映画「インセプション」「プレステージ」「アイデンティティ」

『インセプション』(原題: Inception)2010年・米(SFアクション)クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作。(ネタバレあり)
先日クリスマスパーティーをしたのですが、主題は映画を観る会で、私たち夫婦が映画を選ぶ担当になり、なかなか見られずにいたノーラン監督の「インセプション」にした。「ノーラン監督」といえば、「メメント」で話題をさらってから(私はリアルタイムでは知らないけど)、凝りに凝った作品世界を見せてくれ、今では押しも押されぬヒットメイカー。

ken_watanabe.jpg本作は何と言っても渡辺謙とディカプリオの競演ってことで、日本でも話題になった。「インセプション」とは「植え付ける」と言う意味で、普段は標的の夢の中から情報を引きだす産業スパイのディカプリオに、日本人の企業家のサイトー(渡辺謙)から、競争相手のアタマにある考えをインセプションしてほしいという依頼から始まる。

ディカプリオは、特殊任務のために身につけた夢に入り込む技術で、普段から奥さんのモル(マリオン・コティヤール)と遊んで夢に入り浸るうちに、奥さんは夢と現実の区別がつかなくなって自殺してしまう。しかし、ディカプリオが殺害したとして、彼はそれ以来追われる身に。

joseph_-gordon-levitt.jpg脇を固める俳優陣もみんな役に合ってて、特にディカプリオの相棒役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットは、存在感があった。あ、「LOOPER」(2012年米)の俳優さんだな、とすぐにわかったのだけど、「LOOPER」ではブルース・ウィリスの若いころと言う役柄で(子供の頃ではないというのがややこしく、無理があるよね)、顔を特殊メイクでブルースに寄せていたので、何か無駄に格好良かった。(この映画、私はかなり気に入っている)

彼の素顔を見て、軽くがっかりしていたのだが(超失礼)、この「インセプション」、彼めちゃカッコよかった。割とわかりやすく、熱いコブ(ディカプリオ)とクールなアーサー(レヴィット)という構図で、終盤でひとり危機を切り抜けようと冷静にいろいろ対処するのだが、本人はいたって無表情でクールに淡々とこなしているのに、何故か笑えるという。。。

夢の中を設計するという建築家の学生の女の子アリアドネ(エレン・ペイジ)とアーサーがキスするシーンが、この映画唯一の萌えシーン(笑)

なかなかスリリングで、後作の「インターステラー」と同じく、≪時間軸の違い≫を利用したストーリー構成が素晴らしく、車、いつまで川に落ちんのや!と突っ込みつつ、エレベーターの上に吊られた人々に笑い、雪の中での銃撃戦にハラハラし、最下層では何が起こるかドキドキする。。。と言う展開。

雪山で大活躍する「なりすまし人」イームス演じるトム・ハーディも魅力的だけど、ディカプリオとこの人は2015年の映画「レヴェナント」では、対立する役を演じているのね。(「レヴェナント」は、仕事で絵を描いたので知ってるけど、実は時間が無くて、映画は見ていないのだ)そしてもちろん、謙さん演じるサイトーもよかった!

冒頭の老人は誰なのか?ディカプリオとの関係は?なぜ彼は老人で、ディカプリオは若いのか?と言うすべてが、終盤で明かされる。そして物語の鍵を握る「コマ」。夢と現の区別がつかなくなった時の判断にするコマ。

最後はこのコマのアップで終わる。意味シン!
皆でそう言い合えるのも、映画会のよいところね。



『プレステージ』(原題: The Prestige)2006年・米(サスペンス)クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作。(ちょいネタバレあり)
映画会のために数本選んだうちの一本。映画会の会場は、宮田のボスの事務所でスクリーンがあるのと、ボスがamazonプライムに入っているので、そこから選ぼうと思ったら、私たちの見たい映画がピンポイントになく、DVDを持参するために、近所のTSUTAYAの会員になった。

一緒にクレジットカードを作ると翌年以降の年会費が無料になるというのだが、私たちは二人ともフリーランスなので、クレジットカード作るのさえ非常にムズカシイのだ。(ホント会社員時代には思いもしなかったけど、月々固定収入がない人間に世の中って厳しいのね。結果的に会社員より多く稼いでいても、予定が立たないとダメなのね)それで、お断りしたら、データを読み込んでいたお姉さんから「お客様、他にTポイントカードお持ちですか?」と尋ねられ、それがソフトバンクのクレジット機能付きのカードだったので、カードを作らなくても良くなったという、なんだかラッキーなようなそうでもないような。

ソフトバンクのカードはチャージしないと使えないクレジットカードで、特典で5000円分プラスしますよ―とか言ってるからお得な感じがするだけで、本来後払いなはずのクレジットが何故か先払いと言う本末転倒のおかしなものなんだけどね。(だから私たちでも作れるんだが)

話がそれましたが、「プレステージ」。よくできた映画。「インセプション」よりわかりやすいという点で、大勢で見るにはこっちの方が向いていたかも?と言う気もするほど。あと「インセプション」より女性向きかな。

冒頭で映るたくさんの帽子が、実は大きなヒントになっている。でも途中で再度この帽子が登場しても、すぐにはトリックがわかんなかった私。

bowie-tesla_sarony.jpgデヴィッド・ボウイ演じる(いつもながら本人に寄せてきた風貌と言い、あっぱれ。最初ボウイに似てるよね?とは思ったけど、まさかとも思ったもん)実在の科学者・ニコラ・テスラ(エジソンのライバル)の発明した装置は、テスラ曰く「自身を破滅させるもの」だという。それは、この装置を使用すると、ある現象が起きるから。

話の発端は、主人公のアンジャー(ヒュー・ジャックマン)の妻がステージ上で死んだのは、ボーデン(クリスチャン・ベール)のせいだというところから、二人はお互いのステージを邪魔し合ったりして、そのあたりの攻防戦が、結構私は萎えた。途中から「消えた人間が一瞬後に別の場所から現れる」と言うマジックを双方が披露し、相手の謎を解こうと探り合うところから、グイグイ面白い展開に。

この映画は二重の謎解きとどんでん返しになっていて、ひとつめはこの「たくさんの帽子」や、ステージの地下の見張りが盲目の男だということ、アンジャーがかなり上流階級の出身だということ、などが伏線になっている。

もうひとつは、ボーデンの妻サラ(レベッカ・ホール)がたびたび口にする「今日のあなたは本気」と言う言葉と、ボーデン自身が妻に「今日の僕はきみを愛していない」、愛人のオリヴィア(スカーレット・ヨハンソン)に「僕の半分はきみを愛している」などと告げること。これが本当に大きな伏線なのだ。

オットが途中で「もしかして、○○なのかな?」と言いだし、なるほど!と思った時には、死んだはずの男が二人、向かい合っていた。

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う、うらやましい・・・でもこの映画自体は、萩尾望都の漫画みたいだって思った。そういえば、荒木センセの最近の絵と萩尾センセの描かれるお顔は、ちょっと同じ系統だと思う。ネコ科の動物っぽい顔。

日本での宣伝大使にはMr.マリックが抜擢された。主な宣伝文句は「私も騙されました」。また、日本では公開時に「全ての謎を解き明かす荒木飛呂彦さん書下ろしイラスト入りステッカー」が5万枚限定で配布された。

『“アイデンティティー”』(原題:Identity)2003年・米(サスペンス)ジェームズ・マンゴールド監督。(ネタバレあり)
この映画をネタバレなしで解説するのはすごく難しい。なので、今ここを読んでいて、まだ見てない人は、すぐに回れ右して帰って欲しい。この先を読んで「なんで知らせてくれた」と恨まれても困るし。ちなみに、本作のWikipediaにはあらすじが最後までキッチリ描かれちゃってるので注意!誰だか知らんけど、デリカシーのない奴!!

精神外科医のマリック医師(アルフレッド・モリーナ)が登場し、多重人格者で死刑囚のマルコム・リバースの語っているテープを聞いてはメモを取っているシーンから始まる。マルコムは、娼婦の母親からモーテルに置き去りにされたと語る。これが大きな伏線になっている。

場面は一転して、大雨のモーテル。ん?置き去りにされたモーテルかな?と思うが、どうやらそうではないらしいことがすぐにわかる。そこに以下の人々が大雨で足止めを食らって集まってくる。

・車から細いヒールの靴を落とした娼婦パリス(アマンダ・ピート)
・その靴のせいでパンクし、修理していたところを妻が車に引かれてしまう両親ジョージ(ジョン・C・マッギンリー)&アリス(レイラ・ケンズル)と幼い息子ティミー(ブレット・ローア)の3人家族
・アリスを引いた運転手エド(ジョン・キューザック)と、彼を雇っている売れない女優カロライン(レベッカ・デモーネイ)。
・新婚旅行中の若い夫婦、ルー(ウィリアム・リー・スロット)とジニ―(クレア・デュヴァル)
・囚人を護送中の警官ロード(レイ・リオッタ)と囚人ロバート(ジェイク・ビジー)

この10人と、いかにもうさんくさいモーテルの主人・ラリー(ジョン・ホークス)の11人が揃ったところから、惨劇が始まる。ここまで読んだところで、カンの良い人ならオチまでわかってしまうのだろうけど、私は全然分かんなかったので、楽しめた。これも2段オチになってるのだけど、どっちも、全然(≧▽≦)

この人たちが一人一人殺されていくんだけど、嵐で立ち往生と言うことや、古いモーテルの不気味な感じなど、期待感があってなかなかいい感じ。それで一人一人殺されて行き、殺された人が必ずルームキーを持ってるんだけど、なぜか事故で死んだ人まで持っていたり、急に死体が消えたり、逃げたはずの囚人が戻って来たりと、もしかして心霊現象?などと思わせるけど、そうではないのだ。

これ、見終わってからだと、確かに伏線多いし、多重人格で人が集まって、だったら、このモーテルが、死刑囚マルコムのアタマの中で、人格同士が殺し合ってるって気付いてもおかしくないよねーって思う。ただこの映画のよくできたところは、そういう点から目をそらすミスリードもたくさん用意されているということ。

それにしても、怖かったのは、犯人がわかってから殺人シーンが再度映し出され、その度に映る犯人の残忍な表情。。。。あ、犯人は子供のティミーなんですけど、子供なのに、怖すぎる!!
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動画で見ると、もっと全然怖かった。。。。

DSAX092430.jpgティミー役のブレット・ローア(Bret Loehr) くんは1993年生まれで、この当時9〜10歳。現在は24歳でテレビドラマを中心に活躍中のよう。なかなか迫真の演技だったので、頑張って欲しいものだにゃ。

それにしても、エド役のジョン・キューザックは、不思議な魅力がありますね。イケメンじゃないのに惹かれる。。。だからこそ、主演できるのでしょうが。日本の昔の俳優さんに、こういうかの人いたようないないような。。。。

最近映画を観るたびに、この人見たことあると思うのに、出演作を見ると全然見てないということが多々あり、なんだか不思議な世界に入り込んだように思う。。。


                  


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『インセプション』(原題: Inception)・・・クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作による2010年のアメリカのSFアクション映画。
第83回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、撮影賞、視覚効果賞、美術賞、作曲賞、音響編集賞、録音賞の8部門にノミネートされ、撮影賞、視覚効果賞、音響編集賞、録音賞を受賞。全米脚本家組合賞ではオリジナル脚本賞を受賞。

監督 クリストファー・ノーラン
脚本 クリストファー・ノーラン
製作 エマ・トーマス  クリストファー・ノーラン
製作総指揮 クリス・ブリガム  トーマス・タル
出演者 レオナルド・ディカプリオ  渡辺謙  ジョゼフ・ゴードン=レヴィット  マリオン・コティヤール  エレン・ペイジ  トム・ハーディ  キリアン・マーフィー  トム・ベレンジャー  マイケル・ケイン
音楽 ハンス・ジマー
撮影 ウォーリー・フィスター
編集 リー・スミス
製作会社 レジェンダリー・ピクチャーズ  シンコピー・フィルムズ
配給 ワーナー・ブラザース
公開 イギリス・・・2010年7月13日(ロンドン・プレミア) アメリカ・・・2010年7月16日  日本・・・2010年7月23日
上映時間 148分
製作国 アメリカ イギリス
言語 英語
製作費 $160,000,000
興行収入 $292,576,195・・・アメリカ
$825,532,764・・・世界
35.0億円・・・日本
『プレステージ』(原題: The Prestige)・・・2006年公開のアメリカ映画。サスペンス映画。
第79回アカデミー賞では撮影賞と美術賞にノミネート。
タイトルとなっているプレステージとは、手品における一段階で、作中でも説明がある。
確認(プレッジ、pledge)・・・観客に種も仕掛けも無いことを証明する。
展開(ターン、turn)・・・パフォーマンスを行う。
偉業(プレステージ、Prestige)・・・マジックショーを完成させる最終段階。

監督 クリストファー・ノーラン
脚本 ジョナサン・ノーラン  クリストファー・ノーラン
原作 クリストファー・プリースト『奇術師』
製作 クリストファー・ノーラン  エマ・トーマス  アーロン・ライダー
製作総指揮 クリス・J・ボール  ヴァレリー・ディーン  チャールズ・J・D・シュリッセル  ウィリアム・タイラー
出演者 ヒュー・ジャックマン  クリスチャン・ベール  マイケル・ケイン  スカーレット・ヨハンソン
音楽 デヴィッド・ジュリアン
主題歌 イギリス・・・トム・ヨーク「アナライズ」  日本・・・Gackt「RETURNER 〜闇の終焉〜」
撮影 ウォーリー・フィスター
編集 リー・スミス
製作会社 シンコピー・フィルムズ  ニューマーケット・フィルムズ
配給 アメリカ・・・タッチストーン・ピクチャーズ  世界・・・ワーナー・ブラザース  日本・・・ギャガ
公開 アメリカ・・・2006年10月20日  日本・・・2007年6月9日
上映時間 128分
製作国 アメリカ・イギリス
言語 英語
製作費 $40,000,000
興行収入 $109,676,311
『“アイデンティティー”』(原題:Identity)・・・2003年製作のアメリカ映画。サスペンス。
アメリカでは2003年4月25日に公開され、週末興行成績で初登場1位になり、トップ10内に5週間いた。

監督 ジェームズ・マンゴールド
脚本 マイケル・クーニー
製作 キャシー・コンラッド
製作総指揮 スチュアート・ベッサー
出演者 ジョン・キューザック  レイ・リオッタ  レベッカ・デモーネイ
音楽 アラン・シルヴェストリ
撮影 フェドン・パパマイケル
編集 デヴィッド・ブレナー
製作会社 コロンビア映画 コンラッド・ピクチャーズ
配給 アメリカ・・・コロンビア映画  日本・・・ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開 アメリカ・・・2003年4月25日  日本・・・2003年10月25日
上映時間 90分
製作国 アメリカ
言語 英語
製作費 $28,000,000
興行収入 $90,259,536


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