昨年話題になっていたので、気になっていたが、見られてよかった。
今まで、正直「どこがいいかわからなかった」安藤サクラの魅力が
ようやくわかった、気がする。特に後半。
もちろん、リリーフランキーのダメ男っぷりも、樹木希林の底知れぬ
怖さも、この映画には不可欠だ。子役もめちゃくちゃうまい。
それでもやっぱりこの映画で、何を置いてもその存在感を放っているのは、
安藤サクラだ。
いくら貧しいからと言って、物を盗むのはよくない。
ましてや、子供に犯罪の片棒を担がせるのはもってのほか。
そんなことはわかっていても、この作品に皆が惹かれるのは何故だろう。
それはもしかすると、今の日本人、私たちが、裕福さと引き換えに
どこかに置き忘れてしまったものをこの家族は持っているから?
この物語の中で、一番そういったことが象徴的だと感じたのは
樹木希林と松岡茉優の関係かなぁと思った。
ネタバレになるけど、樹木希林の元夫には後妻がいて、その息子の二人の娘のうちの一人が松岡茉優。
詳しい事情は語られないが、なんらかのきっかけで、松岡茉優は樹木希林の元に来て、安藤サクラの妹として
暮らしている。職業はJKの格好で「見せる」風俗嬢。
裕福そうな瀟洒な一軒家で、松岡茉優の存在などなかったかのように、もう一人の娘との3人の生活を
普通に営む彼らは異常ではないというのか。
また、松岡茉優が勤務するJK見学店の常連さん「4番さん」との交流も象徴的だ。
言葉を交わさなくても通じ合うことはある。たとえ、出会った場所が風俗だとしても。
家族が「家族らしさ」を構成するのは、血なのか?「一緒に暮らすこと」なのか?
こういうテーマって、昔から「子供の取り違え事故」をテーマに描かれることが多かったけれど
是枝監督はそのテーマで2013年に福山雅治主演の「そして父になる Like Father, Like Son」を制作している。
裕福な家庭の父親を福山が、取り違えられた先の貧しい家の父親がリリーフランキーを演じていて
樹木希林も出演し、まさに是枝ファミリーだね。(2015年「海街Dairy」にもリリーさんや希林さんは出演)
私は同じ福山主演の2017年「三度目の殺人」が好きだけど。というか、役所広司の演技が素晴らしすぎた。
次回作の『真実』(La vérité)も楽しみだ。カトリーヌ・ドヌーヴにジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークだよ!
パルムドールってすごいなぁ。。。ていうか、ずっとコンスタントに映画を撮り続けて、
2015年からは毎年映画を公開させている是枝監督すごすぎる。
実際にあった、親の死亡届を出さずに年金を不正に貰い続けていたある家族の事件をもとに、
構想10年近くをかけて作った。日本国内での公開に当たっては、PG12のレイティング指定がなされている。
第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得した。
日本人監督作品としては、1997年の今村昌平監督『うなぎ』以来21年ぶり。
脚本段階では子どもに「お父さん」「お母さん」と呼んでほしいと願う主人公の想いが
重点的に描かれており、撮影中につけられていた映画のタイトルは『万引き家族』ではなく
『声に出して呼んで』だった。
万引き家族 Shoplifters
◇監督・脚本・原案 是枝裕和
◇製作 石原隆 依田巽 中江康人
◇出演者
柴田治(リリー・フランキー)・・・本作の主人公である東京の下町に暮らす日雇い労働者。
柴田信代(安藤サクラ)・・・治の年若い妻。クリーニング店工場のパート従業員。
柴田亜紀(松岡茉優)・・・信代の妹。「さやか」という源氏名でJK見学店に勤務。
柴田祥太(城桧吏)・・・治の息子。登校せず治と万引きして稼ぐ。愛読書は絵本「スイミー」。
ゆり(佐々木みゆ)・・・治が連れ帰った少女。両親からネグレクトなど虐待を受ける。
柴田初枝(樹木希林)・・・治の母。年金受給者である。夫とはすでに離婚している。
4番さん(池松壮亮)・・・亜紀が勤務する店の常連客。発話障害があり筆談で意思を伝える。
柴田譲(緒形直人)・・・亜紀の本当の父親。初枝の元夫と後妻との間の子。
柴田葉子(森口瑤子)・・・亜紀の本当の母親。
柴田さやか(蒔田彩珠)・・・亜紀の本当の妹。高校2年生。
北条保(山田裕貴)・・・ゆりの父。希とゆりに対しDVを働いている。
北条希(片山萌美)・・・ゆりの母。保からDVを受ける一方でゆりにネグレクトをする。
JK見学店 店長(黒田大輔)・・・亜紀が勤務する性風俗店の店長。
根岸三都江(松岡依都美)・・・信代が勤務するクリーニング店の同僚。
クリーニング店店主(清水一彰)・・・信代が勤務するクリーニング店の店主。
山戸頼次(柄本明)・・・柴田家の近隣にある駄菓子屋の店主。
米山(井上肇)・・・民生委員。
日雇い派遣の管理者(毎熊克哉)・・・治の日雇い労働の管理者。正社員。
前園巧(高良健吾)・・・警察官。
宮部希衣(池脇千鶴)・・・警察官。
ニュースキャスター(笠井信輔)
ニュースキャスター(三上真奈)
◇音楽 細野晴臣
◇撮影 近藤龍人
◇編集 是枝裕和
◇制作会社 AOI Pro.
◇製作会社 フジテレビ AOI Pro. ギャガ
◇配給 日本 ギャガ
アメリカ マグノリア・ピクチャーズ
◇公開 日本 2018年6月8日
香港 2018年7月5日
台湾 2018年7月13日
大韓民国 2018年7月26日
中華人民共和国 2018年8月3日
アメリカ合衆国 2018年11月23日
フランス 2018年12月12日
ドイツ 2018年12月28日
◇上映時間 120分
◇製作国 日本
◇言語 日本語
◇興行収入 45.5億円(2019年1月時点)
食べたものの記録:8/16(金)〜8/18(日)
好きなカレーをいろいろ工夫して食べて、ちょっと高いビールをご褒美に飲んで、たまに海鮮丼を食べて。
ただそれだけで幸せなんだよ。安上がりだね。
それでもこんな映画を観た後だと、なんだかすごく贅沢をしているような気になる。
2015年10月発売の実話エッセイ。アトピーって痒いだけの病気じゃないんです。
←感想・お問い合わせ・執筆やイベントなどのご依頼はこちらからどうぞ
『アトピーの夫と暮らしています』FBページです。
#「アトピーの夫と暮らしています」の感想
リンク「アトピーの夫と暮らしています」
読書メーター
◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■
◆東京◆
塩田千春展:魂がふるえる
2019.6.20(木)〜 10.27(日)会期中無休 森美術館
原田治 展 「かわいい」の発見
Osamu Harada: Finding “KAWAII”
2019年7月13日(土)〜9月23日(月・祝) 世田谷文学館
バスキア展
2019年9月21日(土)〜11月17日(日)森アーツセンターギャラリー
ミナ ペルホネン/皆川明 つづく
2019年11月16日(土)〜2020年02月16日(日)東京都現代美術館
みんなのレオ・レオーニ展
2019年7月13日(土)〜9月29日(日)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
◆名古屋◆
クリムト展 ウィーンと日本1900
2019年7月23日(火)〜10月14日(月・祝)豊田市美術館
https://klimt2019.jp/
ムーミン展
2019年12月7日〜2020年1月末 松坂屋美術館
サラ・ベルナールの世界展
2018年11月23日(金・祝)〜2019年3月3日(日)堺 アルフォンス・ミュシャ館
2020年1月頃まで、全国巡回予定。
https://www.sunm.co.jp/sarah/
木梨憲武展 Timing‐瞬間の光り‐
2019年9月13日(金)〜10月20日(日)松坂屋美術館
不思議の国のアリス展
2020年4月18日(土)−6月14日(日)名古屋市内の美術館(未定)
http://www.alice2019-20.jp/
◆大阪◆
ルート・ブリュック 蝶の軌跡
2019年9月7日(土)〜10月20日(日)伊丹市立美術館
https://rutbryk.jp/
ショーン・タンの世界展
2019年9月21日(土)〜10月14日(月・祝)美術館「えき」KYOTO
http://www.artkarte.art/shauntan/
萩尾望都 ポーの一族展
2019年12月4日(水)〜12月16日(月) 阪急うめだ本店
https://www.asahi.com/event/poeten/