先月の終わりから、今月にかけて「ある小説」にはまっていた。それが「ある男」(平野 啓一郎)である。
平野氏曰く「読み出すと止まらない小説」ではなく「いつまでも読む終わることなく、その世界に浸っていたい小説」を
目指しているとあるけれど、本作においては、少なくとも私には成功していると言える。
最後の部分、何度も読み返して、何度も泣き、そのまま、この世界と自分の世界の境界が曖昧になりそうだった。
平野氏の「人の描き方」のこの丁寧さは何だろう。あまりに巧みで、まるでその場にその人がいるかのようなのに
技巧に走る訳ではなく、あくまでも真摯にどこまでも文学的に格調高く正統派なのだ。
実は主人公にはあまり共感しなかったのだけど、どんな恵まれているように見える人にも、そのバックヤードには
何かしらあるモノだという例えには、ちょうどよい人物なのだと思った。
背景に何かある人(主人公)、家庭に問題がある人(T)、自分の預かり知らぬところで不幸を背負わされている人(X)
この3人が主に登場し、主人公とXには妻が、Tには元恋人がいて、主人公はそのそれぞれの女性ともかかわりを持つ。
幸せって何だろう。
人はいつだって過去との比較で生きている。
その半生を理不尽な不幸で踏みにじられた男が、とある方法で人生をやり直す。
その結果、彼は唯一無二の極上の幸せを手に入れる。
ただ妻が居て子供が居て、そんなありきたりな、他の人にとっては「退屈」と言えるかもしれないその生活が
彼にとってはどれほど素晴らしいものだったか。
田舎の小さな会社で、実直に真面目に働いて、その地域に少しずつ溶け込んで行ったこと。
彼自身はそれまでと同じようにしてきたのに、ようやく静かな生活を手に入れられた、そんな些細なことが
彼にとってはどれほどかけがえないことだったか。
慎ましく慎ましく生きて幸せを手に入れたその姿が、身近な人と重なって、胸を打たれた。
名作だと思う。久しぶりに読んで良かったと思える作品に出会えた。
2018.11.29 Thursday
いつも楽しみにしている「The Walking Dead」のSeason9前半が終わった。
今回の目玉は、実は見ているだけでは気づかなかったんだけど、知らない間に
主人公のリックと、Season2から出演しているメイン中のメインキャラ・マギーが降板していたこと。
(ネットで調べて知った。そうじゃなかったら、再登場を待ち続けただろうなー)
主人公がここでまさかの降板!まぁこの番組の場合、主人公より圧倒的に人気のあるキャラ・ダリルがいるから
こういうこともありえるんだろうけど、それにしてもビックリ。
しかも、終わらせ方が微妙。。。まだ原作では生きている主人公を死なせるのは忍びなかったのかもしれないけど
それにしても、この退場でこのまま出てこないって。。。どーゆーこと?
それにしても、漫画家の好きに描ける原作コミックと違って、人間が演じるドラマは、いろいろ大人の事情があって大変。
英国人であるリック役のアンドリューは、単身赴任で撮影を続けるのが限界だったようだし
マギー役のローレンは他のドラマの主役に抜擢されたのと、ギャラの交渉に失敗したせいだと言われてるそうだ。
事情がオトナな分、マギーの降板は唐突で、7話までは出ていたのに、8話になったら急によその土地に行っていた。
まだ最後の見せ場があって、リックはよかったねー。
しかし、すでに亡くなった仲間がたくさんリックの幻影?に登場したけど、一番肝心のカールが登場しなかったのは
彼の降板もひと悶着遭ったからなんだろう。ひさびさにシェーンが登場して、ジュディスが彼の子なのは
何かもう周知の事実なんだなー。
そして、ひさびさに「ウォーカーが怖い」って思う展開に。思えば農場辺りまではマジでウォーカー怖かったもんね。
3でガバナーが登場したあたりから「いや、人間の方が怖いよね?」ってなってきてたんだよね。
そうそう、ショックなのは、ジーザスが死んだこと。イケメンで身体能力も高くて、自分なりの哲学も持ってて
いうことナシの人で、もっと活躍するかと思ったのに、なんかいつも追跡とかしてるだけで
全然見せ場なかったよね?って思ってたんだよね。ダリルは人気かも知れないけど、ダリル優遇し過ぎじゃね?
その点ジーザス役のトムもずっと不満だったみたい。
最後に鮮やかなアクションシーンだけ残して、なぜかウォーカーに刺されて死んだ。
実はそのウォーカーはウォーカーの皮をかぶった人間だったのよね。想像しただけで気持ち悪いけど。
感染しないのかな?
そんな奴らに囲まれるミショーンとダリル、アーロンと新入りふたり(一人はユミコって名前の日系人)。
いつの間にかカップルになった神父とロジータ。ウォーカーも殺せるようになったユージーン。
その神父がうっかり牢の鍵を閉め忘れて(二回目か?)、ニーガンは逃げ出してしまう。
絶体絶命だわ!
そんなわけで、次は2月かー。待ち遠しい!!
2018.11.26 Monday
最近、大小複数の「ちょっとめんどくさい事態」に巻き込まれていたのだけど、思いがけず、ひとつイイ感じに前進した。
そこそこ長い付き合いでも信頼が裏切られることもあれば、短い付き合いでも何かを察して動いてくれる人もいる。
ひとまず、待つしかない案件もひとつ、いやふたつか。
人生というのは一筋縄ではいかないことだらけだけど、だからこそ面白いのだ、と哲学者のように思うことにする。
追記:さらにひとつふたつと進展して、ますます好転していっていて、何だかあんなに悩んだのがウソみたい。
2018.11.28 Wednesday
久しぶりにコンペ以外の新規の仕事の依頼が来た。私がOKしさえすれば、仕事が決まるというのは、なんてありがたいのだ、と思う。
11/14(水)〜11/17(土)割とジャンクな平日と金曜夜の寿司と、反動でめっちゃ料理した週末。
食べた寿司・・・天然ぶり・さわら・活しまあじ・北陸えび三点盛(がすえび・白えび軍艦・生甘えび)・光物三点盛(あじ・こはだ・真いわし)・天然平目縁側・ぶりとろ・カワハギ(肝つき)・生サーモン・赤いか三点盛(身・耳・ゲソ)・ねぎとろ細まき
活しまあじとカワハギがうまかった。カワハギの肝、フォアグラみたい。そして光物とエビは安定の美味しさ。
2015年10月発売の実話エッセイ。アトピーって痒いだけの病気じゃないんです。
←感想・お問い合わせ・執筆やイベントなどのご依頼はこちらからどうぞ
『アトピーの夫と暮らしています』FBページです。
#「アトピーの夫と暮らしています」の感想
リンク「アトピーの夫と暮らしています」
読書メーター
◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■
◆東京◆
マルセル・デュシャンと日本美術
10月2日(火)〜12月9日(日)東京国立博物館
六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 カタストロフと美術のちから展
2018.10.6(土)〜 2019.1.20(日)会期中無休 森美術館
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/catastrophe/
(仮)集英社デビュー50周年記念 一条ゆかり 展
9月29日(土)〜12月24日(月・祝)弥生美術館
アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代
10月10日(水)〜12月24日(月・祝)東京国立近代美術館
ブルーノ・ムナーリ こどもの心をもちつづけるということ(役に立たない機械をつくった男)
2018年11月17日(土)〜2019年1月27日(土) 世田谷美術館
◆名古屋◆
増田セバスチャン×クロード・モネ "Point-Rhythm World 2018 -モネの小宇宙-"
ルドンひらかれた夢 幻想の世紀末から現代へ
2018年7月22日(日)〜 12月2日(日)会期中無休 ポーラ美術館
http://polamuseum.or.jp/point-rhythm-world/
http://www.polamuseum.or.jp/sp/odilon_redon/
長くつ下のピッピの世界展 〜リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち〜
2019年4月27日(土)〜6月16日(日)松坂屋美術館
◆大阪◆
「没後50年 藤田嗣治展」
Foujita: A Retrospective ― Commemorating the 50th Anniversary of his Death
2018年10月19日(金)〜12月16日(日) 京都国立近代美術館(岡崎公園内)
http://foujita2018.jp/
http://www.e-tix.jp/foujita2018/kyoto/
生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。
2018年11月16日(金)〜12月25日(火)美術館「えき」KYOTO
荒木飛呂彦原画展 JOJO ―冒険の波紋―
2018年11月25日(日)〜2019年1月14日(月)大阪文化館・天保山(海遊館となり)
http://jojoex-2018.com/
特別展「ブラティスラヴァ世界絵本原画展 BIBで出会う絵本のいま」
10月6日(土)〜12月2日(日)奈良県立美術館
MOE40th Anniversary 島田ゆか・酒井駒子・ヒグチユウコ・ヨシタケシンスケ・なかやみわ5人展
2018年12月19日(水)〜2019年1月7日(月)[予定]阪急うめだ本店