2021.01.22 Friday
映画「SAW]を見た。超のつく有名映画だけどホラーが苦手で、ずっと食わず嫌いしていたが、面白かった。何より無駄に怖がらせることもないし、物語が整然としていて、すべてのシーンにちゃんと意味があり、無駄がない。よくできたお話。当然「こいつが犯人か?」と思わせたところでの「まさかの展開」は読めず。
(ここから先ネタバレあり。)
この映画の犯人・ジグソウは、「自分の命をおろそかにしている人」「生きていることに感謝しない人」を捕まえて、自分が作った『死のゲーム』に強制参加させる。今回のゲーム参加者は、外科医のゴードンと若い男性アダム。現場にゴードンのペンライトが落ちていたことから、ゴードンはタップ刑事たちに容疑者として連行されていたため、事件に詳しい。
◎今までにわかっている被害者
・自殺未遂者の46歳の小太りの男性・ポール
・放火魔の青年・マイク
・薬物中毒の女性・アマンダ
アマンダだけは唯一生き残り、タップ刑事たちに自分のおぞましい体験を話す。ポールの現場でタップに事件の概要を解説する際の「犯人は最前列で見物するのが趣味」だというケリー刑事の言葉が実は重要なヒントとなっている。
途中、仲の良かった同僚のシン刑事の殉職により精神的におかしくなって自分も退職したタップ元刑事の怪しい言動など挟みつつ。でもこれはミスリードバレバレ。(いやきっとミスリードの振りしたミスミスリードなのだと思う)
ゴードンの罪は患者を名で呼ばず、冷酷に死の宣告をしていること。美しい妻と可愛い娘がいる幸せに感謝せずに秘書と浮気をしていること。患者を記号で呼ぶゴードンに「その人はジョンさんです」(だっけ?)と声をかけるスタッフがいかにも怪しげ。と思ったら、やはりそいつ・ゼップが犯人で、ゴードンの自宅に入り込み、妻と子を縛り上げる。
そして妻の口から電話でゴードンに「アダムを信じてはダメ」と告げられる。実はアダムは人を盗撮して金を稼ぐカメラマンで、タップ元刑事に頼まれてここ数週間、ゴードンの監視をしていたのだ。人の生活をのぞき見する「下世話な仕事」がアダムの罪。
最終的に、二人で連携して犯人ゼップを倒し、自分の足をのこぎりで切断したゴードン医師は助けを求めに外に向かうが、ここで驚愕の事実が。。。
(ここで犯人についてネタバレ)
犯人はゼップではなく、ゼップが「この人はジョンさんですよ」とゴードン医師に声をかけた時の患者・ジョン・クレイマーその人だった。そしてその犯人は、やはり「最前列で見ていた」。ゴードン医師とアダムの真ん中に横たわっていた「死体」。それこそが、犯人・ジグソウだったのだ。まさかの結末にお口あんぐり。
ジグソウは「ゴードン先生は時間切れだ」と言い、アダムには「カギは浴槽の中だ」とだけ告げて「Game Over」の言葉とともにドアを閉める。アダムは映画の最初に浴槽の水を抜いたときに光りながら流れていった何かがカギだったのだ、と気づくと絶望感に叫ぶ「死にたくない!」と。
ゴードン医師が助かったかどうかは確かではないけれど、アダムはこのままこのトイレで誰にも気づかれることなく死ぬ運命なのだった。
特にこれで疑問を抱いてはいなかったけれど、アダムとジグソウの関係について、ここに面白い考察がされていた。
最初やかましいと思わせてだんだん味のある人物となるアダム役のリー・ワネルは脚本家・映画監督でもあり、今作も脚本を担当。多彩なのね。今回何より驚いたのは、ゴードン医師役のケイリー・エルウィスが高校生の頃に見た「アナザーカントリー」でルパート・エヴェレットのゲイの相手役だったこと!
wikiってすごいな。超便利。でもケイリーさんって当時も「目が落ちくぼみ過ぎやろ」と思って好みの顔じゃなかったけど、今も同じ。んでも超エリート学校の美青年という役柄にピッタリな顔なんだろうな。ジ・アングロ・サクソン的な。優雅にポロなんかしちゃうのが似合う。エリート医師に適役でしたわ。
ソウ SAW
監督 ジェームズ・ワン
脚本 リー・ワネル
製作 マーク・バーグ、グレッグ・ホフマン、オーレン・クールズ
製作総指揮 ピーター・ブロック、ジェイソン・コンスタンティン、ステイシー・テストロ
出演者 ◎ゲーム参加者・・・朽化したバスルームに監禁されている
ケイリー・エルウィス・・・ローレンス・ゴードン:老外科医。脱出の方法を模索。
リー・ワネル・・・アダム・フォークナー:若者。最初はパニックになる。
◎警察・・・猟奇殺人鬼「ジグソウ」を追う
ダニー・グローヴァー・・・デイビッド・タップ:黒人の元刑事。ゴードンを疑う。
ケン・レオン・・・スティーブン・シン:若い刑事。ジグソウのトラップにより死亡。
ディナ・メイヤー・・・アリソン・ケリー:女性刑事。
◎ゴードンの家族・友人・・・夫婦はしばしば家庭内で揉める
モニカ・ポッター・・・アリソン・ゴードン:ローレンスの妻。
マッケンジー・ヴェガ・・・ダイアナ・ゴードン:ゴードンに溺愛される娘。
ベニート・マルティネス・・・ブレット:ゴードンの弁護士、友人。
◎ジグソウによる別のゲーム参加者・・・アマンダ以外死亡
ショウニー・スミス・・・アマンダ・ヤング:薬物中毒の女性。ゲームの事を話す。
マイク・バターズ・・・ポール・Leahy:自傷癖のある中年男性。
ポール・ガトレクト・・・マーク・ウィリソン:放火魔・盗癖。
ネッド・ベラミー・・・ジェフ・ライデンアワー:ジグソウにとらわれていた男性。
◎ゴードンの病院関係者・・・ゴードンは患者を名で呼ばず秘書と不倫
マイケル・エマーソン・・・ゼップ・ヒンドル:ゴードンの病院の雑役係。
アレクサンダー・チュン・・・カーラ:ゴードンの不倫相手。
トビン・ベル・・・ジョン・クレイマー:ゴードンに癌の診断を下された患者。
音楽 チャーリー・クロウザー
撮影 デヴィッド・A・アームストロング
編集 ケヴィン・グルタート
製作会社 エボリューション・エンターテイメント、ツイステッド・ピクチャーズ
配給 アメリカ合衆国 ライオンズゲート
日本 アスミック・エース
公開 アメリカ合衆国 2004年1月19日 (サンダンス)
アメリカ合衆国 2004年10月29日
日本 2004年10月30日
上映時間 111分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $1,200,000
興行収入 $103,096,345
次作 ソウ2
2021.01.23 Saturday
「なぜ、電話が鳴ると自分宛ではなくても人は出てしまうのか」かなり明るい冒頭から始まるこの物語。実はとっても後を引く怖い話。
短くスッキリまとまってて面白かった。なんか書くとすぐにネタバレになっちゃいそうなんで、ひとまずは詳しくは書かないけど。主役のコリン・ファレルは、前に「マイノリティ・リポート」でもそこそこ重要な役どころだった人だけど、じっくり演技見たの初めてでよかったと思う。映画の舞台がほぼ一つの通りだけで完結する映画。見事だと思う。
この映画、マスコミの宣伝屋をしている主人公が、普段はケータイで商談の話をしているのに、なぜか新人女優のパムにかけるときだけ公衆電話を利用する習慣が元で始まる話。
この映画の舞台は2002年。ケータイが普及し、公衆電話は米国では破壊や盗難の問題もあり、どんどん取り壊されていき、彼の利用する電話ボックスはこの通りに残された最後の一台となり、彼はその電話を利用する最後の人となった、というナレーションから始まる。
(ここから先はネタバレ)
「自称やり手」の主人公は、利用できる人にはすり寄るが、利用できない人間にはぞんざいに接する。公衆電話で電話する彼の元へピザを届けた配達人や電話ボックスで待つ娼婦やその用心棒など、社会で力を持たない人には見下すような態度を取ってしまうことから、相手の怒りを買い、事件へと発展していく。
パムへの電話を切った直後に公衆電話が鳴る。つい取ってしまうが、本当に自分宛の電話で、相手は自分の個人情報を知っている。しかも電話を切ると殺すという。なんという恐怖!
犯人の目的は、公開処刑。「SAW」は「自分の命を大事にしない人間」がターゲットだったけれど、今回は「卑怯者」かな?犯人がそれまでに殺してきたのは、株の暴落を知りつつ自分だけ売り逃げた奴とかドイツのポルノ王。
犯人は上手く主人公を翻弄し、主人公以外に奥さんやパムや刑事を殺すと言って脅す。主人公が本当に卑怯なろくでなしなら、奥さんやパムはともかく、刑事の命まで守ろうとするんだから、悪い奴ではない。
駆け付けた奥さんに他の女(パム)を口説こうとしていたことを謝罪し、自分は利用できない人間を見下し、若い助手をただ働きさせた最低の人間だと告白させられる。そうすれば開放すると言いながら「気が変わった」と言ってその要求はエスカレート。
最初は駆け付けた警察も、用心棒を殺したのが主人公だと思い込み、何とか説得しようとするが、ここで味のある黒人のレイミー警部と型通りの判断しかできない白人のネゴシエイターが争ったりと人間ドラマが描かれ(のちには共に共闘する)、黒人警部が彼が誰かに脅されているのでは?と疑い始め、主人公の機転をきっかけに、犯人は追いつめられる。
そして捕まった犯人はまさかのピザ屋!あの時馬鹿にされてそんなに腹がたったのか、と一瞬思うけれど、あの直後に犯行を思いついたとは思えぬほど犯行は計画的すぎないか?ともやっとする。。。
その後、主人公は鎮静剤を打たれ、救急車でまどろむ。周りを忙しく立ち回る警察やマスコミなどの人々。ああ何か嫌な感じ。。。何か起こるぞ、と見ていると通りかかる「本物の犯人」が「ピザ屋は気の毒だった。君の誠実さが続かないようだったらまた電話する」と言って去っていく。こわー!!
81分と短い映画ですが、すごく緊張感があるのでちょどよい長さかも。これ以上長いと疲れそう。でもすごくスリリングで最後まで面白かった。自分も自分の人生に感謝したり、人への態度とか改めたり、いろいろちゃんとしようと思った。
フォーン・ブース Phone Booth
監督 ジョエル・シュマッカー
脚本 ラリー・コーエン
製作 ギル・ネッター、デヴィッド・ザッカー
製作総指揮 テッド・カーディラ
出演者 コリン・ファレル・・・スチュワート・シェパード(スチュ):自称やり手のメディア・コンサルタント
フォレスト・ウィテカー・・・エド・レイミー警部
ラダ・ミッチェル・・・ケリー・シェパード(スチュの妻)
ケイティ・ホームズ・・・パメラ・マクファーデン(パム)
キーファー・サザーランド・・・電話の主
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影 マシュー・リバティーク
編集 マーク・スティーヴンス
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国 2003年4月4日
日本 2003年11月22日
上映時間 81分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $13,000,000
興行収入 $97,837,138
「生きてる価値」とは何か。
この2本の映画では、第三者によって「おまえは生きる価値がない」とされてしまった者たちが否応なしに引きずり込まれる「ゲーム」が主軸となっている。
「生きてる価値」とは基本は自分自身で決めるもの。
「自分にとって」この世は生きる価値があるかどうかで図るものであるはず。
と書くと、自分で自分の命を絶つことも自由であるということとなり、問題があるかもしれないけれど。
少なくとも、人には人の命の選別をする権利はない。
「フォーン・ブース」のスチュが助かったのは、自分が生きたいと願う想い以上に、愛する人を救いたいという想いがあったから。彼は愛する人以外の人々も救おうとしていたから。
犯人はスチュに様々な要求をして、応えても応えても許してはくれなかったが、もしかするとスチュが妻や警部やパムを見殺しにするような発言をしたら、スチュ自身が殺されていたのかもしれない。犯人はスチュを試したのかもしれない。犯人自身は勝手に命を選別しておきながら、スチュには許さない。勝手だなぁ。
最近Twitterに食べ物の中でもサンドイッチのイラストを載せている。
なかなか好評のようだ。現状Twitterは平和だ。FBは人を不幸にするけれど。
2020年9月発売の新刊です。
どうぞよろしくお願い致します♡
◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■
◆東京◆
河鍋暁斎の底力
11月28日(土) - 2021年2月7日(日) 10:00 - 18:00 東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202011_kawanabe.html
生きている東京展
2020年9月5日(土)→ 2021年1月31日(日) 11:00〜19:00 ワタリウム美術館
⟨アーティスト⟩島袋道浩/ジャン・ホワン(張洹)/寺山修司/齋藤陽道/JR(ジェイアール)/オラフ・ニコライ/デイヴィッド・ハモンズ/ファブリス・イベール/ナウィン・ラワンチャイクン/バリー・マッギー/マリオ・ボッタ/ナムジュン・パイクhttp://www.watarium.co.jp/jp/exhibition/202009/
⟨ゲストアーティスト⟩会田誠/渡辺克巳/SIDE CORE
佐藤可士和展
2021年2月3日(水)〜5月10日(月)10:00〜18:00 国立新美術館 企画展示室1E
https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/kashiwasato2020/
https://kashiwasato2020.com/
トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう
2020年10月16日(金) - 2021年3月7日(日) 11:00〜17:30 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
http://www.2121designsight.jp/program/translations/
20世紀のポスター[図像と文字の風景]――ビジュアルコミュニケーションは可能か?
2021年1月30日(土)−4月11日(日) 10:00〜18:00 東京都庭園美術館(本館+新館)
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/210130-0411_ConstructivePostersOfThe20th.html
◆名古屋◆
ショック・オブ・ダリ ― サルバドール・ダリと日本の前衛
2021年1月9日(土)―3月28日(日) 9:30〜17:00 三重県立美術館
https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/000244842.htm
GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は? GENKYO YOKOO TADANORI
2021年1月15日(金)〜4月11日(日) 10:00〜18:00 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000273.html
https://genkyo-tadanoriyokoo.exhibit.jp/
バンクシー展 天才か反逆者か
2021年2月3日(水)〜5月31日(月)10:00〜20:00 旧名古屋ボストン美術館(金山南ビル)
https://banksyexhibition.jp/
「写真の都」物語 ―名古屋写真運動史:1911-1972―
2021年2月6日(土)〜3月28日(日) 9:30〜17:00 名古屋市美術館
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/photography
トライアローグ
2021年4月23日(金)〜 6月27日(日)※予定 10:00〜18:00 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科
2021年4月3日(土)〜5月16日(日)(予定)10:00〜17:00 岡崎市美術博物館
https://www.city.okazaki.lg.jp/museum/exhibition/openexhibition/p026571.html
◆大阪◆
時間〜TIME BOWIE×KYOTO×SUKITA 鋤田正義写真展
2021年4月3日(土)〜5月5日(水・祝)※会期中無休 10:00〜19:30
美術館「えき」KYOTO
https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2104.html
ミケル・バルセロ展
2021年3月20日(土・祝)−5月30日(日)10:00〜17:00 国立国際美術館
https://www.nmao.go.jp/exhibition/2021/post_miquel.html
おちょやんの役者魂 – 浪花千栄子出演映画特集
2021年1月19日(火) - 2021年2月5日(金) 10:00−19:30 京都文化博物館 3階 フィルムシアター
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_film_post/20210119-20210205/
ソウ SAW
パパラッチの男性アダムは水の張られた浴槽の中にいた。栓が抜けて水が抜けていくのと同時に目覚めたアダムは、自身が酷く老朽化した手広いバスルームにいることに気づく。アダムの片足は鎖で繋がれ、部屋の対角線には同じように鎖で繋がれた医師、ゴードンがいた。そして部屋の中央には拳銃自殺の遺体が倒れていた。鎖はとても外れそうになく、出入り口は硬く閉ざされていた。まったく状況を飲み込めなかったが、アダムは自身のポケットにカセットテープが入っているのに気づく。ゴードンのポケットにはカセットテープと、未使用の銃弾と、何らかの鍵があった。自殺死体が握るテープレコーダーで、ふたりはそれぞれのテープを再生する。内容はそれぞれへ宛てたメッセージでゲームをしようとささやくのだった。アダムは「この場で死ぬか、逃げ出すか試す」、ゴードンは「時計が6時を回るまでにアダムを殺せ、そうでなければ彼の妻と子が死ぬ」というものだった。さらにゴードンの方には「Xに宝が隠されている」「ハートに従え」という内容が付与されていた。アダムのそばのトイレタンクにハートのマークがあり、中にはノコギリが2つ入っていた。2人はノコギリで鎖を切断しようと試みるが、とても不可能であった。ノコギリは鎖ではなく、脚を切断するためのものであった。
この常軌を逸した状況に、ゴードンは犯人の正体を思い立つ。それは近頃世間を騒がせる、通称ジグソウと呼ばれる人物である。ジグソウは自殺未遂者、放火魔、薬物中毒者など人命を軽んじる人間を拉致し、彼らに命を懸けたゲームを仕掛け、それを最前線で観賞するのだった。5ヶ月前、ゴードンは自身の所持品がジグソウの犯行現場に残されていたために容疑をかけられていた。その時間愛人と密会をしていたことからアリバイが成立し容疑は晴れた。この経験から、ゴードンは今回の事件もジグソウの仕業であると推測する。2人の様子は、ガラスの反対側に設置されたビデオカメラで常に監視されていた。
一応ジグソウ容疑は晴れたゴードンだが、ジグソウを追うタップ刑事は疑いを晴らさず、ゴードンを犯人と睨んで捜査に熱中していた。その結果、かつての犯罪現場に残されたジグソウのビデオの内容からジグソウのアジトを突き止め、相棒のシン刑事と共に踏み込み、ジグソウを捕らえる寸前にまで至る。ところがジグソウの反撃に遭い、タップは首を斬られ、シンはジグソウの逃走経路に仕掛けられた罠を喰らって絶命した。一命をとりとめたタップは辞職して独自に捜査を続け、ゴードンの自宅を監視していた。
妻子の身を案じるゴードンは、ポケットの財布に収めていた2人の写真を眺める。彼からそれを見せてもらったアダムは、財布の中に2人が縛られた写真と「目を閉じた方が見えることもある」というゴードンへのメッセージを確認する。ゴードンを動揺させないため、アダムは写真を抜き取って返した。ゴードンの妻アリソンと、娘のダイアナ。2人は自宅に監禁され、リビングではモニターを通してアダムとゴードンの様子を監視する男がいた。それはゴードンが務める病院の雑役係のゼップであった。
一方、写真のメッセージを元に、アダムはゴードンへ照明を落とすよう促す。するとゴードンのそばの壁に夜光塗料で書かれた「X」が浮かび上がった。壁の中からは鍵のかかった小箱が発見された。ゴードンのポケットの鍵はこれのものだった。小箱には着信専用の携帯電話と、2本の煙草と、ゴードンへのメッセージがあった。メッセージには、タバコを自殺死体の血につければたちまち毒性になり、吸った人間を殺せるとあった。最初のメッセージで、自殺した男は体を遅効性の毒に犯され自殺するしか道がなかったのだと語られていた。ゴードンになぜ灯りを消せと提案したか詰め寄られたアダムは、観念して写真を見せる。動揺するゴードンだが、あくまで冷静を保ちアダムへジグソウを騙す策を持ちかけ、アダムには血を付けていない別の煙草を吸わせ、毒で死んだかのように演技させた。提案通り死を演じるアダムだが、突如鎖から電流が走り、死の偽装を暴かれてしまう。
打つ手なしに陥ったところ、ゴードンの携帯電話に着信が入る。相手はゼップに促されたアリソンで、「アダムは以前からゴードンのことを知っていた。彼を信じてはいけない」と告げる。アダムは他人のスキャンダルを盗撮するカメラマンで、ここ連日ずっとゴードンをつけ回し写真を撮っていた。撮影を依頼したのはボブと名乗る男性だったが、容姿の特徴から、ゴードンは彼がタップであると看破する。さらにアダムから自身が撮影したゴードンの写真を見せられる。ノコギリが収められていた袋に一緒に入っていたものだった。その写真の中には、ゴードンの自宅の窓から外を警戒するゼップの姿もあった。そのとき、時計が丁度6時を指した。
6時になり、ゼップはアリソンとダイアナを射殺しにかかる。ところがアリソンは密かに拘束の縄を解いており、油断したゼップに逆襲する。その騒動に気づいたタップもまたゴードン宅へ侵入し、2人は辛くも死を免れた。タップに追われながらゼップはアダムらがいる施設を目指し、地下通路の中でタップを揉み合いの末、射殺する。
一方、妻子の無事を知らないゴードンはタイムアップの状況に半狂乱になり、ノコギリで自身の足首を切断し、死体の持っていた拳銃に弾丸を込めてアダムを撃った。その直後ゼップがバスルームへやってくるが、制限時間を超過したため「これがルールだ」と言いゴードンを射殺しようとする。しかし、実は肩を打たれ致命傷に至らなかったアダムに組み伏せられ、トイレタンクの蓋で撲殺される。
鎖から解放されたゴードンが助けを呼びに外へ出た後、アダムはゼップの所持品を探る。すると彼のポケットからテープレコーダーが見つかった。内容は「ゼップには遅効性の毒が打たれており、解毒剤を手に入れるためにはアダムとゴードンの様子を監視し、時間が来たらアリソンとダイアナを殺せ」というものであった。ゲームの犯人かと思われたゼップもまたジグソウにゲームを強要された被害者だった。
愕然とするアダムだが、今度は部屋の中央の死体が突如として起き上がるのを目撃する。自殺死体だと思われた男、それこそジグソウ張本人であった。ジグソウはジョンという老人で、ゴードンに末期の脳腫瘍がんで死ぬと宣告された患者だった。「ゲームを最前線で観賞する」性質から、ジグソウはずっと部屋の中にいたのだった。アダムはゼップの銃でジグソウを襲うが、鎖へ電流を流され身動きが取れなくなってしまう。「鎖の鍵はバスタブの中だ」というジグソウの言葉を聞き、アダムは自分が目覚めた時点で鍵は水とともに流れてしまい、脱出の可能性がほぼ絶たれていたことを知る。「ゲームオーバー」そう言ってジグソウは部屋の照明を落とし、出入口を閉ざした。ひとり暗闇に残されたアダムは慟哭した。
フォーン・ブース Phone Booth
スチュワート(スチュー)はいかなる状況も口先一つで乗り切ってきた自称やり手のメディア・コンサルタント。ある日、彼がニューヨークのブロードウェイの電話ボックスから下心で売りだすと約束していた女優志望の女性プラム(パム)との電話を終えたその直後、切ったばかりの電話から呼び出し音が鳴った。思わず受話器を取るスチューに電話の相手はこう言った。「人間て面白いな、誰がかけたのか分からないのに、電話が鳴ったらついつい出てしまう。」と。
電話の男は「電話ボックスから一歩も出るな」と言い、スチューの名前は勿論事細かに彼の個人情報を論った。男は自分を過去にスチューといざこざがあった売れない役者だという。男は今電話していたパムやスチューの妻に電話をするように立て続けに要求する。一方、ボックスの外から女が電話を切って使わせろと言ってきた。どうやら女は娼婦で商売にはこの電話が必要だったらしい。足蹴に追い払おうとするスチューに腹を立てた女は仲間を連れて帰ってきた。女達は電話を使わせろとまくし立てたがスチューは今度も汚い言葉であしらう。
訳のわからない電話に業を煮やすスチューは電話を切ると男に告げると男は「電話を切れば、お前を殺す」と告げた。ボックスを囲むように建つビルの無数にある窓の何処かからライフルで狙っているというのだ。男は半信半疑のスチューに弾を装填する音を電話越しに聞かせた。そして、ボックスの外にあったおもちゃのロボットを吹き飛ばしてみせた。息を呑み固まるスチュー。間もなく、スチューの胸には銃のレーザー照準が合わされ、彼は電話ボックスから出られなくなってしまう。
一方、一向に言う事を聞かないスチューに怒りを募らせた娼婦達は用心棒の男を連れて帰ってきた。今や電話を切る事もボックスから出る事も出来なくなったスチューはその男の怒りも買ってしまう。男が暴力的な態度に出ると電話の男は何度も「助けようか?」と聞いてきたが「結構」と答えるスチュー。上半身を羽交い絞めにされ殴られながらも受話器を離さないスチューに電話の男は再度「やめさせようか?」と聞いてきた。思わず「イエス」と答えてしまうスチュー。直後男はうめき声をあげながらのけ反り地面に倒れ絶命した。娼婦たちは悲鳴と怒号をあげスチューが撃ち殺したと騒ぎ立てながらその場から逃げ出した。しばらくしてスチューは銃をかまえた警官と狙撃手達に囲まれ、直ちに銃を捨てて両手を上げてボックスから出てくるように促される。娼婦たちが警察に通報しスチューが殺したと伝えていたのだ。電話の男は警察の言う事を聞かないように、自分の事も言わないように促したが、今やスチューは銃を持っていると疑わない警官にいつ撃ち殺されても不思議ではない状況に陥っていた。