映像美を堪能・映画「オブリビオン」

気付けば、トム・クルーズの映画ばっかり見ている、ような気がする。
とはいえ、トムの映画自体、そんなには見てないのかもしれない。
去年まではこれだけしか見たことなかった。
「レインマン」「ミッション:インポッシブル」「M:I-2」「ラストサムライ」「M:I:III」
(「M:I」シリーズは6まであるのね!)

しかし、今年見た9本の映画のうち、3本がトムの映画だ。
3/31(日)「マイノリティ・リポート」(2002・米)SFスリラー(S・スピルバーグ)
5/2(木)「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014・米)SFスリラー(ダグ・リーマン)

そして今回の
6/17(日)「オブリビオン」(2013・米)SFスリラー(ジョセフ・コシンスキー)
は、5月に見た「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(絶対タイトル覚えられん)の前の出演作。
SFばっか連続して出ると、世界観とかごっちゃにならないかしらん、なんていらんこと思いながら。

この映画をひとことで言うと「美しい映画」だと思う。

リアリティにこだわり、できるだけロケに近い状態で制作されたのだそうだ。

映像にはとてもこだわったのだそうで、タワーと呼ばれるトムたちの住む宙に浮かぶような建物は、
通常はCGで作られ、背景の映像も、青く切り抜いた窓にCGを張り付けるものらしい。
しかし、この映画では、基地であるタワーもトムの乗る乗り物もすべてCGではなく実際に作られたものを使用。
背景も、実際の写真を使用するという徹底ぶり。

そのためか、本当に映像が美しかった。現在の荒廃した地球だけでなく、過去のニューヨークの映像もとても美しい。
トムの奥さん・ジュリアを演じるオルガ・キュリレンコの美しさもこの映画の素晴らしい要素。
オルガはなんと、6カ国語(英語・ウクライナ語・ロシア語・フランス語、スペイン語、イタリア語)を操る才女だそう!

もう一人のヒロインで、トムが記憶を失っていた間のパートナーであるヴィカはまたタイプの違った女性で
美しい人なんだろうけど、女性ウケはよくなさそう。オルガのスラブ系の美しさって、万人受けするよねぇ。

舞台は2077年の地球。60年前の2017年に異星人スカヴに月と地球の半分を破壊され、人類は勝利したものの
核戦争や月がなくなったことによる津波や地震などの天変地異で地球は荒廃し、人類の大半は、
土星の衛星であるタイタンへの移住を目指していた、と、主人公の元海兵隊司令官コードネーム「Tech49」
ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)を通じて語られる。

ジャックはパートナーのヴィクトリア(ヴィカ)(アンドレア・ライズボロー)と共にたった二人で地球で、
高度1,000mの上空にあるタワーから地上を監視しながら、偵察用のドローンの修理や
海水を汲み上げる施設・採水センターを管理するのが仕事。

ヴィカは宇宙管制センター「テット」のサリーと通信しながらジャックの任務をサポートするのが役目なんだけど
そのやり取りが結構不気味で、毎回サリーはしつこいくらいに「あなたたちは最高のパートナー?」と聞いてくる。
サリーの言葉は何だか常に型にはまった感じで違和感を感じる。なにか怪しい。

採水センターの海水の汲み上げが終わり、タイタンへの居住が始まるのは2週間後。
ジャックとヴィカの任務も残り2週間。

彼らは、任務に過去はいらないと、5年前に任務につく以前の記憶は消されている。
しかし、ジャックは繰り返し同じ夢を見る。その中に出てくる女性がジュリアで、ジャックは誰かは覚えていない
それでも、記憶のかすかな残り香のようなものが、ジャックに地球への愛着を感じさせている。
ヴィカは地球に未練がなく、タイタンへの居住に積極的だ。それには彼らの過去に理由があった。

ある日ジャックは廃墟で本を拾う。それを彼の秘密の場所に持って行く。
そこは、彼のコレクション?が集められた荒廃した地球の中で唯一のオアシスの様な場所。
途中に「シカゴ近辺だけは岩盤の影響で地震などの天変地異から逃れられた」というセリフがあるので、
そのあたりなのかも?その「秘密の場所」がのちに大きな意味を持つ。

ある日スカヴが、人が居住しているとは思えない場所に、何かパラシュート的なものを落とす。
彼がサリーの静止も聞かず、現場に急行すると、そこには墜落した古い宇宙船の残骸があり、宇宙飛行士の眠るカプセルが
何体か安置してあった。そこへドローンが現れ、なぜかカプセルを攻撃する。

ジャックは何とか一体だけ救ってタワーへ戻る。その中の女性こそが、彼の夢に出てきた女性・ジュリア。
知らないはずなのに、目覚めた彼女は最初にジャックの名を口にする。

明らかに動揺を隠せないヴィカ。女の本能で、この女は邪魔だって思ったんでしょうね。
そんなヴィカには内緒で、ジャックとジュリアはボイスレコーダーを取りに現場に戻る。
何とか見つけるものの、二人はスカヴに捕えられてしまう。

スカヴのリーダー・マルコム・ビーチ(モーガン・フリーマン)と名乗る謎の男から、
スカヴは人間で、人類の敵は「テット」の方からだという恐ろしい話を聞かされる。

ジャックとジュリアはビーチの指示で、夢に出てきた想い出の場所に行く。ジュリアは「私はあなたの妻だ」と告げる。
ジャックがジュリアにプロポーズした回想シーンも、それを思いだす現実のシーンも絵のように美しい。

ジュリアの話では、ジャックもジュリアもヴィカも、タイタンを観測する宇宙船に乗り込む飛行士だったのだが
直前に「テット」が現れ、飛行直前に観測先が「テット」に変更された。

皆睡眠状態だったが、ジャックとヴィカだけが起こされ、ジュリアたちが地球に戻された、のだという。

二人はタワーに戻るが、ドローンに映像を通じてすべてを知っていたヴィカによって、
“ジャックが任務に不適当”だとテットに報告されてしまう。
タワーの地下から現れたドローンの攻撃で、ヴィカは殺害され、ジャックとジュリアはパトロール機に乗りこみ逃亡する。

その後ドローンの攻撃を受けて、パトロール機を失った二人の前に、衝撃的な出来事が起こる。
同じパトロール機を見かけて駆け寄るジャック。目の前の人物を見て思わず目を疑う。彼はジャックだった。
パトロール機には「52」と書いてある。彼はコードネーム「Tech52」ジャック・ハーパーだったのだ。
「Tech52」ジャックはジュリアを認識するけど、攻撃の手は休めない。

しばらくやり合ったあと、52のジャックを捕えると、流れ弾に当たったジュリアが倒れていた。
急いで52のパトロール機でタワーに戻ると、そこには死んだはずのヴィカの姿が。

ジャックはすべてを悟ると、タワーから救命道具を持ちだしてジュリアの元へ戻る。
彼は治療を施して秘密の隠れ家にジュリアを連れて行き、けがの回復した彼女に「自分はクローンだ」と告げる。
それでも、君をずっと愛していた、信じてほしいというジャックに、あなたの記憶が残るならあなただとジュリア。
この場面はラストへの大きな布石となります。

ジャックはビーチたちを助けるためにスカヴの本拠地に戻り、ビーチから真実を聞かされる。
テットがジャックの数千人のクローンを地球に送りこんで地球を攻撃したことを。
地球最強の男が人類の敵になったのだと。

映画の冒頭で、スカヴはジャックを監視していたが、そのうちにジャックが本を拾い、ジュリアを助けたことで
ビーチはそこに一筋の光明を見た。彼の中の本来の彼を引きだそうと決めたのだ。

以前に捕獲したドローンをジャックの力で再プログラミングして命令を与え、テットを攻撃する準備をしていると
3台のドローンに攻撃を受け、所持していたドローンも破壊されてしまう。

そこで、テットより、新参者(ジュリア)と一緒にテットに来るように指示されたのを利用して、
パトロール機でテットに向かう。そこで、ジャックは回収したボイスレコーダーを聞く。

そこでは本物のサリーの指示で、ジャックとヴィカがテットに向かう途中、不具合が起き、
ジャックはジュリアたちの眠るポットを切り離して地球へ戻したことが録音されていた。

その時点で、ヴィカがジャックを好きなことがよくわかった。彼女もその記憶が残っていたのだろう。
だからジュリアのいないタイタンへジャックと一緒に行くことを望んだのだ。

テット内部では、サリーの音声(サリー自身ではない)にジャックのウソは見抜かれてしまう。
『ジュリアを生かし、人類を存続させたい』と本音を話すと、テットの警戒は解かれ、内部へ。
そこには、おびただしい数のジャックとヴィカのクローンが。(この映像、SF的だけど、この時点でこんなに必要?)
恐らく毎日サリーがヴィカに「最高のパートナー?」と聞いて、いい返答が得られなければ、彼らはさっさと抹殺されて
次のジャックやヴィカが派遣されて行くのだろう。

ジャックはテットの前で睡眠装置を開けるが、中に入っていたのはジュリアではなくビーチ。
ここでは思わず「なんでやねん」と突っ込んでしまった。

そこで二人は各爆弾を使ってテットごと自爆。ジャックもビーチももちろん死亡。
地上のスカヴを攻撃していたドローンたちも消滅する。
二人の秘密の湖畔の家でジュリアは目を覚まし、テットの爆発を見て涙を流す。

3年後、湖畔の家で娘と暮らすジュリア(いつの間に?と思ってしまったのは私だけではあるまい。)の前に
大勢の人が現れる。スカヴの仲間たちといつか会った「Tech52」ジャックだった。
彼らはジュリアを3年間探し続けたのだ。

なるほど!そうか、そういうことか!
私の中では、これはアリな結末だった。
「あなたの記憶があればあなた自身だ」ジュリア自身の言葉がそのまま証明された。

なかなか壮大なラブストーリーでした。

オブリビオン
Oblivion
監督     ジョセフ・コシンスキー
脚本     ジョセフ・コシンスキー
       カール・ガイダシェク
       マイケル・アーント
原作     ジョセフ・コシンスキー
       アーヴィッド・ネルソン
製作     ジョセフ・コシンスキー
       ピーター・チャーニン
       ディラン・クラーク
       バリー・レヴィン
       ダンカン・ヘンダーソン
製作総指揮  イェッセ・ベルガー
       デイヴ・モリソン
出演者    トム・クルーズ
       オルガ・キュリレンコ
       アンドレア・ライズボロー
       モーガン・フリーマン
       メリッサ・レオ
       ニコライ・コスター=ワルドー
音楽     M83
撮影     クラウディオ・ミランダ
編集     リチャード・フランシス=ブルース
製作会社   チャーニン・エンターテインメント
       アイアンヘッド・スタジオズ
       ラディカル・ピクチャーズ
       レラティビティ・メディア
配給     アメリカ合衆国 ユニバーサル・ピクチャーズ
       日本 東宝東和
公開     アメリカ合衆国 2013年4月12日
       日本 2013年5月31日
上映時間   124分
製作国    アメリカ合衆国
言語     英語
製作費    $130,000,000
興行収入   $286,168,572
       日本13.1億円

                  


食べたものの記録:6/1(土)〜6/3(月)
悲願の(?)カレーホットサンドのために、キーマカレーを作った。おいしかった。
だけど、ゆるすぎたのか、なんか思ったのと違った。
この写真だけだとカフェ飯みたいだよねー。
190601_190603_IMG_4200.JPG


                  


2015年10月発売の実話エッセイ。アトピーって痒いだけの病気じゃないんです。

アトピーの夫と暮らしています



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◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■

◆東京◆
ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR
2019年3月15日 (金) - 2019年6月30日 (日) 21_21 DESIGN SIGHT
http://www.2121designsight.jp/program/humor/index.html

「うつろひ、たゆたひといとなみ」 湊 茉莉展
2019.3.28(木)〜 6.23(日) 銀座メゾンエルメス

トム・サックス ティーセレモニー
2019年4月20日[土]─ 6月23日[日] 東京オペラシティ アートギャラリー

The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project
2019年4月13日[土]〜2019年7月28日[日] 原美術館

第373回企画展 井上嗣也展 Beginnings
2019年5月14日(火)〜2019年6月26日(水) ギンザ・グラフィック・ギャラリー

台所見聞録−人と暮らしの万華鏡−
2019年6月6日(木)〜2019年8月24日(土) 
特別展 宮内省御用達 川島織物と明治宮殿
2019年4月20日(土)〜2019年6月25日(火)
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ジョン・ルーリー展 Walk this way
2019 年4月 5日[金]− 7月 7 日[日] ワタリウム美術館

キスリング展 エコール・ド・パリの夢
2019年4月20日(土)– 7月7日(日) 東京都庭園美術館

ショーン・タンの世界展
2019年5月11日(土)〜7月28日(日)ちひろ美術館東京
http://www.artkarte.art/shauntan/

原田治 展 「かわいい」の発見
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2019年7月13日(土)〜9月23日(月・祝) 世田谷文学館

バスキア展
2019年9月21日(土)〜11月17日(日)森アーツセンターギャラリー

ミナ ペルホネン/皆川明 つづく
2019年11月16日(土)〜2020年02月16日(日)東京都現代美術館

みんなのレオ・レオーニ展
2019年7月13日(土)〜9月29日(日)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

◆名古屋◆
クリムト展 ウィーンと日本1900
2019年7月23日(火)〜10月14日(月・祝)豊田市美術館
https://klimt2019.jp/

ムーミン展
2019年12月7日〜2020年1月末 松坂屋美術館

サラ・ベルナールの世界展
2018年11月23日(金・祝)〜2019年3月3日(日)堺 アルフォンス・ミュシャ館
2020年1月頃まで、全国巡回予定。
https://www.sunm.co.jp/sarah/

木梨憲武展 Timing‐瞬間の光り‐
2019年9月13日(金)〜10月20日(日)松坂屋美術館

不思議の国のアリス展
2020年4月18日(土)−6月14日(日)名古屋市内の美術館(未定)
http://www.alice2019-20.jp/

◆大阪◆
ヒグチユウコ展 CIRCUS(サーカス)
2019年6月15日(土)〜9月1日(日) 神戸ゆかりの美術館

クマのプーさん展
2019年4月27日(土)〜6月30日(日)あべのハルカス美術館
https://wp2019.jp/

ルート・ブリュック 蝶の軌跡
2019年9月7日(土)〜10月20日(日)伊丹市立美術館
https://rutbryk.jp/

ショーン・タンの世界展
2019年9月21日(土)〜10月14日(月・祝)美術館「えき」KYOTO
http://www.artkarte.art/shauntan/


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