く見えてしまう表紙の絵ですが
この絵本の味わいそのままの紙に、黒と白のアクリル絵の具(?)
だけで描かれています。ざっくりと塗りつぶした黒の上に白で
驚くほど繊細にその世界が広がっています。

酒井さんと言えば、現代の絵本作家・イラストレーターの中でも、
とにかく大大好きな方。

好きな理由は、酒井さんも幼い頃から鳥をよく飼っていて、ご自身でも
鳥をモチーフにした絵をよく描かれるせいかもしれません。

内容的には、大人向けの絵本と呼ぶべきかもしれませんが
原画展には、駒子さんへのメッセージを残せるスケッチブックがあって
そこには小学生からのメッセージも残されていました。

本当にこのお話の深い意味を知るには早くても
よいものは、大人にも子供にも通じるんですよね。


商品の説明
内容紹介
だって、ぼくたちは ずっとずっといっしょなんだ
突然、最愛の友だち・ことりをなくしてしまった、くま。
かなしみのあまり、くまは、くらくしめきった部屋に閉じこもる。
だがくまにも、花咲く時は訪れて…夢のコンビで贈る感動の絵本。

〈湯本香樹実さんからのコメント〉
この『くまとやまねこ』は、ずいぶん長い時間をかけてできあがった
絵本なのですが、できあがった今、時間をかけたかいがあったなあと
心から思えるし、この絵本で私が書きたかったことも、やっぱり「時間」
なのだな、とあらためて感じています。身近な人が亡くなることも含めて
大事な何かを失うというのは、自分自身の一部が死ぬことと等しい。
死んだ自分を抱えている間は、時間が止まってしまったようにも
思えるけれど、時間は実はきちんと流れていて、なにもしていないように
見える人にも、深い変化をもたらしているのではないでしょうか。
この絵本のなかのくまが、悲しみに閉じこもり、でもやがて外に
出かけていったように、必ず死んでしまった自分自身の一部も、また
よみがえる時がくるんだという、そういう時間というものへの深い信頼と
感謝の念が、私にこの小さな物語を書かせてくれたのだと思います。
酒井駒子さんの素晴らしい絵によって、くまやことりややまねこや
命あるものすべてに流れる時の一刻一刻が、一頁一頁、このうえなく
いとおしいものとして描き留められました。お読みいただけましたら
幸いです。

著者について
湯本香樹実
1959年東京都生まれ。小説『夏の庭 -The Friends-』で、ボストン・
グローブ=ホーン・ブック賞他を受賞。他の著書に、小説『ポプラの秋』
絵本『魔女と森の友だち』、童話『くまって、いいにおい』など。

酒井駒子
1966年兵庫県生まれ。『金曜日の砂糖ちゃん』でブラティスラヴァ世界絵本
原画展金牌、『ぼく おかあさんのこと…』でZilveren Griffel賞他を受賞。
絵本に『よるくま』『ゆきがやんだら』『こうちゃん』など。

商品の詳細
単行本: 48ページ
出版社: 河出書房新社 (2008/4/17)
言語 日本語
ISBN-10: 4309270077
ISBN-13: 978-4309270074
発売日: 2008/4/17
商品の寸法: 23.4 x 18.4 x 1.2 cm
おすすめ度:★★★★☆(4個半) (6件のカスタマーレビュー)

2008/10/05 Sun
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