一昨年亡くなられた、故・原田治さんのイラストレーション展を見に
母校パレットクラブに行ってきた。3年ぶりだ。
いちばん好きなイラストレーターを一人だけあげるなら
絶対にこの人、と思うのが原田治さん。
12年前、原田さんが校長を務める「PALETTE CLUB」の門をたたいたのは
原田さんと、もう一人私のスターである安西水丸さんに会えるという
ミーハー心だったのは否めない。
私が原田さんをどれくらい好きだったかと言えば、中学生の頃
原田さんのファンクラブである「ダスティミラー」に入っていたほど!
最初に「ミーハー」と書いたけれど、私はそれほどミーハーではなく
後にも先にもファンクラブなんてものに入っていたのは、原田さんと
イエローモンキーの吉井さんだけなのだ。
仕事でキャラクター作ったりしてるけど、自分自身はキャラクターものを
身につけたりはしないほうで、唯一オサムグッズだけが、好きになって
買い集めたキャラクターだったのだ。
普通のノートが100円で買えるのに、オサムグッズは300円くらいして、それでも欲しいと思わせる魔力があった。
1ページ目に薄い和紙のようなセロファンのような紙が閉じられていて、形も変形で真四角に近くて
子供心にも洒脱な感じがした。他の日本のいかにも「子供向け」なものにはないおしゃれさがあった。
ちょっと特別な文房具を使いたいと思うところから、私ののちのオリーブ少女人生は始まっていたように思う。
私がコレクションした膨大なオサムグッズのうち、長い年月と捨て魔の母親と、度重なる引っ越し(8回)にも負けず
手元に残ったオサムグッズをご紹介したいと思う。
忘れもしない、そのファンクラブの通信販売で購入した本。「OSAMU'S MOTHER GOOSE」
もうもうもう、この原画が見られるなんて!!!!感激、という言葉以外にありませぬ。
右下の説明にあるけど、ダスティミラーから出版された初版は金色で、この赤は増刷分。
昭和59年(1984年))再販と奥付にある。確かに、その頃に買ったので、初版からは8年経っていた模様。
2001年に勁文社から復刻されたのが黄色で、今年1月に復刊ドットコムから、緑の表紙で再々登場!
やっぱり名著は世間から求められるのだ!
今、初版の金色持ってたら、相当価値あったでしょうね〜。でも赤も今出は手に入らないのだ!(ふがふが)
次が1984年にダスティミラーから発売された「BEDTIME STORIES」
当代一流の文化人が、オサムグッズのキャラクターを主人公に物語を描いたもの。
ハンプティダンプティの物語が、なんと水丸さん筆!ため息の出るようなコラボなのだ!
原画、じっくりと隅から隅まで見てしまった。。。
原田さん、本当にサインペン一本で勝負してらしたんだなぁ。。。
すごいなぁって改めて思った。
当然だけど、アナログなので、しっかりとホワイトが入っていて
思ったよりたくさん入ってて
中には目の周りをぐるっと一周ホワイトが入ったりしていて
それだけ、細部までとことん追求されていた表れだし
一発で決めなくてもいいんだなってちょっとホッとしたり。
パレットのスタッフの方が「そこまで見て下さってうれしいです。原田さんはそういうの見られるの嫌かも知れないけど
今回娘さんがどうしても見て欲しいっておっしゃったんです」とおっしゃられて、他にもいろいろ貴重なお話が聞けた。
今回の一番の見どころは、原田さんのオサムグッズ以外のタッチの
お仕事が見られること。パレットクラブの授業では
「タッチを一つに絞れ」とよく言われたものだけど
それはやはり、先生方の経験から来ているものなのだ。
原田先生自身も、様々なタッチを描き分けて仕事をして
(本当にいろいろ!中には横尾忠則さん風のモノも
あったりして驚いた)
いつも締め切りに追われて、疲弊した結果
オサムグッズに絞ることに決めたのだそうだ。
結果的に成功したけれど、当時はスゴイ挑戦だったのだろう。
だって、キャラクターグッズって当時はホント
サンリオの独占みたいなものだったもの。
だから、学校ではもちろん「タッチを絞れ」と言ってはきたけれど、最初はいろんなタッチでいろんな仕事をするうちに
だんだんと絞られてくるんだからそれでいいんだともおっしゃっていたそうだ。
確かに、今ならわかる。
当時はとにかくタッチを一個に絞らなくては、と焦っていたけれど、そうじゃないんだよね。
複数のタッチがあっても、どれも自分の中から生まれたものだったら、それはいいのだ。
ただ、求められるままに、仕事の度に相手の要求に合わせて描いてしまう「便利屋さん」になってはいけないのだ。
12年経って、私もようやく二つくらいに絞られてきました、と話した。
「カット向きのシンプルなものと、個性のあるものと」というと、「それはいいですね」とスタッフさんにも言われたので
何だかホッとした。
あと、どこまで行っても、イラストレーターって下請けなんだという話も。
本を出した時に感じたのは、漫画家って「先生」なんだなってこと。だからみんな絵本だしたがるんだよねって話とか。
あるいはキャラクター版権もいいよねって話とか。
どこまでも原田先生は、私たちが「便利な下請け」に甘んじず、大きく羽ばたいていくのを願っておられたのだな。
あと、今の仕事のやり方と昔との違いは、イラストレーターも、昔は取材に連れて行ってもらえたということ。
すっごく楽しくて仕方がなかったと原田先生がおっしゃっていたそうだ。いいなぁ。うらやましい〜〜〜
私の某女優さんの本は、名誉な仕事ではあったけれど、取材はすべて編集さんとカメラマンさんで終わってしまったし
編集さんとライターさんは、何度も上京して、著者である女優さんと会ってやり取りされていて
イラストレーターだけが「ちょっと検索してちゃっちゃっと描いといて」的な感じで。蚊帳の外なんである。
よく言われるのが、「あれ全部食べてるんでしょ?いいなぁ」って・・・
食べてませんから!!
スタッフさんが「著者さんには会いましたか?」と聞かれたので「名古屋でサイン会の時に、楽屋に呼ばれて」
と答えると「だったらよかったですね。イラストレーターは著者に会うこともまれですから」ホントそう!
だから今担当している「旅育」本みたいに、著者さんと直接やり取りするなんて、普段はなかったことなので
やっぱりうれしいし、頑張ろうって思う。
著者とコミュニケーション取って、仲良くしてた方が絶対いい絵になるのに。
それに、絵日記の食べ物が美味しそうなのは、やっぱ実際に食べたからだと思うYO!
最後に、シリーズでかなりたくさん持ってたはずだけど、一冊だけ残ってたノート。
展示されてたのとはデザイン違いだけど、やっぱりかわいいよね。
ZAZIEシリーズも持ってたはずだけど、残ってなかった〜〜〜〜
あと右下の方に載ってるミスドのトランプも持ってるけど、長くなったのでまた今度。
それにしても、原田さんの前には、水丸さんも森本美由紀さんも亡くなられ、その方々の生のお話が聴けただけでも
学校に行けて本当によかったと思うのだ。
3年前、最後にお会いした時に、本が出ることを、原田さんにご報告できただけで、余は満足なのだ。
(その後、勝手に送りつけたので、たぶん読んで下さった・・・はず)
クロちゃん、お見送りありがとう!
【原田治インタビュー記事より】
— パレットクラブ スクール (@palette_club) 2018年4月30日
「基本的にイラストレーションというのは、いかにより大勢の人に好かれるかが重要だと思っています。テクニックが優秀でも、普通の人が一見して親しみがわかない、わからないと思うような絵はイラストとは呼べません。(続く)
(続き)皆に受け入れられる個性でなければならないのです。これがなかなか難しい。
— パレットクラブ スクール (@palette_club) 2018年4月30日
また、僕が仕事をする時、少なからず頭においていることといえば、色彩などすべてにおいて『健康的に表現する』ことですが、何よりも『楽しく』ということを忘れないようにしています。閑話休題」(「LEAF」1997年)
【原田治インタビュー記事より】
— パレットクラブ スクール (@palette_club) 2018年5月5日
ぼくの装幀の方法は、ひとくちで云えば、できうるかぎり簡潔な図形や色彩だけをもちいて単純さを表現することにあります。読者に本の内容を装幀のうえから想像させうる要素は最小限度にとどめて、(続く) pic.twitter.com/bWox0x0tbq
(続き)極端に云ってしまうと、装幀は題名と著者名がスッと読者の頭に飛び込んでゆけさえすれば良いのであって、そこにデザインされた何ものかが感知されないことのほうが肝要であると思っています。(「思考を包むパッケージ」より(出典不明))
— パレットクラブ スクール (@palette_club) 2018年5月5日
PALETTECLUB特別企画 原田治のイラストレーション展
http://www.osamugoods.com/news/180320.html
原田治は1970年の「anan」創刊とともにイラストレーターとしての仕事を始め、様々な雑誌や広告で活躍。オリジナルのキャラクター「オサムグッズ」を生み出し、日本の「かわいい」文化に多大な影響を与えました。
本展では、原田の仕事の中から、これまであまり見る機会のなかった70〜80年代を中心に原画や印刷物を展示します。求めに応じていくつものスタイルを描き分けていた雑誌での仕事(『anan』『話の特集』『olive』など)、雑誌『ビックリハウス』でのペンネーム「明石町先生」の漫画、西武デパート、上野動物園、ミスタードーナツなどオサムグッズ以外のキャラクターの仕事、先日復刻された『OSAMU'S MOTHER GOOSE』の貴重な原画など、イラストレーター原田治の多様性をご覧いただける展示となっております。また、デザイナーとして手がけた装丁本や絵本は手にとってご覧いただけます。
一昨年、弥生美術館で開催された「オサムグッズの原田治展」とはまた別のイラストレーションの世界を、当時を知る方は懐かしく、若い世代は新鮮に感じることができるでしょう。一人でも多くの方にご覧いただければ幸いです。(PALETTECLUBプレスリリースより)
原田治プロフィール
1949年東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。洋画家の川端実に指事。大学卒業後、アメリカに渡り、帰国後の1970年「anan」創刊号でイラストレーターとしての仕事を始める。
76年から、OSAMU GOODSの制作を開始。1979年、ペーター佐藤、安西水丸、新谷雅弘らと「パレットクラブ」結成。
主な作品に、ミスタードーナツのプレミアムグッズ、カルビーポテトチップス「じゃがいもくん」、東急電鉄マナー広告のくま「あぶないよ」、崎陽軒シウマイ醤油入れ「ひょうちゃん」の他、広告、絵本、装丁など多数。
1997年、イラスト教室「パレットクラブスクール」を設立。2016年11月逝去。著書に『ぼくの美術手帖』(みすず書房)、『ぼくの美術ノート』(亜紀書房)、『OSAMU GOODS CATALOG』(宝島社)、『かさ』(福音館書店)、『OSAMU'S MOTHER GOOSE』(復刻ドットコム)など。
最初のDEAN & DELUCAのアイシングクッキーは、3月に友人・和代ちゃんにもらったもの。
誕生日に食べようと思ってて、可愛さになかなか食べられなかったのを、エイッと食べた。
和代ちゃんは「おいしくないかも」と言っていたけど、なかなかいける。
名古屋の小倉シロノワール味のパイの実(どんなん?)と北海道シュークリームの一騎打ちかと思われた戦いは
横から来た静岡産のメイプル味カシューナッツのうまさに、その場の評価を一気にかっさらわれました。
◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■
◆東京◆
PALETTECLUB特別企画 原田治のイラストレーション展
2018年4月7日(土)〜5月20日(日) パレットクラブ・スクール
http://www.osamugoods.com/news/180320.html
没後50年 藤田嗣治 本のしごと ─ 文字を装う絵の世界 ─ Léonard Foujita Private on Works
2018年4月14日(土)〜6月10日(日)目黒区美術館
http://mmat.jp/exhibition/archives/ex180414
「猫都(ニャンと)の国宝展 〜猫の都の国宝アート〜」
2018年3月29日(木) - 5月13日(日) 目黒雅叙園・東京都指定有形文化財「百段階段」
http://www.hotelgajoen-tokyo.com/event/nyanto
アール・デコ・リヴァイヴァル!鹿島茂コレクション フランス絵本の世界
2018年3月21日(水)〜6月12日(火) 東京都庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/180321-0612_frenchpicturebooks.html
◆名古屋◆
クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム
2018年4月7日(土)- 2018年5月20日(日)岡崎市美術博物館
http://www.city.okazaki.lg.jp/museum/exhibition/openexhibition/p022419.html
ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展
2018年3月17日(土)〜6月10日(日) 三重県立美術館
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/000211092.htm
驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ-
サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法
2018年6月30日(土)〜2018年9月2日(日) 三重県立美術館
スヌーピー×おもしろサイエンスアート展「SNOOPY FANTARATION」
2018年8月15日(水)〜8月27日(月) JRタカシマヤ
https://sn-fantaration.snoopy.co.jp/
◆大阪◆
ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展
2018年4月7日(土)〜5月20日(日)伊丹市立美術館
http://artmuseum-itami.jp/jp/wp-content/uploads/2018/02/2018slitami_press.pdf
兵庫県政150周年記念事業/開館5周年記念展 横尾忠則の冥土旅行
2018年2月24日(土)-5月6日(日)横尾忠則現代美術館
http://www.ytmoca.jp/exhibitions/2018/02/nextworld.html
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2018アソシエイテッド・プログラム
蜷川実花写真展 UTAGE 京都花街の夢 KYOTO DREAMS of KAGAI
2018.4.14 SAT 〜5.13 SUN 美術館「えき」KYOTO
http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_1805.html
ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展
2018年5月18日(金)〜2018年6月3日(日) 美術館「えき」KYOTO
https://www.walkerplus.com/event/ar0726e217515/
おさるのジョージ展
2018年8月4日(土)〜9月2日(日)美術館「えき」KYOTO
生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。
2018年11月16日(金)〜12月25日(火)美術館「えき」KYOTO
2015年10月発売の実話エッセイ。アトピーって痒いだけの病気じゃないんです。
新品価格 |
←感想・お問い合わせ・執筆やイベントなどのご依頼はこちらからどうぞ
『アトピーの夫と暮らしています』FBページです。
#「アトピーの夫と暮らしています」の感想
リンク「アトピーの夫と暮らしています」
読書メーター
クチコミ.jp
ブクレコ