ルーヴルNo.9 〜漫画、9番目の芸術〜

だいぶ前にチケットは入手していたのに、会期が始まると同時にバタバタして
なかなか行けなかった展示に、やっと行けました。
170809louvre_no9_1.jpgルーヴルNo.9 〜漫画、9番目の芸術〜 http://manga-9art.com/

フランス語圏には「バンド・デシネ(BD)」という独自に発展した漫画文化があり、子供向けのものから、技巧を凝らした芸術的なものまで、幅広い年代や層に楽しまれていることから、「バンド・デシネ」は「第9の芸術」と呼ばれています。
(※フランスにおける芸術の序列。第1から8までは順に「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」とされる(諸説あり)。)

「漫画」という表現方法を通じて、よりルーブルの魅力を伝えるべく企画された「ルーヴル美術館BDプロジェクト」は、漫画家たちに、ルーヴル美術館をテーマに自由に作品を描いてもらう、という前代未聞の心躍る企画です。

日本の漫画家を含むフランス内外の著名な漫画家たちにより、すでに12作品が出版され、プロジェクトは現在も進行中なのだそう。松本大洋さんの作品などは『ビッグコミックオリジナル』で現在連載中なのですね!

漫画の国ニッポンで、本プロジェクトが展覧会として上陸。新たに4名の日本人漫画家たちの参加も決定、本展のために新作を描き下ろします。約300点の原画や資料、そして映像を、エキサイティングな演出と共に展観し、日本ならではの、エンターテインメント性の高い、ダイナミックな展覧会が誕生いたします。

総勢16人の漫画家が描く、16通りのルーヴル。
ルーヴル美術館と漫画家たちの華麗なるコラボレーションを、どうぞご堪能ください。
危ない危ない。
ルーブルと名がつくので、お堅い油彩画ばかりの並ぶ展覧会と勘違いして、うっかり見損ねるところでした。

とにかくあの松本大洋さんの原画が見られるのです。これを行かずしてどこにいくというのか!我がオットなどユニクロの大洋さんのコラボTシャツ、もったいなくて着られないって、ずっと寝かしたままなんですよ。ユニクロだって言っても、値段じゃないんですよね。それくらいファンだってこと。

展覧会の構成は、第1章〜偉大なるルーヴル美術館〜・第2章〜ようこそ、異次元の世界へ〜・第3章〜時空を超えて〜の3つからなります。
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170809louvreno9_ura.jpg170809news_header_LesChatsduLouvre.jpg170809_IMG_6385.jpg170809_IMG_6423.jpg入り口はいるとすぐに、漫画原稿を従えたサモトラケのニケの像が鎮座。まるで、バンド・デシネの女神であるかのように。
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右上端が大洋さんの描かれたコマなので、近くでパチリ。

第一章、最初の部屋に入ってすぐがChristian Durieux(クリスティアン・デュリユー)さんの作品。
大物政治家と謎の若い女性との深夜のルーブルでの秘密の逢瀬。とのことだけど、女性が、どう見ても、日本人の私の目には「うら若き女性」には見えず、くたびれた中年女性に見えてしまう。若さを美徳として強調したがる日本人と美しく年を重ねることに価値を置くフランス品の感性の違いなのか。
フランス人作品は全体的にセリフが少なく、文字がなくても楽しめるものが多かったように思う。それも漫画とバンド・デシネの違いなのだろうか。

次に、残念ながら本展の巡回中に亡くなられた、Jirô Taniguchi(谷口ジロー)さんの作品。カラー原画の美しさに目を奪われた。衝撃だった。漫画家さんってこんなに絵が上手いのか!と、自分も漫画家であり、イラストレーターでありながら、一瞬そう感じてしまい、ショックを受けた。
ジローさんは、自身をして「バンド・デシネに一番影響を受けた日本人漫画家」だと評しているが、上記のデュリユー氏はジローさんの作品を愛読していたと語っているように、ご自身がバンド・デシネに与えた影響も小さくはないはずだ、と思った。

ここから先は順番が怪しいけど。。。
Étienne Davodeau(エティエンヌ・ダヴォドー)さんは本当に絵が上手いと思った。アートと言うより、マンガに限りなく近い感じ。キャラクターが魅力的で、セリフが分からずとも何となく面白い。イラストレーションとしてもしゃれている。

Marc-Antoine Mathieu(マルク=アントワーヌ・マチュー)さん。モノクロームの世界が素晴らしく素敵だった。先日見たゴーリーの作品をほうふつとさせる。原画はキレイにスミで塗りつぶされていて、細かくて素晴らしかった!この方の絵に合わせた会場の装飾もカッコ良かった。

Éric Liberge(エリック・リベルジュ)さんのは、日本人が描いたと言ってもおかしくないような画風。この方も水彩で描いていて、本当にうまい。昨今の漫画はデジタルで描かれているイメージが強いが、16人の出展者のうち、デジタルなのはBernar Yslaire(ベルナール・イスレール)さん、Shin-ichi Sakamoto(坂本眞一)さん、Katsuya Terada(寺田克也)さんの3名のみで、Mari Yamazaki(ヤマザキマリ)さんは、アナログで描いたものをデジタル入稿しているよう。やっぱりデジタルとアナログは違う。バンド・デシネにはアナログが似合う気がする。見比べてみると面白い。

そして私が今回一番気に入ったのは、David Prudhomme(ダヴィッド・プリュドム)さん。彼の作品が一番アーティスティックだと思った。それなのに、面白い!セリフなんか一個もなくても面白いのだ!すごい!天才だと思った。作品と何となく似たお客さんをこれでもか!と並べて描いたり、絵の前に並ぶ大勢の人たちの顔がバラエティに富み過ぎてておかしい!こういうのだったら、たくさんの人も楽しく描けそう。試してみたい〜。

恥ずかしながらワタクシ未だ「ワンピース」も読んだことが無かったりするのだが、御多分に漏れず「ジョジョの奇妙な冒険」も未読である。だけど、Hirohiko Araki(荒木飛呂彦)さんの作品を見たら、物凄く読みたくなった。圧倒的な魅力。場面展開が妙に唐突なのは、イタリアの彫刻芸術からヒントを得て作り上げられた、いわゆる「ジョジョ立ち」ってやつでもあり、ルーブルの作品たちへのオマージュが込められてるからなのだそうだけど、その奇妙なテンポがたまらなく魅力的なのだ。はまるってこういうことをいうのだな。

そして失礼ながら今回の展示で初めて知ったShin-ichi Sakamoto(坂本眞一)さんの作品。最初は、村山さん的眉毛のマリーアントワネット、何でまた男性がこんな題材を?と最初は思いましたが、この方の漫画、全編文字がキレイに入ってて、会場で読むことが出来たのですが、すごく読みやすい!特に処刑人が死神の扮装で登場するシーンなど、少女漫画的萌え要素満載です。しかし、生涯で3000人も処刑したら気が狂いそうだな。。。→シャルル=アンリ・サンソン(パリの死刑執行人(ムッシュ・ド・パリ(Monsieur de Paris))を勤めたサンソン家の4代目当主)

先日、日本人で死刑執行の経験のある方のインタビューを読んだのだけど、現代の日本の場合は、数名でボタンを押して、誰が押したかわからないようにしてるそうだけど、それでも「死刑執行役」は基本的には、素行の悪い看守への罰的なモノで、誰もがやりたくない仕事だなのだそう。
また、ぶら下がって大きく揺れる死体を受け止める役目と言うのもあり、それも辛い役目だったそうだ。。。だよね。
フランス革命の頃なんて、ギロチンの刃で首を落として、それを民衆に向かって高く掲げるんだもんね。。。しかも世間からは奇異な目で見られる上、世襲制で逃れることが出来ず、薄給ゆえ、代々副業を持っていて、サンソンも医者だった(死刑執行人の家では学校に通うことが許されないので、サンソン家では独自で研究していたのだそう)。。。副業が医者って。。。

このムッシュ・ド・パリの件もそうだけど、今まで知らなかったフランスの歴史の側面なども知ることが出来、有意義な時間だった。恥ずかしながら、ルーブルがかつて王宮だったということも知らなかったので(太陽王ルイ14世がベルサイユ宮殿に移るまでは代々の王宮だった)、ルーブルの魅力をより深く知ることが出来て、がぜん行きたくなった!!この展覧会の目標は達せられていると思うー。

そして最後にTaiyou Matsumoto(松本大洋)さん。
ルーブルにコッソリ住み着いたネコたち。彼らの存在を知っているのは夜警の人々のみ。見つからないように静かに住みついていた彼らの中で、異端児が現れる。白い猫は、人であふれる昼間のルーブルにも顔を出すようになり。。。。という話。先日たまたまテレビで見ましたが、エルミタージュ美術館には、本当にネコが飼われていて、こちらは美術館公認で、ネズミ退治という重大なお役目を果たしているのだとか。彼らはロシアを救った英雄でもあるそうで。ルーブルにも実はネコが居たら楽しいのにねぇ。
上にも書きましたが、まだ連載中なんですね。谷口ジローさんや荒木飛呂彦さんのように全面カラーではないいつもの松本大洋さん。ネコとアフロにホッとする。

また、3つの章の間には、作品内によく登場するルーブルの著名な美術品の解説や、作家のプロットや、日本の漫画とバンドデシネの違いなどの解説も盛り込まれて、とってもお勉強になり、分かりやすい!ホント楽しい展示でした!

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夜のルーブル。岸辺露伴が探検中かも?実はネコたちの住処だったりして。。。夢は膨らむ!
名古屋
会期  2017年7月15日(土)- 9月3日(日)※会期中無休
開館時間  10:00 - 19:30(最終入館19:00)
※最終日は18:00閉館、入館はいずれも閉館の30分前まで
会場  松坂屋美術館[松坂屋名古屋店南館7階]
〒460-8430 名古屋市中区栄3丁目16番1号
TEL: 052-264-3611
交通案内
<電車の場合>
地下鉄名城線「矢場町」駅 地下通路直結(5・6番出口)
地下鉄「栄」駅 16番出口より南へ徒歩5分
<お車の場合>
名古屋高速白川出口、東新町出口、東別院からお越しいただくと便利です。
アクセスマップ  http://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/access.html
公式サイト  http://tokai-tv.com/events/louvre/
主催  ルーヴル美術館、東海テレビ放送
協賛  大日本印刷
後援  在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、名古屋市、名古屋市教育委員会

                  


◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■

奈良美智 for better or worse
2017年7月15日[土]−2017年9月24日[日] 豊田市美術館
http://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/2017/special/narayoshitomo.html

デンマーク・デザイン
2017年9月9日(土)〜11月12日(日) 静岡市美術館
http://www.shizubi.jp/exhibition/future_170909.php

2017イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
2017年9月30日(土)〜10月29日(日) かわら美術館
http://www.takahama-kawara-museum.com/exhibition/schedule.html

篠原有司男展 ギュウちゃん、“前衛の道”爆走60年
平成29年9月16日(土)〜11月5日(日)刈谷市美術館
http://www.city.kariya.lg.jp/museum/exhibition/schedule/

ビアトリクス・ポター™生誕150周年 ピーターラビット™展
2017年9月16日(土)〜11月5日(日) 名古屋市博物館
http://www.peterrabbit2016-17.com/
http://www.museum.city.nagoya.jp/exhibition/special/lineup/index.html

アートたけし展
2017年9月30日(土)〜2017年11月18日(土)松坂屋美術館
http://www.art-takeshi.com/


                  


170809_IMG_6416b2.jpg170809_IMG_6436.jpg丸の内で打合せがあり、調べ物のために県図書館に行って腹ごしらえ。季節限定・ざるラーメン、うまい!
特にしょうゆだれの方がお気に入り。
ゴマダレは若干辛め。
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それから伏見で打合せで、微妙な距離感だったので、猛暑の中歩く。あっという間に話は終わり、そのまま矢場町へ歩く歩く。美術館内でも立ちっ放しで歩く。
夜は友人宅のご飯会。15人くらい集まってて楽しかったー。

なんか偉い疲れたなと思ったら、1万5000歩も歩いててビックリ。5月からの計測で歴代2位ですよ。こんなクソ暑いのに。水分補給は必須です!!

1位は当分抜けないであろう、例の7駅歩いちゃって深夜に2時間フラフラになってたという日。昼間はほとんど歩いてないんだけどね。
3位は、抜くことはないと思ってた6月のレディ歩き最終日
4位は名古屋駅で午前中から打合せあとのランチとゲートタワー徘徊。この日こんなに歩いたとは意外だったわ。
5位は京都初日。夜ごはんのMAPのコンビニの位置が間違ってて、道に迷ったせいと思われ。しかし、いい店だったので許す。(えらそう)
6位は、美術展とイベントとギャラリーのハシゴ。この時点では記録だったのね。考えてみると、3つハシゴって最近ほとんどない、いやできない。気候が良かったからよね。夏は無理!って、あ、今回打合せ2個と美術展とご飯と4つハシゴしたわw。
7位は先日の瀬戸。説明を聞きながらもそこそこ歩いたし、帰りに商店街を抜けて帰ったからね。


                  


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