映画「TENET」と「イグジステンズ eXistenZ」

TENET_V1_.jpgTENET_4e6b3.jpgTENET-UK-Poster.jpgNorway_TENET_Mask.jpg2021.01.20 Wednesday
最近忘れないように映画を見るとつぶやくようにしてるんだけど、せっかくのノーラン監督 の最新作「TENET」についてつぶやくのを忘れていた。10月初めに見たのに。確かに面白い。だけど難解過ぎて素直にすぐ感想を書きたいとは思えず。他の方の投稿を読んで主人公に名前がなかったことにも気づいた。

同じ頃にテレビで久しぶりに「メメント」を見て、やはりシンプルに面白いと思った。あんな映画はそうそう作れはしないだろうけれど、凝ったアイデアを形にしていくうちにどんどん複雑で難解になって行く。最近ついていけてない。「プレステージ」「インセプション」辺りまでは素直に面白い!と思えたのだけど。

個人的にノーラン監督の魅力は「時間軸」をテーマにしたSFで斬新なアイデアを盛り込みつつ、切ない人間ドラマがあることがポイント。ややテーマは異なるが「インソムニア」も切ない。「ダークナイト・トリロジー」なんて切なさの極みだ。最近の作品は「せつなさ」が足りない気がする。そこが物足りない。

それにしてもノーラン作品、結構見てるな。数えたら15本中10本見てた。

            
TENET テネット Tenet
ウクライナ・キエフのオペラハウスにおいてテロ事件が発生。しかしこれは「プルトニウム241」を奪取したCIAのスパイを暗殺するための偽装だった。彼を救出するため、ロシア人の協力のもと、CIA工作員の主人公(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は特殊部隊に混ざってオペラハウスに突入し、スパイの救出には成功するが、直後ロシア人たちに捕らえられてしまう。

主人公はロシア人から拷問を受け、自決用の毒薬を飲む。しかしそれは実は睡眠薬であり、目を覚ますと見知らぬ船にいた。そこでフェイ(マーティン・ドノヴァン)という男から、先の作戦は主人公の適性をはかるテストだったことを明かされる。洋上の風力発電所に潜伏して休息した主人公は、ある研究室へと案内される。そこで彼は、弾痕から拳銃の中へと「逆行する弾丸」の存在を目の当たりにする。通常兵器が未来を変えるのに対して、未来からもたらされた「逆行する兵器」は過去を変えるのだという。

弾丸の成分からインドの武器商人の関与を疑った主人公はムンバイに赴き、協力者であるニール(ロバート・パティンソン)と共に武器商人サンジェイ・シンを襲って口を割らせようとするが、妻のプリヤこそが黒幕であった。プリヤから、在英ロシア人の武器商人アンドレイ・セイター(ケネス・ブラナー)が弾丸を「逆行」させるなど未来人と関与していることを知らされ、セイターの妻であるキャット(エリザベス・デビッキ)と接触を図る。

キャットは贋作師アレポの描いたゴヤの贋作の件で、セイターから脅されていた。セイターは脅迫のネタとして、贋作と分かっていながらそれを落札していたのだった。その絵はオスロの空港の中にあるフリーポートの貴重品庫に保管されていた。主人公はニールやマヒアとともに、ジャンボジェット機を倉庫に衝突させ、その大騒ぎのすきに警備を突破し、贋作を処分することを計画する。フリーポートの一番奥へと侵入した主人公とニールは、銃撃戦の跡が残るガラスで隔てられた二つの部屋へとたどり着く。その先には左右二つの部屋をつなぐ回転ドアがあったが、中には誰もいなかった。しかし回転ドアが動きだすと、無人だった筈のところから防護マスクで覆面した特殊部隊スーツの敵が2人同時に現れる。主人公と敵は格闘を繰り広げるが、ニール側の敵は一目散に逃げていく。主人公は戦いの中でドアから出現した敵は逆行状態で、敵が所有していた拳銃の弾丸は逆行しガラスにあった銃撃跡が消えていることに気づく。何とか敵を追い詰め、お前は何者だと尋問するもすんでのところで逃してしまう。

監督      クリストファー・ノーラン
脚本      クリストファー・ノーラン
製作      エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
製作総指揮   トーマス・ヘイスリップ
出演者     ジョン・デヴィッド・ワシントン
        ロバート・パティンソン
        エリザベス・デビッキ
        ディンプル・カパディア
        マイケル・ケイン
        ケネス・ブラナー
音楽      ルドウィグ・ゴランソン
撮影      ホイテ・ヴァン・ホイテマ
製作会社    シンコピー・フィルムズ
配給      ワーナー・ブラザース映画
公開      イギリス 2020年8月26日
        アメリカ合衆国 2020年9月3日
        日本 2020年9月18日
上映時間    151分
製作国     アメリカ合衆国 イギリス
言語      英語
製作費     $225,000,000
興行収入    世界 $363,129,000
                


134692_01.jpg2021.01.19 Tuesday
映画「イグジステンズ」を見た。先日の「13F」に続いて1999年制作の仮想世界もの。最近「ゾンビ」か「ヴァーチャル」かどっちかだな。

鬼才クローネンバーグの映画で80年代の自作の現代版だそう。面白かった。たとえつまんなくてもジュード・ロウの美しく青い目とイケメンぶりを見られるだけで50点くらいあげたい。

あまりにリアルな仮想空間に入り込むと、出てきたときに「まだヴァーチャル世界にいるのではないか」と現実とヴァーチャルの世界の区別がつかなくなるというのが定番。それをうまく描いているのがノーラン監督の「インセプション」かなと思う。ラストが特に秀逸だ。こう来たか!という洒落た演出。

「イグジステンズ」に話を戻すと、この映画、ほぼラスト近くまで見たところで、全くどう落とすつもりか見当もつかなかった。まだ仮想空間で何一つ解決していなかったし何が正解かもわからなくて。それがそこから怒涛の展開となり、何度もひっくり返っての結末。全く予想できなかった私は新鮮に驚いた。

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未来。誰もが脊髄にバイオポートなる穴を開け、そこにゲームポッド(=コントローラー)を接続して仮想現実ゲームを楽しんでいた。
新作ゲーム「イグジステンズ」の発表会場で、カリスマ的な天才ゲームデザイナー、アレグラ(ジェニファー・ジェイソン・リー)が突然銃撃され、警備員のテッド(ジュード・ロウ)は彼女を連れて逃亡。事件の背後には会社もからんだ陰謀があるらしい。

真相を探るべく、アレグラの友人ビヌカー(イアン・ホルム)の助けを受けてゲームのなかに身を投じるふたり。いかがわしいゲームショップ、ニジマスの養殖場を利用したゲームポッド工場、突然変異した両生類が出される中華料理店等々、各所をめぐるたび、ふたりの前に「反イグジステンズ主義者」が現れる。誰が敵か味方か分からない混乱の果て、ゴールで思いがけない真相にふたりは直面するが、これら全てはゲームの中の世界で起こったこと。
現実世界に戻っても、彼らの戦いはまだ終わらないのであった──。
クローネンバーグ=悪趣味、らしく、結構グロいとのことで、おやつを食べ終わってから見た。
でも私はそれほどグロいとは思わなかったな。ただ、途中双頭の両生類が出て来て、それが結構かわいいのだ。
そいつが料理になって出て来て、ジュードが食べるシーンはちょっと嫌だった。
しかも食べ終わった骨や皮からあるものが出来上がるのも、本当はキモイシーンなのかもしれないけど
なぜか「おお!」って感動してしまった。。。グロよりうまい仕掛けのほうが心に響くらしい。

ただ、脊髄にバイオポートという穴をあけて管やら注射やら差し込むのは、どうも「肛門」と「浣腸」にしか見えず。
最初の方でジュードがバイオポートに割と抵抗するんだけど「なぜ感染しないのか」という彼の疑問はごもっともだし
彼女が「御冗談を」と笑って大口を開けるシーンは「口だって内臓まで穴が開いてるじゃない」という意味なんだろうけど
でもやっぱ「口」というより「肛門」だよ、これは。

ポットと呼ばれるゲーム機は、突然変異した両生類の有精卵からできているってことで
それ本体も気持ち悪いし、それが死にそうになると必死で治療するゲームクリエイターも気持ち悪い。
両生類から卵を取り出す工場のシーンはグチャグチャのグログロで、なんだか公害まみれの某国の工場みたいだし。


抵抗を感じるジュードを普通だと思っている自分は正常、ってことで正しいよね?などと心で確認を取りながら(誰に?)
これはきっと「現実から逃避することへの警告」と捉えるのがよいのだろうと思う。
そしてゲームはリアル過ぎてはいけない。「今自分がゲームをしている」とはっきりわかるレベルでないと。
ヴャーチャルの世界がどんどん進化していくのは恐ろしいよね。

この映画は1982年制作のクローネンバーグ監督の代表作品『ヴィデオドローム』のセルフリメイク作品。
『ヴィデオドローム』は、あまりに難解なため製作費の半分も回収できなかったそうだ。
しかし、その後、ビデオ化されてカルト映画として人気に火がついたいわくつき作品。

イグジステンズ(Existenz)とはドイツ語で「存在」という意味だそうな。
ドイツ語にはもうひとつ、ダーザイン(Dasein)という「存在」意味する言葉があり、太宰治のペンネームは
ここからきているという。トリビアだわ!



                
イグジステンズ eXistenZ
この世界では脊髄にバイオポートという穴を開け、生体ケーブルを挿しこみゲームポッド(ゲーム機本体で突然変異した両生類の有精卵からできている)と人体を直接つないでプレイするヴァーチャルリアリティーゲームが人々の娯楽となっていた。

ある教会でアンテナ社が開発した新作ゲーム『イグジステンズ』の発表イベントが行われている。一般の参加者が天才ゲームデザイナーのアレグラ・ゲラー(ジェニファー・ジェイソン・リー)とこのゲームを体験できるのだ。ゲームが始まった直後、遅れてやって来た青年の隠し持っていた奇妙な銃で、責任者の男とゲーム中のアレグラが撃たれてしまう。ゲームの開発者や販売会社は、現実主義者(リアリスト)から敵視されているのだ。警備員のテッド・パイクル(ジュード・ロウ)は、負傷したアレグラを連れて逃げた。

アレグラは、襲撃された時に傷ついたオリジナル(原本)のゲームポッドが正常か確かめるために、テッドと共にゲームを始めた。ルールもゴールも分からないまま、現実並にリアルなゲーム世界のキャラクターになるテッド。自意識はあるが、必要なセリフは勝手に口をついて出る。殺人も犯しながらステージをクリアして行くが、現実の世界に戻っても殺人は続いた。彼らが戻った世界は、果たして現実なのだろうか。

監督      デヴィッド・クローネンバーグ
脚本      デヴィッド・クローネンバーグ
製作      デヴィッド・クローネンバーグ、ロバート・ラントス、アンドラス・ハモリ
出演者     ジュード・ロウ・・・テッド・パイクル / ラリー・アーシェン
        ジェニファー・ジェイソン・リー・・・アレグラ・ゲラー/ バーブ・ブレッケン
        イアン・ホルム・・・キリ・ビヌカー(アレグラの古い友人)
        サラ・ポーリー・・・メルル
        ウィレム・デフォー・・・ガス
        クリス・レムシュ・・・ノエル・ディクター
        クリストファー・エクルストン・・・ウィトルド・レヴィ
        カラム・キース・レニー・・・ヒューゴ・カーロー
        ドン・マッケラー・・・イェフゲニー・ノリッシュ
        ロバート・A・シルヴァーマン・・・ダルシー・ネイダー
        オスカー・スー・・・中国人のウェイター
音楽      ハワード・ショア
撮影      ピーター・サシツキー
編集      ロナルド・サンダース
製作会社    Canadian Television Fund、ディメンション・フィルムズ
        Harold Greenberg Fund、The Movie Network、ナチュラル・ナイロン
        Téléfilm Canada、Serendipity Point Films、UGC
配給      カナダ アメリカ合衆国 ミラマックス
        日本 ギャガ
公開      カナダ アメリカ合衆国 1999年4月23日
        日本 2000年4月29日
上映時間    97分
製作国     カナダ イギリス
言語      英語
製作費     CAD 31,000,000
興行収入    US$2,856,712

                


210117hd_mm01.jpg2021.01.17 Sunday
インスタで
「茶トラは英国ではマーマレードキャット」
というのを読んで
「なんて素敵♡」と思って早速制作♡

しかしマーマレードとミントの組み合わせってイケるんだろうか?

もう一つのパターンはやっぱりネコと言えば。。。
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2021.01.17 Sunday
文章の作家さんが「漫画じゃないんですね」「コミカライズされたら読みます」「アニメ化されたら見ます」とたびたび言われると切れておられるのを読んで。すごい時代になったなぁと思う。私は前著がコミックエッセイで漫画家でもあるし、もちろん漫画は好きだ。でも普段はほぼ文章の本しか読まない。

世代的なものだろうか。いい年した大人が「漫画しか読みません」というのは恥ずかしいと思う。漫画家を目指す人ならなおさら、漫画だけを読んで漫画家になれると思うなよ、というのがこの業界の常識だと思ってきた。漫画は面白いし、絵柄が好きだと世界にグッと入り込める。いいところはたくさんある。

けれど想像力を育むという意味では、やはり文章の本にはかなわないのではないだろうか。特に良い文章は、情景描写だけで多くのことを伝えてくれる。そのような文章に幼少時から触れることで感性は磨かれる。もし自分が人より1歩も2歩も抜きん出たいともうならなおさら、人とは違うことをした方がいい。

まわりが漫画やアニメしか見たい人であるなら余計に、違うものにどんどん触れた方が、人とは違うものが生み出せると思う。「漫画しか読みません」は恥ずかしいし「漫画しか読まない人」はいい漫画家にはなれないということは肝に銘じた方がいい。いい作り手は皆、最高の映画や文学に触れているものだ。

通っていたスクールでは、良いイラストレーターになるにはいい映画と名画をたくさん見ろと言われたし、よい文章を書く人の多くは子どもの頃から名著を読んできた人である(何事も例外はある)。自分はプロの作り手になるつもりはないという人も、教養は人生を豊かにしてくれる。興味ないならいいけど。


                




2020年9月発売の新刊です。
どうぞよろしくお願い致します♡


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