黒デ・ニーロと白デ・ニーロを見る「ジョーカー」と「マイ・インターン」

joker.jpg「ジョーカー」
すごい映画だった。
今年はいい映画をたくさん見た年だった。中でもノーラン監督のバットマンシリーズには感銘を受け、その流れで見たのがこの「JOKER」。しかし、最後の最後にガツンと来た。間違いなく、今年見た中でベストだと思う。

こんな壮絶な人生ってあるだろうか。こんなに報われない、哀しい人生。「ダークナイト」でバットマン側から見ていただけではわからない世界がある。もちろんこれはスピンオフ作品であり、バットマンの世界観におけるJOKERがこのままこうだとは言えないけれど、バットマンの両親を殺した犯人がすべて悪というわけではない。トーマス・ウェインが貧困者の味方で、その想いが報われないまま殺された悲劇の人そいう側面もあるけれど、彼には見えていない部分だってあるのだ。

そして何の予備知識もなく観た映画だったので、マレー・フランクリンを見た時に「随分デ・ニーロに似てるね」と言っていたらまさしくその人だった。(彼は演技派過ぎて約ごとにガラッと別人になってしまうため、一瞬本物かどうか迷ってしまうのだ → 私たちだけ?(笑))

10月に見た「マイ・インターン」のデ・ニーロが「白デ・ニーロ」なら、このデ・ニーロは「黒」だなぁ。11月に見た「アイリッシュマン」のデ・ニーロは私的には黒ではなくグレイ。だって、傲慢で悲哀のかけらも感じないのがこの「JOKER」のデ・ニーロだから。

余談だけど、今年はトム・クルーズの映画をよく見た年だったけれど(そして、どれも面白かった)、最後に立て続けにデ・ニーロを見て、改めてその怪優ぶりを感じた。トムにしろデ・ニーロにしろ、長年ハリウッドで活躍できる俳優はやっぱりすごい。(そして実はこの日記を書いているのは年明けで、年明け早々、ミッションインポッシブルシリーズを立て続けに見て、トム三昧だった(笑)このシリーズも何度見ても面白いよね)。

もちろん、ホアキン・フェニックスの素晴らしさは言うまでもない。彼以外にこの役は演じきれなかっただろう。いやもう、スコセッシ監督はアイリッシュマン撮っててよかった。彼がこの映画をディカブリオで撮ってたら、こんな名作にはならなかっただろうな。。。
ストーリー
舞台は1981年、財政難で清掃業者のストライキによって人心の荒むゴッサムシティ。コメディアンを夢見る大道芸人のアーサー・フレックは、不良少年たちからも馬鹿にされて暴行を受けるほど貧困層でも無力な存在。過去には精神病院で隔離された経験を持ち、現在は福祉センターでカウンセリングを受けていた。7種類の精神安定剤を併用するほどの重度で、常に持ち歩いているネタ帳となった日記には、猥褻な写真や乱雑なメモの中に「この人生以上に硬貨(高価)な死を望む」と書き込んでいた。

共に同居する母親ペニーはアーサーを"ハッピー"とあだ名で呼び、以前に家政婦として働いていたウェイン家の主トーマス・ウェインからの返信を日々待っていた。また、アーサーにとって唯一の楽しみは母親と一緒に観るマレー・フランクリン・ショーで、いつか司会者マレー・フランクリン自身から後継者として指名されることを妄想をしている。だが実社会では周囲に溶け込めず、また発作的に笑い出すという病気を患っているために、仕事でも報われない人生を送っていた。
製作
脚本は『タクシードライバー』や『キング・オブ・コメディ』などマーティン・スコセッシの作品群に影響を受けて書かれ、80年代初頭のゴッサムシティを舞台とした作品となった。両作に主演したロバート・デ・ニーロが本作に出演している。

当初はスコセッシ監督がメガホンを取り、ジョーカー役に盟友のレオナルド・ディカプリオが配役される話もあったが、監督に就任したトッド・フィリップスは同役にはホアキン・フェニックス以外考えられないとし、起用されるに至った。
ジョーカー Joker
監督        トッド・フィリップス
脚本        トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー
原作        ボブ・ケイン(キャラクター創作)
          ビル・フィンガー(キャラクター創作)
          ジェリー・ロビンソン(キャラクター創作)
製作        トッド・フィリップス、ブラッドリー・クーパー、エマ・ティリンガー・コスコフ
製作総指揮     マイケル・E・ウスラン、ウォルター・ハマダ、アーロン・L・ギルバート
ジョセフ・ガーナー、リチャード・バラッタ、ブルース・バーマン
出演者       ◎アーサー・フレック / ジョーカー 演 - ホアキン・フェニックス(平田広明)
           精神的な問題や貧困に苦しみながらも、スタンダップコメディアンを目指している
           道化師。認知症気味の母の面倒を見る心優しい男だったが、自身の辛い境遇から
           精神のバランスを崩し、次第に常軌を逸した行動を取っていく。感情が高ぶると、
           自分の意思に関係なく突然笑いだしてしまう病気を患っており、また妄想と
           現実の区別もつかなくなってきている。
          ◎マレー・フランクリン 演 - ロバート・デ・ニーロ(野島昭生)
           人気トーク番組「マレー・フランクリン・ショー」の司会者。アーサーが憧れている。
          ◎ソフィー・デュモンド 演 - ザジー・ビーツ(種市桃子)
           アーサーと同じアパートに住むシングルマザーの女性。
          ◎ペニー・フレック 演 - フランセス・コンロイ(滝沢ロコ)
           アーサーの母親。認知症気味で体が不自由。若い頃はゴッサム随一の大富豪の
           ウェイン家にメイドとして仕えていた。
          ◎トーマス・ウェイン 演 - ブレット・カレン(菅生隆之)
           ゴッサムシティの名士。政界に進出し市議会議員となるが、医療制度の解体を
           推し進めたことで困窮する貧困層からバッシングを受けている。
          ◎ギャリティ刑事 演 - ビル・キャンプ(高岡瓶々)・・・ゴッサム市警の刑事。
          ◎バーク刑事 演 - シェー・ウィガム(山岸治雄)・・・ゴッサム市警の刑事。
          ◎ランドル 演 - グレン・フレシュラー(ボルケーノ太田)
           アーサーの同僚の道化師。彼がアーサーに拳銃を渡したことがすべての発端。
          ◎ゲイリー 演 - リー・ギル(越後屋コースケ)
           アーサーの同僚の道化師。小人症で他の同僚に身長をネタにからかわれる。
           原作ではジョーカーのずっと昔の相棒ギャギーというヴィランが元となっている。
          ◎ジーン・アフランド 演 - マーク・マロン(唐沢龍之介)
           「マレー・フランクリン・ショー」のプロデューサー。
          ◎アルフレッド・ペニーワース 演 - ダグラス・ホッジ(田中美央)
           トーマス・ウェインの執事。
          ◎ブルース・ウェイン 演 - ダンテ・ペレイラ=オルソン          
           トーマス・ウェインの息子。この映画の原典である『バットマン』における主人公。
           両親を目の前で失った悲しみから、成長後、蝙蝠のコスチュームを纏って
           犯罪者に立ち向かうクライムファイターとなり、ジョーカーと対決する。
音楽        ヒドゥル・グドナドッティル
撮影        ローレンス・シャー
編集        ジェフ・グロス
製作会社      ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
配給        アメリカ合衆国・日本 ワーナー・ブラザース
公開        アメリカ合衆国・日本 2019年10月4日
上映時間      122分
製作国       アメリカ合衆国
言語        英語
製作費       $55,000,000
興行収入      世界 $993,835,635
                  


my_intern_deniro.jpg「マイ・インターン」
さて、10月に見た別人のようなデ・ニーロ。もう良い人感満載で、誰からも嫌われない。この映画自体、誰も傷つけない、絵に描いたような「良い映画」。映画がみんな「アイリッシュマン」や「ジョーカー」みたいなハードで陰鬱なものばかりになったら、さぞかし殺伐としてしまうだろう。こういう映画ももちろん必要なのだ。

でもやっぱり、アン・ハサウェイは「ダークナイト・ライジング」のほうが魅力的だったと思うし、デ・ニーロはギャング映画が似合う。

映画を観る楽しみにはふたつあり、ひとつは自分とは違う世界を見たり味あうことができること、もうひとつは自分の現実と重ね合わせて、何かしらの解決方法を得たりカタルシスを得ること。この映画はどちらかというと後者で、それぞれが登場人物に自分を重ねてみるのだろう。私はまた仕事頑張ろう、と元気を貰った。

関係ないけど、アンのいびきのシーンはなかなか衝撃的だった(笑)。いびきすら聞かれてもいいという関係を描きたかったのかなぁ。ふたりで同じ部屋で寝るシーン、なんかおじいちゃん扱いされてるデ・ニーロ、どうよって思うけど(笑)
ストーリー
ニューヨークでファッション通販サイトを運営している女社長のジュールズは、短期間で会社を拡大させることに成功し公私ともに順調な毎日を送っていた。そんな彼女の会社にシニア・インターン制度で採用された70歳の老人ベンがやってくる。若者ばかりの社内で当然浮いた存在になってしまうベンだったが、いつしか彼はその誠実で穏やかな人柄によって社内の人気者になっていくのだった。

一方その頃、ジュールズには公私ともに大きな問題が立ちはだかっていた。双方において大きな決断を迫られた彼女は、誰にも自身の気持ちを打ち明けることができず苦しい日々を送っていたが、そんな彼女を救ったのは他でもないベンだった。ベンの温かな励ましを受けていくうちに、いつしかジュールズも彼に心を開くようになっていく。ベンの言葉から勇気をもらったジュールズは、目の前に立ちはだかる数々の難問に立ち向かっていく決意をする。
興行収入
本作は2015年9月25日に全米3305館で公開され、公開初週末に1772万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場2位となった。

評価
本作に対する批評家の評価は肯定派優勢の賛否両論となっている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには151件のレビューがあり、批評家支持率は60%、平均点は10点満点で5.7点となっている。サイト側による批評家の意見の要約は「『マイ・インターン』は上司が女性で部下が男性という時流に即したテーマを十分に掘り下げることができていない。しかし、ハサウェイとデ・ニーロという意表を突く組み合わせがいい雰囲気を作り出している。」となっている。
マイ・インターン The Intern
監督      ナンシー・マイヤーズ
脚本      ナンシー・マイヤーズ
製作      ナンシー・マイヤーズ、スザンヌ・ファーウェル
製作総指揮   セリア・コスタス
出演者     ベン・ウィテカー - ロバート・デ・ニーロ(野島昭生)
        ジュールズ・オースティン - アン・ハサウェイ(園崎未恵)
        フィオナ - レネ・ルッソ(幸田直子)
        マット - アンダーズ・ホーム(川島得愛)
        ペイジ - ジョジョ・クシュナー(佐野仁香)
        キャメロン - アンドリュー・ラネルズ(真殿光昭)
        ジェイソン - アダム・ディヴァイン(新田英人)
        デイビス - ザック・パールマン(英語版)(臼木健士朗)
        ルイス - ジェイソン・オーリー
        ベッキー - クリスティーナ・シェラー(槙乃萌美)
音楽      セオドア・シャピロ
撮影      スティーヴン・ゴールドブラット
編集      ロバート・レイトン
製作会社    ラットパック=デューン・エンターテインメント、ウェイバリー・フィルムズ
配給      ワーナー・ブラザース
公開      ベルギー 2015年9月15日(プレミア上映)
        アメリカ合衆国 2015年9月25日
        日本 2015年10月10日
上映時間    121分
製作国     アメリカ合衆国
言語      英語
製作費     $35,000,000[2]
興行収入    世界 $191,226,709
        アメリカ合衆国・カナダ $74,626,709
        日本 17億5000万円

                  


食べたものの記録:11/1(金)〜11/6(水)
寒くなってきて、ポトフっぽい物も作るように。カボチャのグラタンでサンドがうんまい。
しかし、ホットサンドに飽きたわけじゃないけど、手軽なパスタでお茶を濁すこともしばしば。
簡単でいい、家で食べること、が、モットー。
ライティングの仕事でマヌカハニーのことを知り、本物のはちみつは手が出せないので
アメちゃんでこれまたお茶を濁す。
最後のパンは刈谷だね。せなけいこ展だね。もうそんなに経つのかぁ。
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◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■

◆東京◆
ミナ ペルホネン/皆川明 つづく
2019年11月16日(土)〜2020年02月16日(日)東京都現代美術館

◆名古屋◆
ムーミン展
2019年12月7日〜2020年1月末 松坂屋美術館

サラ・ベルナールの世界展
2018年11月23日(金・祝)〜2019年3月3日(日)堺 アルフォンス・ミュシャ館
2020年1月頃まで、全国巡回予定。
https://www.sunm.co.jp/sarah/

木梨憲武展 Timing‐瞬間の光り‐
2019年9月13日(金)〜10月20日(日)松坂屋美術館

不思議の国のアリス展
2020年4月18日(土)−6月14日(日)名古屋市内の美術館(未定)
http://www.alice2019-20.jp/

◆大阪◆
萩尾望都 ポーの一族展
2019年12月4日(水)〜12月16日(月) 阪急うめだ本店
https://www.asahi.com/event/poeten/




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