2019年日韓映画対決?「パラサイト 半地下の家族」と「記憶にございません!」

このところ、映画を結構見ているが、「泣ける映画」を全く見ていない。
それどころか、さかのぼってみると、昨年一年間もほぼ見ていないことに気付いて愕然とする。
ちょっと泣けたといえば「こんな夜更けにバナナかよ」くらいだけど、これは映画に泣けたというより
三浦春馬さんが出て来るたびに泣けたという感じだし。
昨年観た映画で唯一泣いたのは「LOOPER」だけど、これは2014年の再視聴。
(さらにさかのぼったら2018年「人生フルーツ」までなかった。。。)

しかし強く思うね、泣ける映画だけが名画じゃない。

(あ、どーでもいいけど、ドラマは見てよく泣いてるなぁ。「おちょやん」とか「ディア ペイシェント」とか)

main.jpg2021.01.08 Friday
2021年2本目の映画は、一昨年カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞したうえ、アジア映画ではじめてアカデミー賞作品賞を受賞したことで話題をさらった「パラサイト 半地下の家族」。
同じ年度ということと同時期に見たので「記憶に〜」と比較してるけど、本来比較すべきは前年の「万引き家族」なのだろうなぁ。しかし「万引き家族」はパルム・ドールこそ受賞しているけれど、アカデミー賞は外国語映画賞のノミネートにとどまる。

両者の違いは何だろう?と考えてみると。。。

「パラサイト」のほうがコメディ要素が強いことと、純粋な驚きがあったのではないか、と感じる。欧米人からすると、子どもに盗みをさせる親がいることはそれほど驚きはないかも知れないが、あのような半地下に住む家族がいることは、にわかには信じられないだろう。

ハッピーエンドかどうかというのも評価が分かれるところなのかもしれない。日本においては純文学とは解決しない、ハッピーエンドにはなりえない作品だという。そういう意味で、バッドエンドとも言え、結論付けない終わり方をしている「パラサイト」に軍配が上がるのかもしれない。「万引き家族」は「たとえ世間からずれていても、血がつながってなくても家族らしい」というメッセージが強すぎて、最後無理に「いい話」にまとめようとしたところが、ちょっとひっかかる。

いやだからと言って「パラサイト」のほうがいいというつもりはないけど、欧米での高評価の理由について考えてみた。


                


肝心の「パラサイト」自体の感想は、単純に面白かった!(以下ネタバレ)
コミカルに始まり、どんどん家族を富豪の家に送り込んでいく展開は軽快で、まさかあそこまでの展開になるとは予想もしていなかったので、目が離せなかった。

雨の中階段を延々と降りて帰宅するシーンが象徴的。
貧しいということは下層下層へと降りていくこと。彼らの家の中も層に分かれている。
富豪の家は家族だけが階上に住み、地下には家政婦の夫が住む。半地下ではトイレが居室の上にある。

徹底的なまでの富裕層と貧困層の格差。
どんなに取り繕ってみせても隠せない「臭い」を通じて、格差を見せつけられた時。父の気持ちがすごくよく伝わった。

それにしても、役名と俳優名を見ていても、韓国名って同じような名前ばかりで区別がつかなくて困るぅ。
ほぼ「金(キム)」さんと「朴(パク)」さんと「李(リー)」3ばっかのように感じる。
金   キム     Kim
明   ミョン    Myung
朴   パク(ボク) Park
孫   ソン     Sohn
李   イ      Lee
そしてキム家の兄妹は、どちらもサギ名をケビンとジェシカという西洋名にしてるけど、これ怪しまれないのか?
韓国だと西洋名にしてる人、多いのだろうか・・・

パラサイト 半地下の家族 
기생충 
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監督     ポン・ジュノ
脚本     ポン・ジュノ ハン・ジンウォン
製作     クァク・シネ ムン・ヤングォン 
       ポン・ジュノ チャン・ヨンファン
出演者    ソン・ガンホ・・・キム・ギテク(半地下に住む一家の父親)
       イ・ソンギュン・・・パク・ドンイク(一家に寄生される富豪でIT会社の社長) 
       チョ・ヨジョン・・・ヨンギョ(パクの美しく若い妻。騙されやすく能天気な性格)
 
       チェ・ウシク・・・キム・ギウ(半地下に住むキムの息子。パク家に家庭教師として潜入)
       パク・ソダム・・・キム・ギジョン(半地下に住むキムの娘。美大を目指す)

       イ・ジョンウン・・・ムングァン(パク家の家政婦。桃アレルギー)
       チャン・ヘジン・・・チュンスク(半地下に住むキムの妻。元ハンマー投げのメダリスト)
       チョン・ジソ・・・パク・ダヘ(パク家の令嬢。ギウの生徒で恋愛関係になる)
       パク・ソジュン(特別出演)・・・ミニョク(家庭教師の職を紹介してくれたギウの友人)
       チョン・ヒョンジュン・・・パク・ダソン(パク家の子息。天然で天才のふりをしている)
       パク・ミョンフン・・・オ・グンセ(パク家の地下にかくまわれていた家政婦の夫)
音楽     チョン・ジェイル
撮影     ホン・ギョンピョ
編集     ヤン・ジンモ
製作会社   パルンソンE&A
配給     大韓民国 CJエンタテインメント
       日本 ビターズ・エンド
       アメリカ合衆国 NEON
公開     フランス 2019年5月21日 (カンヌ国際映画祭)
       大韓民国 2019年5月30日
       カナダ 2019年9月 (トロント国際映画祭)
       日本 2019年12月27日 (限定公開)
       日本 2020年1月10日
上映時間   132分
製作国    大韓民国
言語     韓国語
製作費    135億ウォン
興行収入   47.4億円
テレビ放送  2021年1月8日に日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』にて地上波初放送(当番組用の吹替版)
                


320.jpg2021.01.09 Saturday
翌日もやはり地上波初放送となる「記憶にございません!」
間違いない三谷幸喜のコメディ作品。面白いに決まってる。
しかし、これ2019年だからみんな笑って見ていられたんだよね。
今は笑って見られない。

思わず、石をもって官邸に行きたいと思った人は多いのではないか。
ある意味タイムリーというか。
公開当時2019年は平和だったなー。この映画をこんなに身につまされる想いで見ることになろうとは。

それにしても興味深いシーンがいろいろ。官房長官が総理よりえばっていたり、秘書が勝手に
献金を受け付けたりなんてことも、ありうるんだなとも思うが、それはこの映画みたいに特殊な場合。
基本「秘書がやりました」は嘘なのだろう。

全然関係ないけど、昔から秘書が責任を取らされることには疑問を感じていて
なんでこんな目に遭うのに秘書になるんだろう?と思っていた。
つまり博打なんだよね。
基本そういった事件に遭うことはなく、普通に秘書官の仕事をこなして行けば大臣の椅子が待っている。
事件に当たってしまったら運が悪いってことで。
生涯かけて博打やるようなもんなんだろうな、政治家になるってことは。
大事なのは運と時流に乗ること。本当にそれでいいのか?

三谷幸喜らしい「徹底的な娯楽作品」という意味でよくできた映画。
主演の中井貴一をはじめ、出演者は皆芸達者ばかり。
個人的にはゆりちゃんが可愛くて、小池栄子がやっぱ好き。
佐藤浩市と寺島進がピッタリの役でよかったわー。
ディーンは「危険なヴィーナス」でもここでも「一見悪役?」かと思いきやいい奴じゃん、という役どころ。
イケメンだしおいしすぎやろ。
有働さん途中まで気づかんかった!そして、ROLLYを仲本工事だと思ってた。。。ギター上手いし!

ところで、総理はいったいどこから記憶が戻っていたのだろう?
どこかにホントがあるのかな?もう一度見て確認したいところだ。


                


記憶にございません!
監督     三谷幸喜
脚本     三谷幸喜
製作     石原隆、市川南
出演者    中井貴一・・・黒田啓介(第127代内閣総理大臣。憲政史上最悪の内閣支持率2.3%を記録)
       ディーン・フジオカ・・・井坂(首相秘書官。記憶を失っている啓介を補佐)
       石田ゆり子・・・黒田聡子(啓介の妻。夫の秘書官である井坂と不倫井坂と不倫)
       小池栄子・・・番場のぞみ(事務秘書官。首相秘書官の井坂とともに啓介を支える)
       斉藤由貴・・・寿賀さん(首相官邸料理人。何事にもマイペース)
       吉田羊・・・山西あかね(野党第二党の党首。啓介とは初当選同期で不倫関係)
       木村佳乃・・・スーザン・セントジェームス・ナリカワ(米国初の日系女性大統領)
       山口崇・・・柳友一郎(啓介の小学時代の恩師。啓介に請われ政治を教える)
       草刈正雄・・・鶴丸大悟(内閣官房長官。国民人気が高く「影の総理」と呼ばれる)
       佐藤浩市・・・古郡祐(裏社会に通じるフリーライター。元は情熱に燃える政治記者)
       田中圭・・・大関平太郎(職務熱心な警察官。啓介にセキュリティポリスに任命される)
       寺島進・・・南条実(現役の中年大工。啓介に投石し、記憶喪失を招いた実行犯)
       濱田龍臣・・・黒田篤彦(啓介の一人息子。嫌われ者の父に呆れ問題行動を起こす)
       有働由美子・・・近藤ボニータ(夜のニュースキャスター。啓介の行動をこき下ろす)
       ROLLY・・・鱒淵影虎(衆議院議員。聡子の兄で啓介の義兄。実父は総理大臣)
       梶原善・・・小野田治(小野田建設社長。啓介の小学校からの幼なじみ)
       後藤淳平(ジャルジャル)・・・八代(鶴丸官房長官の秘書官。父親は八百屋)
       宮澤エマ・・・ジェット・和田(ナリカワ米国大統領に同行する通訳)
       山寺宏一・・・さまざまな声
音楽     荻野清子
撮影     山本英夫
編集     上野聡一
配給     東宝
公開     2019年9月13日
上映時間   127分
製作国     本
言語     日本語
興行収入   36.4億円
興行成績   2019年9月13日に公開後、土日2日間の全国映画動員ランキングで3週連続1位を獲得
テレビ放送  2021年1月9日フジテレビの土曜プレミアムで地上波初放送
                


2020年9月発売の新刊です。
どうぞよろしくお願い致します♡


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