「13F」と「イグジステンス」はどちらも「コンピューターやゲーム上の仮想空間」に入り込む話で、どちらもあの「マトリックス」と同じ1999年の作品であるところが興味深い。
「キック・アス」と「ピエロがお前を嘲笑う」は「スーパーヒーローになりたかった少年」が正しく進んだのが「キックアス」で、ダークサイドに堕ちたのが「ピエロ〜」だと思う。
「ソウ」と「フォーン・ブース」は連続殺人犯の価値観によって「生きてる価値がない」と思われた人間にゲームが仕掛けられ、処刑されるというストーリー。
そして土曜日に見た「ファイナル・デスティネーション」と「クロニクル」はどちらも「特異能力」を手に入れた少年のその後を描く。二人の少年は対照的な行動をして結末も全く異なるけれど、その元となるのは。。。ということについて本日はじっくり考えてみたい。
2021.01.23 Saturday
『フォーン・ブース』(2003年)が短かったのでもう一本『ファイナル・デスティネーション』(2000年)。タイトルで誤解してる映画のひとつで恋愛ものかと思っていたら全然違った。シリーズが5まであり全部同じパターン。はまるとつい見てしまうそうだ。私は何の予備知識もなしに見たせいで、よけいに面白かったので、本当の面白みを味わいたい人は、この先は見ないことをおすすめする。
冒頭で修学旅行に向かう主人公たち。しかし、主人公は何となく嫌な予感がしていることが見て取れる。同じような違和感を覚えている女生徒もいる。機体に乗り込み、シートに腰かけたときに主人公は「乗り込んだ飛行機が落ちる」という悪夢を見る。
目覚めた彼は当然騒いで飛行機から降りようとする。その騒ぎから喧嘩が起き、引率の先生含む7名を空港に残して飛行機は旅立つ、とほぼ同時に事故が起こり、全員死亡。しかしその後も主人公の嫌な予感は続き、生き残った7名も次々死んでいく、というお話。
次々人が死んでいくけれど、連続殺人のように犯人がいるわけではなく、いわば「運命」や「死」が敵であるというのがこの映画の新しい所。途中すべてを知っているかのような「葬儀屋」が登場し、主人公に示唆を与えるような言葉を告げるが、この人はシリーズほとんどに登場するようだ。死神なのかな?と思うけどどうなんだろう。
見ていて違和感があったのは、主人公のお陰で助かったのに「ありがとう」じゃなくて「気持ちが悪い」という反応だったこと。何なら「お前のせいでみんな死んだ」みたいに言われるのが、なんで?という感じ。
しかし救われるのは、周りに主人公を理解し、愛してくれる人がいてくれたことだ。一緒に降りた友人トッドは、死ぬまで主人公を見捨てずにいてくれたし(トッドの兄が死んだため、トッドの父親はなぜか主人公を恨んでいたが、父親の気持ちが収まったらまた会おうと言ってくれていた)、同じような第六感のある少女・クレアがいてくれて恋人同士となった。両親も主人公を責めたりしなかった。これは大きい。
愛するもの存在と、自分を愛して信じてくれている人がいることの安心感が、主人公を強くし「死」という運命に抗う力をくれたのだろう。
ファイナル・デスティネーション Final Destination
修学旅行に旅立つため飛行機に搭乗した高校生アレックスは、離陸を待つ間に飛行機が墜落する予知夢を見て大騒ぎする。彼の言葉を信じた同級生クレアら7人を降ろして飛行機は離陸し、その直後に機体が爆発し墜落してしまう。事故を予言したアレックスはFBIに事情聴取され、仲間や遺族からも疑いの目を向けられる。その後、事故の生存者たちが次々と不可解な死を遂げていき、アレックスはクレアと共に謎を解明しようとする。(Link)
監督 ジェームズ・ウォン
脚本 グレン・モーガン、ジェームズ・ウォン、ジェフリー・レディック
製作 グレン・モーガン、クレイグ・ペリー、ウォーレン・ザイド
製作総指揮 リチャード・ブレナー、ブライアン・ウィッテン
出演者 デヴォン・サワ・・・アレックス・ブラウニング
主人公。飛行機の爆発事故を予知し、6人と共に事故から逃れる。
アリ・ラーター・・・クレア・リバース
唯一アレックスの話を信用し、自発的に飛行機を降りた女生徒。
カー・スミス・・・カーター・ホートン
血の気が多い性格で、予知夢を見たと訴えるアレックスと喧嘩して飛行機を降ろされた。
ショーン・ウィリアム・スコット・・・ビリー・ヒッチコック
アレックスが起こした騒動のどさくさに紛れて飛行機から降りた生徒。
クリステン・クローク・・・ヴァレリー・ルートン
アレックスたちが通う高校の教師。生徒に付き添うために飛行機を降りた。
アマンダ・デトマー・・・テリー・チェイニー
カーターの彼女。カーターに付き添うために飛行機を降りた。
チャド・ドネッラ・・・トッド・ワグナー
アレックスの親友で良き理解者。アレックスの様子を見に行くために飛行機から降りた。
トニー・トッド・・・ウィリアム・ブラッドワース
葬儀屋。死の運命に詳しく、アレックスたちに謎の助言を与えるが、詳しい素性は謎。
音楽 シャーリー・ウォーカー
撮影 ロバート・マクラクラン
編集 ジェームズ・コブレンツ
配給 アメリカ合衆国 ニュー・ライン・シネマ
日本 ギャガ
公開 アメリカ合衆国 2000年5月17日
日本 2001年1月20日
上映時間 97分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $23,000,000
興行収入 世界 $112,880,294
アメリカ合衆国 カナダ $53,331,147
次作 デッドコースター
2021.01.24 Sunday
映画「クロニクル」(2012年)視聴。主人公の境遇がかわいそうすぎていたたまれない。最近偶然か、似たテーマの作品を連続して見ることが多い。
前日に見た「ファイナル・デスティネーション」もこの映画も主人公がある特異能力を身に着けるという共通項がある。けれど最後まで前向きな「ファイナル」とこの映画の大きな違いは主人公の置かれた環境なのかな、と思う。
スーパーヒーローにあこがれた少年が、本当にヒーローになる「キック・アス」とダークサイドに堕ちてしまう「ピエロがお前を嘲笑う」の違いも家庭環境は無視できない。そういう視点で映画を見ると「愛する人がいる」登場人物は押しなべて幸せだ。
誰からも心から無条件に愛された実感がなく、虐げられ嘲笑されて生きてきたら、世の中のすべてを恨んで壊してしまいたくなっても仕方がないだろう。とここまでは内容の話。
この映画「クロニクル」はどちらかというと手法にフォーカスされた感想が多い。主人公のカメラに記録するという形で撮影が始まり、途中からは監視カメラや警察ヘリのカメラ、他者のカメラや不特定多数のスマホやタブレットを通じて撮影されたものが映画として組み立てられていく。
今は誰もが、どこにいようが「クロニクル(記録)」されている社会なのだ、ということも否応なしに思い出させてくれる。それは便利だけれど恐ろしいこと。内容的にも斬新な手法が訴えるメッセージ性も、深く心に残った映画。
クロニクル Chronicle
監督 ジョシュ・トランク
脚本 マックス・ランディス
原案 マックス・ランディス、ジョシュ・トランク
製作 ジョン・デイヴィス、アダム・シュローダー
製作総指揮 ジェームズ・ドッドソン
出演者 デイン・デハーン・・・アンドリュー・デトマー
ビデオカメラが唯一の趣味の内向的な高校生。いじめられっこで父親からも暴力を受ける。
アンドリューのビデオカメラが視点のメインとしてストーリーが進行する。
アレックス・ラッセル・・・マット・ギャリティー
アンドリューの従兄で社交家のインテリ。常識的な思考の持ち主。
常々アンドリューの身を案じ、むやみに能力を使用した際には強い口調で諭す。
マイケル・B・ジョーダン・・・スティーブ・モンゴメリー
アメフト部のスター選手で生徒会長候補、学校屈指の人気者で優等生。行動力があり、
陽気で他人想いな性格。アンドリューの内向的な性格を見かね行動を共にする。
アシュリー・ヒンショウ・・・ケイシー・レター
ブログを運営する美人女子学生。高いジャーナリズム意識の持ち主でカメラで撮影を行う。
物語終盤は、ケイシーのカメラがメインとなってストーリーが進行。
マイケル・ケリー・・・リチャード・デトマー
アンドリューの父親で元消防士。業務中の怪我で退職してからは保険金で生活し、
酒浸りの日々。傍若無人な性格でアンドリューに対して日常的に暴力を振るう。
ボー・ピーターソン・・・カレン・デトマー
アンドリューの母親。重篤な病気で寝たきり。呼吸もままならなくなるほどに
病状が悪化したことで、アンドリューは薬を買う金目当ての強盗を行う。
アンナ・ウッド・・・モニカ
髪を赤く染めた女子学生。アンドリューとはかつてクラスメイトであったようで、
「タレント・ショー」で一躍スターとなったアンドリューを誘う。
撮影 マシュー・ジェンセン
編集 エリオット・グリーンバーグ
製作会社 デイヴィス・エンターテインメント
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国 2012年2月3日
日本 2013年9月27日
上映時間 83分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $12,000,000
興行収入 $126,636,097
最近見た映画は「ソウ」をはじめとする「低予算にもかかわらず大ヒットした映画」が多い。
「ソウ」〜「クロニクル」まではすべて興行収入が1億ドルというヒット作だけど、その中でも「ソウ」は製作費が120万ドルと一桁少ないのが目を引く。
製作費 興行収入
ソウ $1,200,000(120万ドル) $103,096,345(1億300万ドル)
フォーン・ブース $13,000,000(1,300万ドル) $97,837,138(9,780万ドル)
ファイナル・デスティネーション $23,000,000(2,300万ドル) $112,880,294(1億1,290万ドル)
クロニクル $12,000,000(1,200万ドル) $126,636,097(1億2,660万ドル)
ではいわゆるハリウッドの大作といわれる作品と比較するとどうなるか。
昨年公開されたノーラン監督のTENETはさすが上記映画の興行収入の倍以上である2億円以上をつぎ込んで制作されたが、2020年のコロナ禍の中で興行収入は3億ドル台にとどまった。
TENET $225,000,000(2億2,500万ドル) $363,129,000(3億6,300万ドル)
ダークナイト $185,000,000(1億8,500万ドル) $1,001,921,825(10億ドル)
ジョーカー $55,000,000(5,500万ドル) $993,835,635(9億9,380万ドル)
同じノーラン監督の2008年の大ヒット作「ダークナイト」は製作費は2億ドル近くかけたけど興行収入も、さすがの10億ドル!これで行くと、製作費は1千万ドル〜1億ドル程度で、興行収入は製作費の10倍いけばヒット作、というのがセオリーか。
そんな中で「ダークナイト」の10分の1の興行収入だけど、製作費は100分の1くらいだった「ソウ」はやっぱり強し。6シリーズまでつくられ、2017年に新シリーズがつくられただけあるな。オットは3くらいまで見て「推理よりグロさに主軸が置かれているような気がして嫌になった」から見るのをやめたんだそうだ。
確かにそれは嫌だな。。。おまけにもう映画は見ないつもりでWiki見まくって先のことわかっちゃったし。あかんてwiki。ネタバレやめて。
2021.01.24 Sunday
このところ映画を見ているのは、なかなか展覧会に行けないので、その分映像を見ようという意図もあったのだけど、ふと調べて見たら、この冬から春にかけて、ナゴヤだけで行きたい展覧会がてんこ盛り。バンクシーと横尾忠則さんは知ってたけど、三重でやるダリも見なくては。写真もいろいろ楽しみ。
何しろ最後に見た展覧会が1年前の東京のソール・ライターと奈良原一高の写真とミナと21のデザイン。最後に絵画の展覧会を見たのはもうおととしだなんて。でも実は最近、写真の展覧会が面白くて。2019年まで含めて最近で一番印象深いのは、稲沢市荻須記念美術館で見た「木村伊兵衛 パリ残像」なのだ。
写真を見ていて面白いと思うのは、写真は絵と違って目の前のものを写し取るだけで、自分で色を選んだり、色を付けられるわけではないのに、ソール・ライターの赤と木村伊兵衛の赤が違って、それぞれの赤が迫ってくるのだ。その「モノ」の「赤」ではなく、ライターの「赤」と木村の「赤」になっている。
モノクロで撮ればアートっぽいって勘違いしていそうな人の横っ面をはたいてくれそうな、痛快な「赤」。それがソール・ライターと木村伊兵衛の展示で見せつけられたカメラマンの底力だった。写真表現って奥深いし面白い。もともと「きれいな写真」にあまり興味がないけど、ますますそれが強まった。
2020年9月発売の新刊です。
どうぞよろしくお願い致します♡
◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■
◆東京◆
河鍋暁斎の底力
11月28日(土) - 2021年2月7日(日) 10:00 - 18:00 東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202011_kawanabe.html
生きている東京展
2020年9月5日(土)→ 2021年1月31日(日) 11:00〜19:00 ワタリウム美術館
⟨アーティスト⟩島袋道浩/ジャン・ホワン(張洹)/寺山修司/齋藤陽道/JR(ジェイアール)/オラフ・ニコライ/デイヴィッド・ハモンズ/ファブリス・イベール/ナウィン・ラワンチャイクン/バリー・マッギー/マリオ・ボッタ/ナムジュン・パイクhttp://www.watarium.co.jp/jp/exhibition/202009/
⟨ゲストアーティスト⟩会田誠/渡辺克巳/SIDE CORE
佐藤可士和展
2021年2月3日(水)〜5月10日(月)10:00〜18:00 国立新美術館 企画展示室1E
https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/kashiwasato2020/
https://kashiwasato2020.com/
トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう
2020年10月16日(金) - 2021年3月7日(日) 11:00〜17:30 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
http://www.2121designsight.jp/program/translations/
20世紀のポスター[図像と文字の風景]――ビジュアルコミュニケーションは可能か?
2021年1月30日(土)−4月11日(日) 10:00〜18:00 東京都庭園美術館(本館+新館)
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/210130-0411_ConstructivePostersOfThe20th.html
◆名古屋◆
ショック・オブ・ダリ ― サルバドール・ダリと日本の前衛
2021年1月9日(土)―3月28日(日) 9:30〜17:00 三重県立美術館
https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/000244842.htm
GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は? GENKYO YOKOO TADANORI
2021年1月15日(金)〜4月11日(日) 10:00〜18:00 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000273.html
https://genkyo-tadanoriyokoo.exhibit.jp/
バンクシー展 天才か反逆者か
2021年2月3日(水)〜5月31日(月)10:00〜20:00 旧名古屋ボストン美術館(金山南ビル)
https://banksyexhibition.jp/
「写真の都」物語 ―名古屋写真運動史:1911-1972―
2021年2月6日(土)〜3月28日(日) 9:30〜17:00 名古屋市美術館
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/photography
トライアローグ
2021年4月23日(金)〜 6月27日(日)※予定 10:00〜18:00 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科
2021年4月3日(土)〜5月16日(日)(予定)10:00〜17:00 岡崎市美術博物館
https://www.city.okazaki.lg.jp/museum/exhibition/openexhibition/p026571.html
◆大阪◆
時間〜TIME BOWIE×KYOTO×SUKITA 鋤田正義写真展
2021年4月3日(土)〜5月5日(水・祝)※会期中無休 10:00〜19:30
美術館「えき」KYOTO
https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2104.html
ミケル・バルセロ展
2021年3月20日(土・祝)−5月30日(日)10:00〜17:00 国立国際美術館
https://www.nmao.go.jp/exhibition/2021/post_miquel.html
おちょやんの役者魂 – 浪花千栄子出演映画特集
2021年1月19日(火) - 2021年2月5日(金) 10:00−19:30 京都文化博物館 3階 フィルムシアター
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_film_post/20210119-20210205/
ファイナル・デスティネーション Final Destination
パリへ修学旅行に向かう高校生のアレックス・ブラウニングは、飛行機が大爆発する夢を見て騒ぎを起こし、離陸前に飛行機を降ろされてしまう。巻き添えをくった友人や教師らを残して離陸した飛行機はアレックスの夢のとおり空中で爆発、アレックスはFBIからは「飛行機事故を仕掛けた首謀者」と疑われ、周囲からも気味悪がられ孤立してしまう。
運良く生き残ったかに思われた7人だったが、アレックスは再び死の予感を感じ親友のトッド・ワグナーの家に向かう。しかしトッドは浴室で足を滑らせ、洗剤がこぼれていたバスタブの中に転げ落ち、その拍子に首に巻きついた洗濯ロープによって縊死していた。翌日、アレックスは自分と同じように胸騒ぎを感じていたクレア・リバースと共に死体安置所に行き、そこで出会った葬儀屋のウィリアム・ブラッドワースからの助言で、本来死ぬ運命だった自分たちを殺すために、死神が新たな計画を実行している可能性を考えるようになる。その矢先、偶然カフェに生存者6人が集まった際に、テリー・チェイニーが車道に一歩踏み出した瞬間に猛スピードで横切ったバスに轢かれ死亡する。
その後、アレックスはテレビで説明された飛行機事故の爆発経路から、本来死ぬはずだった順番でトッドとテリーが死んだため次が教師のヴァレリー・ルートンであることに気づく。しかしルートンは酒によるショートで爆発したCRTモニターの破片が首に刺さったことで重傷を負った上、出血を抑えるために手に取ろうとしたタオルに引っかかっていた包丁が胸に突き刺さったことで死亡、酒が引火したことで家は爆発を起こす。その前後にルートンの家に駆けつけていたアレックスは警察から追われる立場となる。
アレックスは生き残った他の3人と合流するが、次に死ぬのが自分だと悟りヤケを起こしたカーター・ホートンは、他の3人を乗せたまま自家用車で爆走した上に踏切で停車し自殺を図る。アレックスとクレアの説得で思い直したカーターは、動作不能となった状態で車内に閉じ込められるが、列車と接触する寸前でアレックスに助けられる。しかしその直後、大破した車の鋭利な破片が列車に撥ね飛ばされ、それによってビリー・ヒッチコックが頭部を切断されて死亡する。アレックスたちは、カーターを助けたことによって死の順番がカーターの次のビリーに回ったことを知る。
次に死ぬのが自分だと考えたアレックスは山小屋にこもるが、夢と違って現実では飛行機の離陸直前で席交換を行わなかったことを思い出し、次に本当に死ぬのがクレアであることに気づく。一方、クレアの自宅付近では高圧線の電線が切れ、自宅の電気系統がショートして爆発を起こしていた。クレアは感電を防ぐために部屋から自動車に乗り込むが車は故障し、そのまま電線の火花から炎が燃え上がる。しかし車が爆発する寸前でアレックスが駆けつけ、クレアを救出する。
それから6か月後、生き残った3人は飛行機でパリに旅行に来ていた。街で一連の事件のことを思い返す中で、アレックスは再び新たな死の計画が実行されることを予感する。直後にバスが事故を起こし、跳ね飛ばされた標札の支柱によって看板が落下。直撃する寸前にアレックスはカーターに助けられる。アレックスを飛び越え死の順番が回ってきたカーターに向かって、宙吊りになった看板が迫り、物語は幕を閉じる。
クロニクル Chronicle
高校生アンドリュー・デトマーは、常にビデオカメラを抱え身の回りの日常風景を撮影してはネットに投稿することを唯一の趣味にしていた。職を失い酒浸りとなった父親から日常的に暴力を受けている上、病気に苦しむ母親の薬を買うのにも苦労するほどの困窮した生活を送るアンドリューの内向的な性格を案じた従兄のマット・ギャリティーは、学生パーティにアンドリューを連れ出した。パーティでもなお相変わらずカメラを手放さないアンドリューだったが、マットとアメフト部のスター選手スティーブ・モンゴメリーからあるものを撮影してほしいと頼まれる。2人に付いて森の中に入ると地面に空いた大きな穴があり、穴の中に正体不明の青く光る結晶のようなものを発見。スティーブが結晶に触れると結晶が赤く変色するとともにカメラが変調を来し、スティーブが鼻血を出しながら倒れたところで映像が途切れる。
映像が再開すると、そこにはボールを自由に操る3人の姿が映る。穴から逃げ帰った3人は超能力(テレキネシス)を身に付けており、ボールの他にも手を触れずにブロックを組み立てたり、ブロアーを動かして女子生徒のスカートをめくったりと些細なことから能力を確かめるように使い始め、さらには、能力をより確かなものとして操るための「練習」として街中で様々な悪戯を仕掛けるようになる。こうして意気投合した3人は悪戯を重ねるうちに力を増していくが、アンドリューがクラクションで煽る後続車をスリップさせ運転手を病院送りにするという事故を起こしてしまったことをきっかけに、マットは超能力に対して「生き物に対して使わない・怒っている時に使わない・人前で使わず秘密にする」というルールを定めるのであった。空中を自在に飛び回ることができるまでに能力を操るようになった3人は、チベット旅行を計画する。
能力を得たことで「人が変わった」と評されるようになった反面、それをきっかけに仲良くなったマットやスティーブに対する劣等感を拭いきれないアンドリューだったが、スティーブの提案で学校のタレント・ショーに出演。ルールを破り超能力を用いてショーを大成功させ、マットに「ヒュブリス」と揶揄されるほど増長するアンドリューは同級生の女学生モニカに誘われ一夜を共にすることになる。しかし、初体験故の失敗によりモニカに見放されたばかりか校内でもからかわれ、以前にも増して塞ぎ込みがちになってしまったアンドリューは、父親にカメラを内緒で買っていたことがばれ口論になった際に暴力を振るう父親に対してつい超能力を使って反撃してしまう。嵐の中、空中で思い詰めるアンドリューの元へ駆けつけるスティーブであったが、運悪く雷に打たれ死亡。これをきっかけにアンドリューはマットとも距離を置くようになる。
再び孤独になったアンドリューは自身を人類を含めた食物連鎖における「頂点捕食者」であるとし、もともとマットが定めたルールに対して不満を持っていたこともあって人に対しても躊躇なく能力を使用するようになる。ある日、アンドリューは病気の進行により容態が悪化した母親の薬を買うために近所のチンピラを襲い金を奪うと、ガソリンスタンドの売店に強盗に入った。売店の店員から向けられた銃を弾き飛ばすアンドリューであったが、銃の暴発によってガスタンクが爆発。巻き込まれたアンドリューは全身に怪我を負い逮捕されるとともに病院に運び込まれる。見舞いに訪れた父親は、意識を失っているアンドリューに対して母親が死亡したこと、それは自分がアンドリューを探している間の出来事であったことを打ち明け「お前のせいでママは死んだ」とアンドリューを責めるのであった。意識を取り戻したアンドリューは怒りに任せて能力を爆発させ病室を爆破、父親を担いで上空高く舞い上がり父親を地面に落とすが、アンドリューの危機を察知し駆けつけたマットが間一髪で救う。
街を破壊し多数の死傷者を出しながらマットや警察といった追っ手から逃がれるアンドリューは、一般市民から奪い取ったカムコーダやデジタルカメラ、スマートフォン、タブレットなどを自身の周囲に浮かべ撮影を続ける。やがて、ブロードウェイの広場に辿り着いたアンドリューは、警察に取り囲まれながらもマットの説得に耳を貸すことなくさらなる破壊行為に及ぶ。我を忘れて暴走するアンドリューに対し、マットは事態の収束を図るため傍にあった槍を構える銅像の槍を飛ばしてアンドリューに突き刺し殺害。そして、マットはその場から飛び立った。
空を飛んでマットが向かった先は、かつてアンドリューが旅行先にと望んでいたチベットであった。チベットの高地に辿り着いたマットはアンドリューに対する謝罪と今後の決意をビデオカメラに残すと、再び何処かへと飛び立つのであった。