無事原稿の本文が終了し、ガリガリイラストに取りかかっている。
初稿用に自分で組んで提出した原稿を改めて見ると、点数以上に自分で考えたイラストのめんどくささにため息が出る。
自分がイラストレーターとして頼まれたら断るかも、というようなイラストをわざわざ自分に課すってドM過ぎないか?
本文イラストと同時にカバーや目次や章扉などのイラストも進めている。
デザイナーさんが「これがいい」とおっしゃったイラストや、先日別件でコンペで通ったイラストを見ていると
「いい」といわれるイラストの法則性が見えてくる。
でも見えたからといって描けるというものでもない。見えれば見えるほど、描けなくなるという方が正しい。
もはや自分の力ではどうにもならない域で良さって決まるんじゃないかとさえ思う。
2020.08.04 Tuesday
iCloudのメールが、容量がいっぱいになると脅してくるので、昔のメールを消している。
2014年のメールをザックリ見ながら、後ろに引用されてるメールを確認しながらサクサク消していたら
戸田恵子さんの本のイラストを描いた時のメールが出てきた。
このときもとにかく忙しかったのだけど、一日に5回くらいメールのやり取りしていて、すさまじい感じ。
この仕事はぴあの編集さんと名古屋の編プロさんと3人でやり取りしていて、3人×5回。なんかすごいことになっていた。
回数だけじゃなくて、やり取りがとにかく若いのだ。
考えてみれば2014年は私もまだ40代半ばだったけど、編集さんは二人とも30代。
比べて今の仕事、ナゴヤ本の担当編集さんもコンペで通った仕事のデザイナーさんも恐らく50代Over。
50代の仕事は、一日一通のやり取りでのんびり進んで行くのだね。
2020.08.04 Tuesday
ナゴヤ本について、取材取材と書いているけれど、取材は全体の1/3強くらい。
で、残りは持論や調べたことをもとにいろいろ好き勝手に書いている。
編集さん曰く、私の文章には直すところがないそうで、誤字脱字くらいしか修正は入れていないそうだ。
(それって普通なの?比べようがないからよくわかんないけど、イラストは結構赤がはいるよw)
つまり、自分の書いたものがそのまま世に出るわけで、人によっては「やったぜ!」という感じなのだろうけど
私のような「ビビり」で「ヘタレ」は、自分の書いたものが野放しにされて大丈夫なのか、不安しかない。
その最後の砦となるのが「校正者」の「校閲」。
今回は外部の校正さんに頼むのだけど、この本はカルチャーから歴史まで内容が多岐にわたる上
なにより「名古屋」を知らないと充分に校閲ができないので、頭を抱えているという。
(現状この原稿は私以外に、宮田(函館出身)と編集さん(札幌出身)の二人の道産子しか読んでいないのだ。驚愕!w)
どなたかいい校正者を知りませんか?と聞かれたけど、そもそも出版文化のほとんどない名古屋にいないよね
フリーの校正者なんて。
(前に別の人から装丁家を知らないかとも聞かれたけど、まぁいないよね。広告はあるから
グラフィックデザイナーは知り合いにもけっこういるけど、ブックデザイナーは東京にしか知った人はいない。)
そしたら、担当編集さんが、名古屋出身の元編集者さんの存在を思い出し、その方に了承いただけたという。
よかったー。
そうはいっても、細かいところまで突っ込まれて「ひーん」って泣きながら修正することになったりして。
まぁ、大事なことは読者に面白く、有益で、正しい情報を届けること!
そのためにまだまだ頑張るのだ。。。
2020.08.05 Wednesday
いよいよイラストに取り掛かってまだ数日。今週末には初校が出てゲラが送られてくる。
イラストはまだ半分も入っていないけど、MAX8/20頃までだそうなので、全然間に合うと私は思っている。
もちろんすごく大変だし、当然缶詰で、遊びになんてまったく行けない。
普段イラストの仕事をしていない人には難しいスケジュールかもしれない。
でも今までもっとタイトで無茶ぶりな仕事もこなしてきた。
今回は著者として自分である程度コントロール(不自然でない範囲でイラストを使いまわすなど)できるのだから
それほど不安はない。
編集さんは間に合わないと心配しているようで、間に合うかどうかはお盆過ぎまで見極められないと思っているようだ。
私からすれば、間に合う合わないではなくて、間に合わせるのが当然なんだけどね、プロなんだから。
それはたぶん、今まで間に合うと言っておいて間に合わなかった著者が実際に多く、振り回されてきた結果なんだろう。
ほとんどの著者は職業作家ではない。経営者や研究者が本業の片手間に書くパターンが多い。
彼らの中にはたとえ原稿が間に合わなくて、ギリギリになって発売日が変更になって出版社に迷惑かけたって
知ったこっちゃないという人もいるんだろうなー。
でも、私のようなもともとイラストレーターをしているような人間にとって出版社はクライアントであり
迷惑をかけたら仕事上差し触りがあるわけで。
とにかく、間に合わせるのは当然、と思って仕事をするのがプロであり、一度引き受けたら
どんなにタイトなスケジュールでも体調が悪くとも一定レベルには仕上げるという覚悟がそこには一番求められる。
絵の上手い下手は実はあまり関係ないのかもしれないとも思う。(だから私でもやれてるんだよねw)
2020.08.06 Thursday
震災の時もこの国ってこんな国だったっけ?と足もとがガラガラと崩れるような恐ろしい想いにとらわれたけれど
今はもっと暗澹たる想いに襲われる。
もう少しましな、少なくとも民主的な国なんだと思っていた。
かの国みたいに賄賂と利権だけで動く国ではないと信じていた。
でもそうじゃない。何ら変わらないように思う。
先日訪れたある施設は、目の前にパチンコ屋が建つことが決まり、少し前に宮田が撮影に行ったある遺構も
ギリギリの真隣にマンション工事の最中だったそうだ。
今回本には載せ損ねたある施設は、その施設の謎をめぐる重要なカギが、上にマンションが建ってしまったために
永遠の謎となってしまったという。
こういうの、何でこの国では普通なんだろう。
たとえば何で日本橋の上に高速道路が通るのを誰も止められなかったんだろう。
外国の昔ながらの美しい街並みが守られた映像を見るたびに、この国の無計画な、便利さしか取り柄のない
街並みを思って悲しくなる。きっと誰かが儲かっているから、なんだろうな。
守るべき文化財は守られず、どうでもいい箱を作るのに無駄遣い、マスクをさばくのに莫大な税金が使われる。
誰かの儲けのために。
2020.08.06 Thursday
イラストを描くときは該当箇所を測って同じ縦横比で描く(小さなイラストだと等倍では描きづらいので
1.5〜2倍くらいで描く)ので、意外と仕事に定規が欠かせない。
いつもは夕方測ろうとするとミリ単位が怪しくなる。今日は朝から目盛り全体が怪しく
体中が休めと言っているような気がする。
しかし、明日朝までに到着した分が初校に反映されるというので、とりあえずできるところまではやりたい。
緊張しながら似顔絵をザザザッと4人分仕上げた。まぁまぁ似てる?かな。
雰囲気は出てると思うので良しとしよう。
定規は見えなくても絵は見えるから大丈夫(ホントか?)
◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■
◆名古屋◆
原田治展 「かわいい」の発見 Osamu Harada : Finding "KAWAII"
2020年7月4日(土)〜8月30日(日)10:00〜19:00 (入館は18:30まで)清須市はるひ美術館
http://www.museum-kiyosu.jp/exhibition_info/2020/haradaosamu/
1970年代後半から90年代にかけて、女子中高生を中心に爆発的な人気を博した「OSAMU GOODS(オサムグッズ)」の生みの親、原田治(1946-2016)。50-60年代のアメリカのコミックやTVアニメ、ポップアートなどから影響を受けたイラストレーション――とりわけ、簡潔な描線と爽やかな色彩で描かれたキャラクターたちは、その後の日本の“かわいい”文化に多大な影響を与えました。
没後初の全国巡回展となる本展では、イラストレーターとして活動する端緒となった、1970年代「an・an」の仕事をはじめとして、広告・出版・各種グッズなど他分野にわたる作品を中心に、幼少期から20代前半の初期資料や、エッセイ集『ぼくの美術帖』関連資料も交えて展示し、時代を越えて愛される、原田治の全貌に迫ります。