そんな先端技術を用いて撮られた映画は、古き良き時代の男たちの生き様と悲哀に満ちていた。
「普遍的な」人間について語るものだった。
アイルランド系の大男で、闇世界のドンとビートルズ並みに人気のある組合委員長の両方から愛されたヒットマン。
デ・ニーロの演技がすさまじかった。
どんなに栄華を極めても、悪人の最期は虚しい。
ちょっとしたほころびが元であっけなく殺されたり、刑務所で惨めに生涯を終えたりする。
生き残っても家族にすら見捨てられ、一人でクリスマスを過ごすことになる。
あっけなく殺されて、その死の真相どころか、死体の在処すら不明なのがパチーノ演じるジミー・ホッファ。
ホッファ殺害を命じ、別件で投獄されてそのまま刑務所で死亡したのが、闇世界に君臨したペシ演じるブファリーノ。
そして、ホッファをブファリーノの指示で殺害し、その後服役したデ・ニーロ演じるアイリッシュマン。
自分を兄弟とまで呼んだホッファを失い、娘には縁を切られ、施設で神父に懺悔を続ける姿はあまりにも惨めだ。
とはいえ、この映画はあくまでも、シーラン(アイリッシュマン)の「自分が殺害した」という告白を元にした
「フィクション」で、実際にはホッファ殺害の真相は解明されていない。
本編にたびたび登場したケネディ大統領の暗殺事件。一説にはその黒幕はホッファであるとも言われている。
しかし、皮肉なことにそのホッファ自身の死も、ケネディと同じくアメリカ最大の謎とされているのだそうだ。
「家でペンキを塗った」という言葉の真意はもちろん「ジミー・ホッファを殺したのは私だ」という自供。「家をペンキ塗りする」という隠語はマフィアの間で「殺害する」を意味する。つまり「お前は殺し屋なんだってな」ということ。ヒットマンが殺人をするとき、家の壁が血の海で赤いペンキを塗ったようになるということに由来。原作でジャーナリストのチャールズ・ブランドが2004年に刊行しベストセラーとなった実録犯罪レポ書『I Heard You Paint Houses』のタイトルでもある。
アイリッシュマン The Irishman
https://cinemaevery.com/the-irishman-introduction/≪あらすじ≫
第二次大戦後のアメリカで、全米トラック運転組合の幹部でありながら裏社会の犯罪行為にもどっぷりと手を染めていた伝説の男フランク・シーランの半生を描く。
チャールズ・ブラントによるノンフィクション著作『I Heard You Paint Houses』を原作として、第二次大戦後のアメリカを舞台に、実在したフランク・シーランという人物を通して描かれる裏社会に生きる人間たちの悲哀・・・。
https://www.tadamonkugaiitakute.com/36553.html当時のアメリカの労働運動と、その裏に暗躍したマフィアとの結びつき、更には1975年に失踪した全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファ暗殺の真相にも迫ります。
マフィア同士の抗争をただ見せるのではなく、世界の歴史が動いた重要な出来事と絡めているのが功を奏している。JFケネディー大統領の暗殺事件の黒幕をはっきりとマフィアの仕業として描いている。ケネディー一家は禁酒法時代に酒の密売で財を築いた家族で、マフィアとのつながりが深かったにも関わらず、大統領になった途端マフィアを一掃するようなキャンペーンを打ち立て、反感を食らったことで知られる。
マーティン・スコセッシ監督の悲願とも言われた映画化の実現だけでなく、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、そしてジョー・ペシという圧倒的な存在感を誇る俳優陣の共演は、多くの映画ファンの耳目を集めました。第二次大戦後の混沌としたアメリカ。“The Irishman”ことフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)は、全米トラック運転手組合「チームスター」のリーダー、ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)の右腕として働きます。ところがその裏の顔は、裏社会のドンとして君臨するラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)に仕える凄腕のヒットマンでもあったのです。
やがてホッファが失踪するという事件が起こり、シーランには事件の関与とホッファ殺害の容疑がかけられます。物語はシーランを通じて、当時の裏社会に生きる一癖も二癖もある面々の人間模様と、その壮絶な生きざまを描き出して行きます。
フランク・シーランは全米トラック運転組合(チームスター)の一員として長らく活動していたが、その傍らでブファリーノ・ファミリーと共に犯罪行為に手を染めていた。ファミリーの依頼で人殺しも行ってきたシーランだったが、彼が関与した事件の中には、(JFK暗殺の真相とともにアメリカ史上最大の謎・)ジミー・ホッファの暗殺も含まれていた。本作は最晩年のシーランの回想という形を取りながら、ホッファ暗殺の真実や労働運動とマフィアの結びつき、裏社会に生きた者の悲哀を描き出していく。
監督 マーティン・スコセッシ
脚本 スティーヴン・ザイリアン
原作 チャールズ・ブラント『I Heard You Paint Houses』
製作 マーティン・スコセッシ ジェーン・ローゼンタール
エマ・ティリンジャー・コスコフ ロバート・デ・ニーロ ガストン・パヴロヴィッチ
出演者 ◎フランク・シーラン(アイルランド系米国人・凄腕のヒットマン"The Irishman")
: ロバート・デ・ニーロ
◎ジミー・ホッファ(全米トラック運転組合委員長・ビートルズ並みの絶大な人気・
ケネディ大統領暗殺の黒幕説・フランクをボディガードとして雇う): アル・パチーノ
◎ラッセル・ブファリーノ("McGee" および "Old Man" 北東ペンシルバニアの
イタリア系アメリカ人マフィア・ブファリーノ一家のボス): ジョー・ペシ
・フェリックス・ディトゥリオ: ボビー・カナヴェイル
・ビル(ウィリアム)・ブファリーノ(弁護士でラッセルのいとこ): レイ・ロマーノ
・アンジェロ・ブルーノ(フィラデルフィアを支配したマフィア組織のボス・
:ハーヴェイ・カイテル
・トニー・プロ(Anthony Provenzano ニュージャージー州のマフィアのボス・
ジミーと一緒に服役): スティーヴン・グレアム
・アンソニー・サレルノ(”Fat Tonny” ニューヨーク・マフィアの五大一家の
1つ・ジェノヴェーゼ一家のフロントボス): ドメニク・ランバルドッツィ
◎ペギー・シーラン(フランクの4人の娘のひとり): アンナ・パキン
・アイリーン・シーラン(フランクの二人目の妻): ステファニー・カーツバ
・トーマス・アンドレッタ(ジミー・ホッファ暗殺の容疑者): ジェレミー・ルーク
・スティーブン・アンドレッタ: ジョゼフ・ルッソ
・キャリー・ブファリーノ(ラッセルの妻): キャスリン・ナルドゥッチ
・ジミー・ニール: J・C・マッケンジー
・エド・パーティン: クレイグ・ヴィンセント
・フランク・フィッツシモンズ(全米トラック運転組合会長・組合の顔”フィッツ”
・ジミーを裏切る): ゲイリー・バサラバ
◯ジョゼフィーヌ・ホッファ(ジミー・ホッファの妻): ウェルカー・ホワイト
・チャッキー・オブライエン(ジミーの義理の息子)
: ジェシー・プレモンス(マット・デイモンのそっくりさん)
・ロバート・ケネディ(第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの実弟・
同政権の司法長官): ジャック・ヒューストン
・ドン・リックルズ: ジム・ノートン
音楽 ロビー・ロバートソン
撮影 ロドリゴ・プリエト
編集 セルマ・スクーンメイカー
製作会社 Netflix シケリア・プロダクションズ トライベッカ・プロダクションズ
配給 世界 Netflix
公開 世界 2019年11月7日
上映時間 210分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $159,000,000
キャスティング
2017年7月、ジョー・ペシの出演が正式に決定した。ペシの出演交渉は難航を極め、受諾までに50回ほど断られたと報じられている。
撮影・音楽
本作の主要撮影は2017年8月29日にマンハッタンで始まり、2018年3月5日に終了した。
なお、本作はフランク・シーランの半生を描いた作品ではあるが、若い頃のシーランもデ・ニーロが演じている。インダストリアル・ライト&マジックによる特殊効果によって、デニーロの風貌を若返らせることで、一人の俳優が演じきることが可能になった。
評価
本作は批評家から絶賛されている。 Rotten Tomatoesでは221件の批評家レビューのうち96%が支持評価を下し、平均評価は10点中8.9点となった。 サイトの批評家の総合的な見解は「『アイリッシュマン』は大胆で、壮大で、一生涯をたちまち駆け抜けるような映画。際立った技術と生々しい演技の数々、そしてダークなユーモアをそなえた、スコセッシによるジャンルの魅力の総決算であり、近年のキャリアの勝利だ。」である。
食べたものの記録:10/16(水)〜10/21(月)
最近、市販のパスタソースにアレンジを加えて食べることが増えてるんだけど、あんかけパスタもなかなかいける。
でも一番お気に入りは、高菜ソース二人分の半分だけ使ってきのこ類と牛乳とチーズ、片栗粉など加えて
ホワイトソースにするとめちゃくちゃうまい。これで二人分でちょうどよく、二回つくれてお得感半端ない。
(ここにはその写真はない)
◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■
◆東京◆
ミナ ペルホネン/皆川明 つづく
2019年11月16日(土)〜2020年02月16日(日)東京都現代美術館
◆名古屋◆
ムーミン展
2019年12月7日〜2020年1月末 松坂屋美術館
サラ・ベルナールの世界展
2018年11月23日(金・祝)〜2019年3月3日(日)堺 アルフォンス・ミュシャ館
2020年1月頃まで、全国巡回予定。
https://www.sunm.co.jp/sarah/
木梨憲武展 Timing‐瞬間の光り‐
2019年9月13日(金)〜10月20日(日)松坂屋美術館
不思議の国のアリス展
2020年4月18日(土)−6月14日(日)名古屋市内の美術館(未定)
http://www.alice2019-20.jp/
◆大阪◆
萩尾望都 ポーの一族展
2019年12月4日(水)〜12月16日(月) 阪急うめだ本店
https://www.asahi.com/event/poeten/
英誌選出「映画史に残る監督&俳優のコラボレーション50組」 2012年7月29日
英Total Film誌が、映画史に残る「監督と俳優のコラボレーション50組」を発表した。
ベスト30までは以下の通り。
1.マーティン・スコセッシ&ロバート・デ・ニーロ
2.ジョン・フォード&ジョン・ウェイン
3.黒澤明&三船敏郎
4.ティム・バートン&ジョニー・デップ
5.ハワード・ホークス&ケイリー・グラント
6.アルフレッド・ヒッチコック&グレース・ケリー
7.ビリー・ワイルダー&ジャック・レモン
8.ウッディ・アレン&ダイアン・キートン
9.ジョン・ヒューストン&ハンフリー・ボガート
10.コーエン兄弟&フランシス・マクドーマンド
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191130-00010000-cinemore-movi
冒頭、カメラは老人たちの施設にいるひとりの老人を映し出す。車椅子に座り、手には杖を持った彼の名前はフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)。
「昔、家にペンキを塗るのはペンキ屋だと思っていたが、実は違っていた」
「家にペンキを塗る」というのは裏社会の用語で、人殺しのことをさす(血しぶきが家に残るところから来ている)。フランクは全米トラック運転手組合(チームスターズ)のひとりで、「私も家にペンキを塗っていった」と過去の話を始める。
そして、現代から70年代へと時計の針が戻る。そこでフランクは友人で、フィラデルフィアのギャングであるラッセル・バッファリーノ(ジョー・ペシ)やそれぞれの妻たちと4人で、ラッセルの親族の結婚式のため、デトロイトに向かっている。旅の途中で、ふたりは初めて出会った時のことも回想する。
フランクは精肉を運ぶトラックの運転手だったが、ある時、ガソリン・スタンドでラッセルと出会い、友好を深める。第二次大戦に参加したこともあるシーランは銃の扱いにも慣れていて、ペンキ塗りの仕事に加担することで、まわりの信頼を勝ち得ていく。そして、彼はバッファリーノの紹介でチームスターズのドンであるジミー・ホッファ(アル・パチーノ)とも知り合う。
映画は冷静なシーラン、物静かなバッファリーノ、感情的なホッファの3人を基軸にして、チームスターズとギャングたちとの関係を描き、その権力闘争をあぶりだす。60年代はエルヴィスやビートルズと並ぶ人気者だったといわれたホッファ。しかし、75年に失踪事件が起き、そのゆくえは謎のまま。そんな失踪事件のカギを握っているのが、シーランとバッファリーノで、映画では歴史の謎が少しずつ解き明かされていく。