『Roots of Kawaii 内藤ルネ展〜夢をあきらめないで』(名古屋三越)

160819rune_naito1.jpg160819rune_naito2.jpg2016.08.19 Friday
月曜日の「シンジカトウ・ワールド」に続き
名古屋三越で開催されていた内藤ルネ展に行ってきました。
この週は「カワイイ」モノをお腹いっぱい見た!と言う感じの週でした。
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ルネさんと言えば、のちの「カワイイ」に多大な影響を与えた方。
何と言っても「カワイイ」のルーツですから!
イラストの世界にとどまらず、ファッションデザインの世界でも
彼は「VOGUE」などの先端のファッションを、日本人向けに上手く噛み砕いて
「カワイイ」に昇華させて紹介するという高度なことをサラリと
されておられたのですね。
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カワイイものイッパイ!
愛知県岡崎市生まれなんですね、内藤ルネさん。一体どこでこの感性がはぐくまれたんでしょうか。

残念なのは、初期の彩色原画が少なめだったこと。それには理由があって、まず一個目は、ルネさんの作画方法は特殊で
最終的な作品がいいものになればよいので、一枚の原画で最後まで仕上げるという感覚では無く
線だけを描いてコピーしたものに彩色して、またコピーして、そこに仕上げをしてという感じで
重ねることで仕上げて行ったそうなんです。
だから、最終的な全部手書きで仕上げた原画と言うのが存在しないんです。

また、ルネさんの時代はまだ、イラストレーターに原画を返却するということが少なく
出版社等で原画を紛失することがよくあることだったそうです。それは本当に残念ですねー。

今は原画は返してもらえるのが普通ですが、そもそも原画で納品することが少ないですしね。
私も、仕事ではデジタルで彩色することも多いので、ちゃんとした原画ってあまりないんです。
展示などでは、デジタルをプリントして見せてもあまり意味がない気がして
アナログで描いたものをお見せするようにしています。(注:2018年以降デジタル展示も増えました)

ルネさんに話を戻すと、初期の鉛筆画や中期以降の彩色原画はたくさん展示されていて、とても素晴らしかったです。
鉛筆や色鉛筆だけで、ものすごく存在感があるのに圧倒されました。
断髪の女性等、描きたいテーマがぶれることなく続いていて
それでも飽きさせないのは、絵を進化させ続けているからなんだろうな、と思いました。


                  


ルネさんの功績はすごくよくわかり、先日のシンジカトウさんと同じく(ルネさんの方が一回り以上年上ですが)
ごくごく初期は要望によって「ダサポップ」なものも描いていたということ。
そう言う仕事の中から、自分の世界を広げ、頭角を現して行ったことなどがよくわかり、有意義な展示でした。

まだ日本にパンダが来日する前に目を付けて、ルネパンダとして商品化したことは先見の明があったし
イチゴやサクランボを「カワイイ」ものとして認知させた功績は大きいですよね。
あと、ゴスロリのルーツだったのも!私は初期の「カワイイ」よりこっちが好きでした。
すみずみまで、ルネさんの世界観に溢れていました。
こんな風に世界観を展開させることが、自分にはできるかな、と考えてしまいました。

ルネさんいわく、時代が良かったと。
自分の突拍子もないアイデアを実現してくれたメーカーなどのバックアップがあり
それが当たったおかげでここまで来られたと。
そう言われると、本当に羨ましい時代です。
もちろん、そこにはルネさんのたぐいまれなる才能とセンスを認めさせたということがあったわけですが。

夢をあきらめないで。うん、あきらめなければ、夢はかないますよね、絶対に。


                  


ポートレートを拝見した時、何の先入観もなしに「この人、ゲイだな」と思いました。
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ルネさんがゲイの雑誌「薔薇族」の表紙を長年描かれていたことも初めて知ったのですが
ルネさん曰く「竹久夢二などが描いたような古臭い男性ではない男性を描く」という趣旨で描かれた男性像が
いかにも「本当のゲイの人が好きそうな」男性の絵でしたので、これはほんまもんやと(^^;

そしたら、亡くなる2年前の2005年に書かれた自伝の中で、同性愛者だということを
カミングアウトされていると知り、「おお!」と思いました。

いえね、私たちのようないわゆるノンケは、ゲイに好かれる男性って、線の細い美形だと思いがちなんですが
実際のゲイの方って、マッチョが好きな方が多いんですよね。

実はうちのオットは、かつては「ゲイに好かれそうな容貌」だと言われ
騙して二丁目に置き去りにしようなどと言う悪だくみを、影で仲間内からされていたそうなんですが
数年前にその仲間で、青山にあるゲイの男性3人組の経営する料理屋さんで飲んだとき(貸切)
男子10名くらいのうち、一番モテたのが、というか、唯一モテたのが、運送屋さん勤務のマッチョ男子だったんです。

(ちなみにオットは、一番年長(60代?)の和装のゲイの方と茶をすすりながら世間話で盛り上がり、その方から私は
「あんた、いい人つかまえたわね。この子は本当にいい子よ」と、太鼓判を押されたのでした(笑)
年季の入ったゲイから太鼓判!ある意味本当にありがたい。。。)


                  


随分とカッ飛ばしてしまいましたが、ゲイの方に失礼な発言等があったらすみません。
160819yaranaika.jpgと言いつつ、失礼な発言になるのかもしれませんが、ルネさんの描く
男性はそのまんま「やらないか」の世界だなーと思ったのでした。

そして、カワイイカワイイルネさんの世界を期待して行った身に
この「やらないか」コーナーは結構キツイものがありました。
これもルネさんの一部として、知ることが出来たと言う意味では
良かったとは思いますが。。。。


                  


2015年10月発売の実話エッセイ。アトピーって痒いだけの病気じゃないんです。


#「アトピーの夫と暮らしています」の感想


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明るく元気な女の子の姿を描き、”カワイイ”という概念を生み出した先駆者ともいえるポップカルチャーの巨星・イラストレーターの内藤ルネの作品が集結する展覧会『Roots of Kawaii 「内藤ルネ」展〜夢をあきらめないで〜』が、名古屋市中区・栄の名古屋栄三越7F催物会場にて、8月10日(水)〜8月22日(月)まで開催されます。

愛知県岡崎市出身、1950〜1960年代にかけて圧倒的な支持を集めたファッション誌『ジュニアそれいゆ』の表紙/挿絵で大ブレイクし、イラストやデザイン、ファンシーグッズなどで今日に至るポップカルチャーの礎を築き上げた内藤ルネの、初期から2007年に亡くなる直前の晩年までのイラスト原画・デザイン原画約200点が集まる展覧会。

日本の女の子の間で当たり前のように使われ、今では海外でも通じるほどになった『Kawaii(カワイイ)』という言葉が表す概念・文化は、内藤ルネが発信してきた作品たちが人々に与えた印象がすべての始まりだったといっても過言ではありません。

極端にデフォルメされた大きな目、小顔、手足がヒョロヒョロと長いプロポーションの、元気で明るく自己主張する女の子たち。
おしとやかで受け身ではない、幼稚でちっぽけでもない、可憐でキュートでファッショナブルな少女の姿は、戦後民主主義の男女平等の価値観を体現する能動的な生き方を当時の少女たちに提示しました。
その名前から女性と勘違いされがちですが、実は男性。晩年には同性愛者であることもカミングアウトしています。

また、少女の姿だけでなく、動物・フルーツ・花などのモチーフにも”カワイイ”を見出したルネは、日本でパンダブームが起こるより以前に、ロンドン動物園で見たパンダに感激し、『ルネパンダ』というキャラクターを生み出し、以後のパンダのキャラクターやグッズに大きな影響を与えました。

他にも全く異なる画風の、写実的で憂いを帯びたナイーブで幻想的な少女の姿を描き出し、これらの作品はのちに「ゴシック&ロリータ」と呼ばれる新たなジャンルの価値観が生まれるのに繋がっていきます。
いかにルネが、多才かつ美しさや可愛らしさを独特の感性で切り取ることに長けていたがわかるでしょう。

また、花柄・フルーツ柄・動物のキャラクターなどがグッズとして商品展開されていく、「ファンシーグッズ」というビジネスモデルが発展していったのもルネの作品たちが大きく寄与しています。

展覧会の会場にも「ルネグッズ」の販売コーナーが併設。
文房具・雑貨・アパレル・食器など色とりどりのアイテムが販売。この展覧会でしか手に入らない限定アイテムもあり、ファンの方は必見です。

ティーンエイジャーからお年寄りまで、女性ならいつの瞬間も可愛くいたいもの。ルネの作品たちに、みずみずしさや女性として生きる喜びをあらためてインスパイアさせられそうです。是非、足をお運びください。

■開催概要■
Roots of Kawaii「内藤ルネ」展 〜夢をあきらめないで〜
8月10日(水)〜8月22日(月)
名古屋栄三越 7階催物会場

開場時間:午前10時〜午後7時30分(最終日は午後6時閉場/ご入場は閉場の30分前まで)
入場料:一般・大学生 600円(税込)、高校生・中学生 400円(税込)、小学生以下無料

※MICARD、伊勢丹アイカード、エムアイ友の会カード、株主様ご優待カードのご提示で、ご本人さまならびにお連れさま1名さままで無料でご入場いただけます。※価格はすべて税込です。

【主催】中日新聞社、NHKサービスセンター

【企画協力】 エイチ・ツー・オー カンパニー
【協力】 東海テレビ、弥生美術館、文化学園
【特別協力】 ルネ


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