続けるということと、形にするということ。

181230_FVQH2995.jpg今年は本当にいろいろとあった年で、かなりショックで落ち込んだり、精神的に追い詰められたりしたこともあったのだけど、そういうことは振り返っても仕方がないので、いいことだけ記しておく。

今年は私にしては珍しく、たくさんの展示をしたんだけど(画像)、割と悔いの無いものを出すことが出来た一年だった。その中でも感慨深いのは、6年ぶりに絵本の展示に出したこと。(右上)

東京にいた頃には、絵本の仲間と活動していて、自主グループで児童書の出版社の編集長や絵本作家さんを招いてワークショップを行ったり、講座に参加したり、本当に絵本漬けだった。
絵本の世界は厳しく、みんな10年15年と勉強して、やっと結果が出せるとかそんな感じ。とにかくたくさんの絵本を読んで、みんなで様々な解釈を考えたり、ゲームみたいに発想法を試してみたり、毎週のようにどこかで仲間と会って、話して飲んで、という感じだった。

名古屋に来てから、自分一人で続けて行くことの限界を感じて、2012年を最後に展示にも出さなくなっていたのだけど、今年ふと思い立って出したところ、予想以上にみんなに歓迎してもらえて、ホントうれしかった。特に代表のT氏とは、深夜の歌舞伎町で二人で3時間くらい話し込み、「ひよ子が参加してくれると、みんなのポテンシャルも上がるからありがたい」とまで言ってもらえて、こちらこそありがたかった。私が離れていた6年の間も、みんながこうして活動を続けていてくれたお陰で、帰ることが出来る場所があるというのは、本当に感謝の想いしかない。

ありがたいことに、今回編集さんにもお褒めのお言葉をいただき、それを励みに、今後形にして行けたらと思う。まずは一冊、キチンと形にすることがまずは一歩だから。

画像:左上から下へ「いろはCarta展(1月:Gallery DAZZLE)」「アイドルポスター展(4月・Laundry graphics gallery)」「赤と黒の陽菜まつり(3月・MITTS COFFEE STAND)」
右上から下へ「第25回え〜ほん絵本原画展(6月・新宿スペースゼロ)」「実践装画塾NAGOYA展(3月:Gallery DAZZLE)」「私のお気に入り展(11〜12月・Laundry graphics gallery)」


                  


本を出したいと言う人、イラストの仕事をしたいと言う人の中には、どうもこの仕事がどういうものか、よく分かってない人も多い。この仕事は、自分の好きなように絵や文章を書けばいいというものではない。

簡単に言えば、「イラストの仕事」は、「クライアントのアタマの中のイメージを具体化」するのが仕事だし、「商業出版で本を出す」というのは、「世の中に求められている内容を一冊の本に落とし込むこと」であって、自己表現だけで完結する世界ではない。

当然、修整が入るのは当たり前だし、まず第一に、最終的にイラストレーションとして誌面などに載せるに値するレベルに達しているのか、一冊の本を書き上げられる力量があるのか、そこは当たり前だけど、最初に確認される。

だから、イラストの仕事をしたいと言いつつ、絵を全然描いてなくて、Websiteも紙のポートフォリオも作ってないような人に、仕事の依頼なんか来るはずがない。それと同じく、構想だけで、一冊書き上げたこともないような人の本を出版しましょうという話になるわけがない。

逆の立場で考えてみればわかると思う。
あなたが会社の人事などで、即戦力の社員を雇いたい場合、以下の三人のうちで、一番採りたい人と、絶対採用したくない人と挙げろと言われたら、誰を選ぶか?

1.すでにその仕事の経験が豊富にあり、実績も上げている人
2.その仕事の経験はないが、勉強していたり、独学で作った作品などを提出した人
3.仕事や勉強の経験もなく、作品の提出もなく、ただ「できると思います」という根拠のない自信だけがある人

当然、一番いいのは1で、言語道断なのは3でしょう。
で、ポートフォリオも原稿も無いのに「絵の仕事がしたい」「本を出したい」と言ってる人は、まさに3だってことに、なぜ自分がその立場になるとわからないんだろう。

それと、イラストにしろ本の出版にしろ、スケジュールが決まったら、逃げることは許されない。だから、出版社が一番恐れているのは、依頼をバックレて逃げられること。一度引き受けたら、何が何でも仕上げるのが当然、そうでなければ、そこに穴が開いてしまうからだ。

だからクライアントがまず知りたいのは、絶対にキチンと納品してくれる人か、絶対に一冊ある程度のクオリティで書き上げられるか、という点なのだ。締め切りを必ず守るということも、フリーランスには非常に大切なことであるのは言うまでもない。

それから、修整が入ったり、自分の描いたものに手を入れられることに、過剰な反応を示す人もいるけれど、そういう人は本当に大きな勘違いをしている。私たちの仕事は、ただの自己表現ではないのだ。

私たちの作品は、自分のものであると同時に、依頼をくださった方の「商品」でもある。その商品は、クライアントのイメージ通りのものでなくてはいけないし、ユーザー目線でよりよいものでなくてはいけない。私たちの仕事は、自己表現しつつ、そのイメージにより近づけること。ただ自分の自己満足な作品を作るより、ずっと難しく厳しいことを求められるのだ。

けれど、それをすべてクリアし、ピタリと収まるべきところに収まった時に、得られる喜びを思うと、そんな苦労などどうってことないくらい、喜びも大きな仕事なのである。

#仕事の流儀 #イラストレーターの仕事 #出版1 #出版2


                  


2018.12.29 Saturday これについてはまた後ほど。
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12/17(月)〜21(金)函館から荷物が届き、シアワセな食卓♡
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2015年10月発売の実話エッセイ。アトピーって痒いだけの病気じゃないんです。

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◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■

◆東京◆
クマのプーさん展
2019年2月9日(土)〜4月14日(日) Bunkamura ザ・ミュージアム
2019年4月27日(土)〜6月30日(日)あべのハルカス美術館
https://wp2019.jp/

◆名古屋◆
日本・スウェーデン外交樹立150周年記念
長くつ下のピッピの世界展 〜リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち〜
2019年4月27日(土)〜6月16日(日)松坂屋美術館

クリムト展 ウィーンと日本1900
2019年7月23日(火)〜10月14日(月・祝)豊田市美術館
https://klimt2019.jp/

ムーミン展
2019年12月7日〜2020年1月末 松坂屋美術館

サラ・ベルナールの世界展
2018年11月23日(金・祝)〜2019年3月3日(日)堺 アルフォンス・ミュシャ館
2020年1月頃まで、全国巡回予定。
https://www.sunm.co.jp/sarah/

◆大阪◆
荒木飛呂彦原画展 JOJO ―冒険の波紋―
2018年11月25日(日)〜2019年1月14日(月)大阪文化館・天保山(海遊館となり)
http://jojoex-2018.com/

MOE40th Anniversary 島田ゆか・酒井駒子・ヒグチユウコ・ヨシタケシンスケ・なかやみわ5人展
2018年12月19日(水)〜2019年1月7日(月)[予定]阪急うめだ本店 
http://www.hankyu-dept.co.jp/honten/h/gallery_moe/

不思議の国のアリス展
2019年3月16日(土)〜5月26日(日)兵庫県立美術館
http://www.alice2019-20.jp/
名古屋は6番目に巡回予定。


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