映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」

2019.05.02 Thursday
立て続けに「タイム・ループ物」と呼ばれる映画を見ております。

今回の映画は、日本のラノベが原作だという「オール・ユー・ニード・イズ・キル」。
昨日観た映画と同じく、時間を行き来するには違いないのだけど、今回はよりゲーム的な要素が加わる。

昨日の「ミッション: 8ミニッツ」は8分の間に、爆弾を探して時限装置を無効にし、犯人を推理して捕まえるという
どちらかというと推理戦、頭脳戦だったけど、今回のはRPGとかアクションゲームみたいな感じで
敵キャラを倒してダンジョンを抜けた先にボスキャラがいて、それを倒すと終了!

RPGの世界の、敵に殺されても、セーブしていた時点まで戻ることが出来るという概念は、まさにタイムループ。
舞台はエイリアンに侵略されそうになっている地球で、世界は統合防衛軍として、一丸となって宇宙人と戦争中。
原作はラノベですが、ゲームが原作と言われてもおかしくないような世界観です。


                  


◎タイムループの始まり

昨日の「ミッション」が8分間のミッションを繰り返すのに対して、コチラは約2日間。
それだけでも繰り返すのにうんざりしそうですが、その上、「ミッション」は、数回多くて10回程度のループだったと
思われますが、こちらは恐ろしい回数繰り返されていそう。

何と言っても、最初に登場するトムと言ったら、私たちの知る「MIP」のトムじゃない!のです。
実戦が嫌だから、軍の広報担当になったといけしゃあしゃあという、口だけが立つ腰抜け。

ある日、そのトムとは思えない(笑)主人公(ウィリアム・ケイジ少佐)は、作戦を指示するブリガム将軍より
最前線の取材を一任されます。前線に行くのがどうしても嫌な主人公は、アレコレ言い訳を述べたり、
最後には将軍を脅迫しようとまでしたため、将軍の不興を買って、逮捕されてしまいます。

目覚めるとすでに最前線で、ケイジは二等兵へ大幅に降格されて、取材ではなく、歩兵として送られたことを知ります。
しかも、同じ部隊の仲間はあまりお品がよろしくなく、安全装置の解除の仕方すら教えてもらえないまま戦地へ。

そして、何かがおかしいことに気づくケイジ。
将軍からは、敵であるエイリアン「ギタイ(Mimics)」を不意打ちにして殲滅する作戦と聞かされていたはずが、
相手から先制攻撃を受け、味方は壊滅状態に。しかも、へたれなケイジはただ逃げ惑うだけ。

襲ってくるギタイが何とも気持ち悪い〜〜〜。
ケイジの目の前で、「ヴェルダンの女神」と呼ばれる英雄リタ・ヴラタスキ(すごい美女!)が目の前で死亡。
ケイジは大型の青く光るギタイと戦って、最後ギタイの返り血を浴びて意識が遠のきます。
目覚めると、昨日目覚めたのと同じ場所。何が起きたのかわからないケイジは周りに説明しますが、当然信用されず。



◎リタとの出会い

何度か同じことを繰り返し、仲間や美女を助けようとして自分が死んだりするうちに、少しずつ戦場に慣れるケイジ。
敵の攻撃パターンを覚えて戦い、リタを助けると、彼女から「次に目覚めたら会いに来て」と言われます。

言われた通り、目覚めた後、訓練中に抜けだしてリタを訪ねると、当然彼女は彼を知らず(二人が出会うのは翌日)
しかし説明すると、ギタイの恐るべき生態について聞かされます。

彼女もケイジと同じように、ギタイの返り血を浴びた時からタイムループ能力が身についたと言います。
ギタイは他の星に侵略するのに最も適した進化を遂げた生命体で、時間を制御するタイムループ能力を持ち
何度か戦闘を繰り返してこちらの戦闘パターンを学んで、必ず最後には勝ち続けてきたのです。

未来の情報を過去に伝達する能力を持つのが「アルファ・ギタイ」と呼ばれる青い個体で、その返り血を浴びると
能力が伝達するのではないかと言うのが仮定。そして、世界のどこかに入る親分で、タイムループ能力を持つ
「オメガ・ギタイ」を倒さないと、このループを終わらせることはできないのです。

怪我をしたらすぐに死ぬこと。助けられて輸血されると、能力は消えてしまうので注意するようにと告げられます。
(つまりリタにはすでにその能力は無く、だから彼女は、翌日の戦いで死亡する運命です)

話を聞いたものの、まだ覚悟の出来ていないヘタレなケイジ。しかし彼に運命は託されたのです。
元々バリバリの軍人だった彼女と違って彼はあまりに弱く、そこから特訓が始まります。メキメキ強くなって行くケイジ。
死なない能力を生かして、何度もループを繰り返し、毎回リタと協力者のカーター博士に説明して、過酷な特訓を受けて
ひゃーーーー。想像するだけでしんどいですわね。

そのうちあのヘタレだった面影は消えて行きます。戦場でも部隊の仲間から「あいつ本当に戦闘初めてかよ?」と
驚かれるように。そりゃめちゃくちゃ強いんだもん。
こんなことしてたら、人格まで変わりますわね、そりゃあ。



◎越えられない壁

そのうちケイジの夢に、オメガのいる場所のイメージが浮かんでくるようになります。
リタと博士と共に、そこがドイツのダムのある場所だと突き止めて、何度も死んでは攻略法を毎日新たに考えて、
やっと戦闘から抜け出し、ある民家までたどり着きます。

けれどそこで何度繰り返しても、リタはそこで死ぬ運命だということを悟ります。
リタにとっては、たっだ二日間過ごすだけの相手ですが、ケイジは繰り返し繰り返しリタと過ごす中で彼女に
強く惹かれていました。そこには超えられない壁がありました。

ケイジはある朝リタに声をかけず、ひとりでダムへ向かいます。この時点ではすっかりたくましくなり
途中バッテリーが切れることも見越して、整備担当者に有無を言わさず予備のバッテリーを用意させたり
すっかり強面の兵士へと成長しているケイジ。やっぱりトムはこうでなくちゃ!

けれどドイツのダムのイメージは、ケイジからループ能力を奪うための罠で、オメガはそこにはいなかったのです。

残された手は、カーター博士が作りかけだった「オメガの居場所を逆探知するための機械」だけです。
それは、ケイジをここへ送り込んだブリガム将軍が持っていると言います。ケイジとリタは将軍の元へ潜りこむと、
何度も失敗した末に交渉に成功し、博士の機械を手に入れます。



◎最終決戦

ケイジは博士の機械を使って、オメガの場所がルーブル美術館の地下であると突き止めます。
しかし、将軍の追手からの攻撃で深手を負ったケイジは輸血を受けてしまいます。能力は消えてしまいました。
もう生き返ることはできず、残りはラストチャンスになってしまったのです。

リタと二人ではとても勝ち目がないと、二人はケイジの部隊の仲間を何とか味方につけてルーブルへ向かいます。
部隊の味方を次々と失い、リタも「あなたをもっと知りたかった」と言葉を残して亡くなります。

ケイジは一人、どうにかオメガのもとへ。それを追ってきたアルファ。アルファから攻撃を受けつつも、ケイジも
アルファに斬りかかります。オメガにダイナマイトを落とし、爆発した瞬間、トムはアルファの返り血を浴びて死亡。

目覚めると、ブリガム将軍に会って前線へ行くよう命令される前の朝に戻っていました。
返り血を浴びために、タイムループ能力が作動したのです。
未来の時間にオメガが失われたため、人類はギタイに勝利していました。

大佐の地位のまま、前線の視察をするケイジ。何度も繰り返したように、部隊の仲間たちは訓練を受けています。
そしてケイジはリタが特訓している場所へと向かいます。

初対面の彼女は「いつものように」、彼の方を振り返って、怪訝そうに「何か用?」と尋ねます。

彼は彼女と再会できたうれしさで、思わず笑ってしまいます。


(完)


しかし、彼はすでに彼女をよく知っていて、彼女のことが好きだけど、彼女は彼のことを何も知らない。
それが昨日の映画との大きな違い。
戦場での過酷な中でなら愛は芽ばえるかもしれないけど、それもない中で、本当に恋は芽ばえるかしら?

それと原作、日本でこの話って違和感あり過ぎだよね。どんな話だったか逆に気になる。
イギリスとフランスが舞台で、まったく無理がないというか、ピッタリでした。





                  


そんなわけで、タイムループもの、なかなか爽快感があってよいです。
「TIME」も含めれば、時間をテーマにした作品が続いてるなぁ。
タイムループとは違うのかもしれないけど、時間軸の映画で記憶に残る作品と言えば「バタフライ・エフェクト」
あれは名作。

この映画は「ディストピア映画」でもあるそうだけど、そうかなぁ?エイリアンとの戦争なんて、
確かに嫌な未来ではあるけど、そんなこと言ったらSFなんて、大抵ディストピアものになってしまうよなぁ。
前述の「TIME」はまさしくディストピアだと思うけど。

「ディストピア」と言って最初に浮かぶのは「ソイレントグリーン」(1973年・米)。
どんな映画かって言うと、原作小説のタイトルが「人間がいっぱい」(ハリイ・ハリスン)だって言えば、
ちょっとは想像つくかしら?

もう本当に恐ろしい世界なんだけど、作品世界が何と2022年。今からたった3年後だなんて。
ありえないけど恐ろしい。。。

他に見たディストピア映画と言えば、最近見た「マイノリティ・リポート」は好き(アガサがいい!)。
あと「インターステラー」もそうだけど、ノーラン監督の中ではあまり好きな映画ではない。
SF映画の金字塔「ブレードランナー」や傑作「トータルリコール」もそうなんだよね。あの奇妙な世界観がいいよね。

シュワちゃんと言えば、「ターミ―ネーター」も時間を扱った作品では傑作だし、これと
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」抜きではタイムトラベルモノの映画は語れませんね。


監督:ダグ・リーマン
脚本:ダンテ・W・ハーパー、ジョビー・ハロルド、クリストファー・マッカリー、ティム・クリング、ジェズ・バターワース、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー
原作:桜坂洋『All You Need Is Kill』
製作:ジェイソン・ホッフス、グレゴリー・ジェイコブズ、トム・ラサリー、ジェフリー・シルヴァー、アーウィン・ストフ
製作総指揮:ジョビー・ハロルド
出演者:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン
音楽:ラミン・ジャヴァディ
撮影:ディオン・ビーブ
編集:ジェームズ・ハーバート
製作会社:ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ、スペース・トラベル、K/Oペーパー・プロダクツ
配給:ワーナー・ブラザース
公開:アメリカ合衆国・2014年6月6日、日本・2014年7月4日
上映時間:113分
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語
製作費:$178,000,000
興行収入:世界・$370,541,256、アメリカ合衆国/カナダ・$100,206,256、日本・15.9億円
                  


4/22(火)〜4/24(木)
サツマイモを美味しく食べるには、やっぱ味噌汁か炊き込みご飯かなぁ、ということで
ここから炊き込みご飯ブームが始まるのであった。
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2015年10月発売の実話エッセイ。アトピーって痒いだけの病気じゃないんです。

アトピーの夫と暮らしています



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◇見に行きたい展覧会メモ◇ →展覧会記録■

◆東京◆
ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR
2019年3月15日 (金) - 2019年6月30日 (日) 21_21 DESIGN SIGHT
http://www.2121designsight.jp/program/humor/index.html

東京都現代美術館 リニューアル・オープン記念展
企画展 百年の編み手たち−流動する日本の近現代美術 −
コレクション展 MOTコレクション ただいま/はじめまして
2019月3月29日(金) − 6月16日(日) 東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/renewal2019/

バスキア展
2019年9月21日(土)〜11月17日(日)森アーツセンターギャラリー

みんなのレオ・レオーニ展
2019年7月13日(土)〜9月29日(日)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

◆名古屋◆
日本・スウェーデン外交樹立150周年記念
長くつ下のピッピの世界展 〜リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち〜
2019年4月27日(土)〜6月16日(日)松坂屋美術館

クリムト展 ウィーンと日本1900
2019年7月23日(火)〜10月14日(月・祝)豊田市美術館
https://klimt2019.jp/

ムーミン展
2019年12月7日〜2020年1月末 松坂屋美術館

サラ・ベルナールの世界展
2018年11月23日(金・祝)〜2019年3月3日(日)堺 アルフォンス・ミュシャ館
2020年1月頃まで、全国巡回予定。
https://www.sunm.co.jp/sarah/

木梨憲武展 Timing‐瞬間の光り‐
2019年9月13日(金)〜10月20日(日)松坂屋美術館

不思議の国のアリス展
2020年4月18日(土)−6月14日(日)名古屋市内の美術館(未定)
http://www.alice2019-20.jp/

◆大阪◆
不思議の国のアリス展
2019年3月16日(土)〜5月26日(日)兵庫県立美術館
http://www.alice2019-20.jp/

ヒグチユウコ展 CIRCUS(サーカス)
2019年6月15日(土)〜9月1日(日) 神戸ゆかりの美術館

クマのプーさん展
2019年4月27日(土)〜6月30日(日)あべのハルカス美術館
https://wp2019.jp/


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