映画「ピエロがお前を嘲笑う」と「キック・アス」に見る”スーパーヒーローになりたい少年”の明暗

200122_piero01.jpg200122_piero02.jpg200122_piero05.jpg200122_piero06.jpg2021.01.21 Thursday
映画「ピエロがお前を嘲笑う」を見た。ドイツ映画はテクノ!らしく「テクノな音楽最高!」という感想を見かけるけど、物語に引き込まれ過ぎて音楽なんて覚えてない(ダメじゃん)。それにしても面白かった。まさかの展開。どんでん返しに次ぐどんでん返し。構成が重厚な点がドイツっぽいイメージ。

前日に「スーパーヒーローにあこがれる映画(後半に描く「キックアス」)」を見たばかりなので、主人公・ベンヤミンの供述に「透明人間みたいな自分を変えたくて、スーパーヒーローになりたかった」というのが出て来て既視感を覚えた(笑)。

ひょんなことでハッカーグループCLAY(=clown laughs at you(ピエロがお前を嘲笑う))を組むことになる3人組もいい味出してる。ベンヤミンを仲間に入れたマックスはお調子者だけどカリスマ性のある野心家。全身刺青のシュテファンは陽気でマックス以上にお調子者だけど、いざというときにはさっさと逃げ出そうとする薄情者。最初なかなかベンヤミンを仲間として認めようとしないパウルは、仲間だと認めたら最後まで「仲間を見捨てたりしない」と言ってくれるいい奴。そんなキャラもはっきりと描かれている。

驚いたのが、みんな以外と年食っていること。
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2014年の公開時の彼らの年齢は以下の通り。
ベンヤミン: トム・シリング(1982年2月10日生まれ) - 32歳
マックス: エリアス・ムバレク(1982年5月29日生まれ) - 32歳
シュテファン: ヴォータン・ヴィルケ・メーリング(1967年5月23日生まれ) - 47歳
パウル: アントニオ・モノー・Jr(1975年6月22日生まれ) - 39歳
マリ: ハンナー・ヘルツシュプルンク(1981年9月7日生まれ) - 33歳

ヒロインの女の子は女子大生役だったのに、撮影当時32〜3歳くらいだったのね。無理なく女子大生に見えたのがスゴイ。

主人公とリーダーのマックス役の人が同じ年ってのも驚きだけど、全身刺青のシュテファンは全員30代の中でも一人年上のアラフォーで、Wikiの写真がめっちゃまじめで笑える。


            


あんまりネタバレになるとアレなんで書けないけど、本作のどんでん返しはハリウッド映画のあるカルト作品にちょい似てるなと思ったらやっぱ影響を受けているらしい。

とはいえ、たぶんフツーに見たらこのラストのオチは読めない。そしてラストまで見たところで、ふいにこの邦題の意味がわかる。この邦題のセンスの良さだけで50点くらい上げたい。映画も80点はつけられるので私的には130点くらいの映画。もう一度テクノ音楽を味わいながらじっくり細部まで見たい。

ヨーロッパの映画は映像がオシャレだ、なんて言い切るほどヨーロッパ映画見てないけど、でもやっぱダークウェブを表す地下鉄のシーンや、ピエロの扮装で4人が歩いていくシーンなど、オシャレで絵になる映像が満載で、ハリウッドでそれをどこまで再現できるか?いや別物にするのか?

スタイリッシュさと豪華さは両立しないことが多い。低予算映画が時にスタイリッシュにまとまるのは、クールさとはシンプルさに直結するから。予算掛け過ぎて大げさにしてしまうと、それはなくなるよねぇ。

ドイツ映画と言えば数年前に見た「ラン・ローラ・ラン」もすごく面白かった。こっちは映画の構成上バックに流れるテクノ音楽もバッチリ覚えてる。いいなドイツ映画。「ピエロ」は2015年にハリウッドリメイクが決定したらしいんだけど、まだかなー。ラストがわかってても楽しめるといいのだけど。

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ピエロがお前を嘲笑う Who Am I - Kein System ist sicher
監督      バラン・ボー・オダー
脚本      バラン・ボー・オダー、ヤンチェ・フリーセ
製作      クイリン・ベルク、マックス・ヴィーデマン
出演者     トム・シリング・・・ベンヤミン: 主人公で天才ハッカー。学校ではいじめられっこ。
        エリアス・ムバレク・・・マックス: 野心家のハッカー。ベンヤミンと「クレイ」を結成。
        ヴォータン・ヴィルケ・メーリング・・・シュテファン: 弱点探索の得意なハッカー。無謀。
        アントニオ・モノー・Jr・・・パウル: ハードウェア寄りのハッカー。慎重。
        ハンナー・ヘルツシュプルンク・・・マリ: ベンヤミンの中学時代の同級生。
        シュテファン・カンプヴィルト・・・マルティン・ボーマー: 捜査官。
        トリーヌ・ディルホム・・・ハンネ・リンドベルク: ユーロポールの捜査官。
音楽      ミヒャエル・カム
撮影      ニコラウス・スメラー
編集      ロバート・ジェサチュ
製作会社    ヴィーデマン&ベルク・フィルムプロダクション、Seven Pictures、
        Deutsche Columbia Pictures Film Produktion
配給      ドイツ Sony Pictures Releasing
        日本 ファントム・フィルム
公開      ドイツ 2014年9月25日
        日本 2015年9月12日
上映時間    106分
製作国     ドイツ
言語      ドイツ語
                

155246_01.jpg2021.01.20 Wednesday
映画キック・アス視聴。
主役のアーロン・テイラー=ジョンソン、非モテ役だけど十分カッコええのに〜と思って見てたら、TENETの最後の方に出て来るイケメンだということがわかった。
ニコラス・ケイジが老け役?なのかゲイリー・オールドマンに似てる。ニコラスは「ビッグダディ」としてバットマンの扮装をするのだが、ゲイリー演じるゴードン警部がバットマンになるみたいで面白い。

でもこの映画の見どころはやっぱり”ヒットガール”クロエ・グレース・モレッツちゃんでしょう。めちゃくちゃかわいいし、できる子!
アクション激しいし、人がバタバタ死んで行くけど、グロくないし爽快感があってスカッとする映画。悪役のギャングもどこかコミカルで憎めないし。元気の出る良い映画!

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キック・アス Kick-Ass
監督      マシュー・ヴォーン
脚本      ジェーン・ゴールドマン、マシュー・ヴォーン
原作      マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr『キック・アス』
製作      マシュー・ヴォーン、ブラッド・ピット
製作総指揮   マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr
出演者     アーロン・ジョンソン・・・デイヴ・リズースキー / キック・アス
        クリストファー・ミンツ=プラッセ・・・クリス・ダミーコ / レッド・ミスト
        クロエ・グレース・モレッツ・・・ミンディ・マクレイディ / ヒット・ガール
        ニコラス・ケイジ・・・デイモン・マクレイディ / ビッグ・ダディ
        マーク・ストロング・・・フランク・ダミーコ
        リンジー・フォンセカ・・・ケイティ・ドーマ
音楽      ジョン・マーフィ、ヘンリー・ジャックマン
撮影      ベン・デイヴィス
編集      ピエトロ・スカリア、ジョン・ハリス、エディ・ハミルトン
製作会社    マーヴ・フィルムズ、プランBエンターテインメント
配給      アメリカ合衆国 ライオンズゲート
        日本 カルチュア・パブリッシャーズ
公開      イギリス 2010年3月26日
        アメリカ合衆国 2010年4月16日
        日本 2010年12月18日
上映時間    117分
製作国     アメリカ合衆国、イギリス
言語      英語
製作費     $30,000,000
興行収入    $96,188,903 世界の旗
        $48,071,303 アメリカ合衆国 カナダ
次作      キック・アス/ジャスティス・フォーエバー

2021.01.26 Tuesday
この二つの映画を見て感じたのは「どちらも”スーパーヒーロー”にあこがれたけど、『キック・アス』は本物のヒーローになり、「ピエロ」はダークサイドに堕ちていく。その対比だ。

これは「愛する人の有無」が大きいのではないか。「キック・アス」の主人公は、母親はいないけど気にかけてくれる父親がいて、いい友人もいる。そして学園一の美少女だってゲットする。
けれど「ピエロ」の主人公は孤独だ。アルツハイマーの祖母と暮らし、友人もいない。唯一できた仲間がダークサイドの人間だったのだ。なんてことを感じたのは、他の映画もいろいろ見た結果。映画は本当に興味深い。


                


210114_IMG_2320.jpg2021.01.20 Wednesday
ふり幅大きすぎな雑誌2冊。
「BRUTUSのカスタード」と 「歴史人の苗字と家紋」。
仕事の合間にパラパラめくってるけど、どっちもめっちゃ楽しい。

なんとオット宮田さんの家紋とオット母の旧姓の家紋がまったく同じでビックリ。義両親はベストマッチングだったのね♡などと二人でしみじみ。


                




                


2020年9月発売の新刊です。
どうぞよろしくお願い致します♡



                  


◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■

◆東京◆
河鍋暁斎の底力
11月28日(土) - 2021年2月7日(日) 10:00 - 18:00 東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202011_kawanabe.html

生きている東京展
2020年9月5日(土)→ 2021年1月31日(日) 11:00〜19:00 ワタリウム美術館
⟨アーティスト⟩島袋道浩/ジャン・ホワン(張洹)/寺山修司/齋藤陽道/JR(ジェイアール)/オラフ・ニコライ/デイヴィッド・ハモンズ/ファブリス・イベール/ナウィン・ラワンチャイクン/バリー・マッギー/マリオ・ボッタ/ナムジュン・パイク
⟨ゲストアーティスト⟩会田誠/渡辺克巳/SIDE CORE
http://www.watarium.co.jp/jp/exhibition/202009/

佐藤可士和展
2021年2月3日(水)〜5月10日(月)10:00〜18:00 国立新美術館 企画展示室1E
https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/kashiwasato2020/
https://kashiwasato2020.com/

トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう
2020年10月16日(金) - 2021年3月7日(日) 11:00〜17:30 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
http://www.2121designsight.jp/program/translations/

20世紀のポスター[図像と文字の風景]――ビジュアルコミュニケーションは可能か?
2021年1月30日(土)−4月11日(日) 10:00〜18:00 東京都庭園美術館(本館+新館)
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/210130-0411_ConstructivePostersOfThe20th.html


◆名古屋◆
ショック・オブ・ダリ ― サルバドール・ダリと日本の前衛
2021年1月9日(土)―3月28日(日) 9:30〜17:00 三重県立美術館
https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/000244842.htm

GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は? GENKYO YOKOO TADANORI
2021年1月15日(金)〜4月11日(日) 10:00〜18:00 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000273.html
https://genkyo-tadanoriyokoo.exhibit.jp/

バンクシー展 天才か反逆者か
2021年2月3日(水)〜5月31日(月)10:00〜20:00 旧名古屋ボストン美術館(金山南ビル)
https://banksyexhibition.jp/

「写真の都」物語 ―名古屋写真運動史:1911-1972―
2021年2月6日(土)〜3月28日(日) 9:30〜17:00 名古屋市美術館
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/photography

トライアローグ
2021年4月23日(金)〜 6月27日(日)※予定 10:00〜18:00 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科
2021年4月3日(土)〜5月16日(日)(予定)10:00〜17:00 岡崎市美術博物館
https://www.city.okazaki.lg.jp/museum/exhibition/openexhibition/p026571.html


◆大阪◆
時間〜TIME BOWIE×KYOTO×SUKITA 鋤田正義写真展
2021年4月3日(土)〜5月5日(水・祝)※会期中無休 10:00〜19:30 
美術館「えき」KYOTO
https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2104.html

ミケル・バルセロ展
2021年3月20日(土・祝)−5月30日(日)10:00〜17:00 国立国際美術館
https://www.nmao.go.jp/exhibition/2021/post_miquel.html

おちょやんの役者魂 – 浪花千栄子出演映画特集
2021年1月19日(火) - 2021年2月5日(金) 10:00−19:30 京都文化博物館 3階 フィルムシアター
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_film_post/20210119-20210205/
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