【読書】『彼女について』よしもとばなな


いつものばななワールド、と言う感じ。

私は彼女の全部の作品を読んだわけではないのだけど、私が読んだ話は、同じことをテーマにしてる、と思う。
基本は、死をテーマにしてる作家だと思うのだけど、一番多いのが、身近な人が死んで、その人と、この世とあの世の間の世界で会う、というもの。

それは、眠りに落ちている間だったり、酔っ払ってる間だったり、ある街のある川の向こう岸だったり。

読んでるときはかなりのめり込んで、2時間くらいで、ざっと読破してしまった。
ラストの悲劇感とか救われない感じは、相変わらずのばなな節だと思うけれど、私がばななさんを読むのは、そこじゃなくて、たまに光るよいフレーズを読みたいから、なんだな。

たぶん言いたいことはいつも同じで、それを繰り返し言葉や設定を変えて書いてるのが小説家なんだろうけど、彼女の言いたいこと、彼女の中の哲学のようなもの、それが紡ぎだされた言葉が、好きなんだと思う。

私はこのお話の軸で一番大事なのは
「日常の大切さ」
「小さな日常の幸せの積み重ねが、振り返ったときに大きな幸せになる」
と言うことだと思う。

そこには本当に共感できる。スーパーやコンビニで、食べ物を買ってる人間は、みな幸せな顔をしてる。本当にそうだと思う。

設定がいつもどこかオカルトチックだったり、霊能力とかそんな感じだったりするのが、やっぱりいつものばななワールドなんだな。



単行本: 224ページ
出版社: 文藝春秋 (2008/11/13)
ISBN-10: 4163275800
ISBN-13: 978-4163275802
発売日: 2008/11/13
商品の寸法: 19 x 12.8 x 1.6 cm
おすすめ度: ★★★★☆ 4.5 (18件のカスタマーレビュー)


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