「オールドノリタケと懐かしの洋食器展」を見て参りました。
以前はよく見に行っていたチャイナペイント関係の展示ですが
2005年2月に行った根津美術館の『華やかなうつわたち』以来
なんと3年以上ぶりとなりました。
その後もたまたまデパートでマイセン展などがやっていれば、こっそり
覗いたりはしていましたけどね。
わたしはね、大きな声では言えませんが(言ってるけど(笑))
絵付けに関しては、もうドイツのマイセンが世界一!!だと思っております。
特に薔薇の形のパーフェクトな美しさは、他とは一線を画します。
自慢ではないですが、ぱっと見て、マイセンの薔薇だけは見分けられる
自信があります。
マイセンとノリタケは、厳密に言うと絵付けの手法が違うので
(詳しくは続きの後に述べてあります)比べるものではありませんし
好みの問題ではありますが、ノリタケの素晴らしさは、絵付けの
絵以外の技法の部分にその真の価値があるように思います。
それが、DMの壷の口部分の金が盛られているような部分なのですが
見慣れた私でも、もう目を見張るような精巧さでした。
それ以外にも、和洋折衷、ジャポニズム、洋風なもの、アールデコなど
様々な技巧やデザイン性を生かした素晴らしい品々が、旧宮家の
素敵なインテリアとともに、堪能できます。
今ならまだお庭の薔薇にも間に合うかも。
余談1:
ノリタケと言えば私の故郷、愛知県名古屋市を代表する企業のひとつ。
名古屋市西区則武新町にある本社工場は、今はノリタケの森と言う名前で
制作工程やギャラリーなどが一般公開されています。
2003年に書いたレビュー
http://sweets-roses.com/sb/log/eid585.html
実はわたしは名古屋市西区の育ちでもあるので、ノリタケは本当に
地域を代表する企業でもあるのでした。
なお、皇室御用達でも有名な高級洋食器の大倉陶園(本社・横浜)は、
今はノリタケと同じ森村グループのひとつとなっています。
名古屋市近辺には、日本を代表する陶磁器メーカーが集まっていて
緑区鳴海町にある「鳴海製陶(ナルミ)」や尾張旭市三郷町にある
「三郷陶器(SANGO)」などはよく知られているのではないでしょうか。
1996年から2005年まで、ちょうど10年間、磁器絵付けをやっていました。
わたしがやっていたのは、ヨーロピアンポースレインアートと言って
細い筆でチマチマと繊細に描く、いわゆる「マイセン」や「セーブル」などの
ヨーロッパ風の絵付けです。
詳しくはこちらをお読みください。
それに対して、ノリタケや大倉陶園などのように、平筆で
比較的大胆に描くアメリカンタイプの絵付け方法があります。
ノリタケの作品は、絵付け方法は大胆ですが、手先が器用で繊細な日本人らしく
金盛り、イッチン盛りなどの気の遠くなるような細かい技法がふんだんに
施されたあたりが、とても日本的だと思うのです。
余談2:
名古屋(愛知県)に本社を持つ企業は結構数多くありまして、有名どころでは
東区白壁のPasco(敷島パン)もそうですが、同じくパンメーカーのフジパンも
瑞穂区松園町に本社があります。(コレは私も最近知りました)
西区に本社を持つ企業には、インテリアの総合商社のサンゲツがありますし
また、コンタクトレンズメーカーのメニコンは中区葵に本社があります。
意外なところでは、ヴィレッジヴァンガード(愛知郡長久手町)もそうですし、
シナモンロールで有名なシナボンも、母体はラーメンのスガキヤで有名な
スガキコシステムズなんですよ。
愛知県と言えばトヨタがあまりにも有名ですが、他にも頑張ってる
企業はたくさんあるのですね。
all about『テーブルコーディネイト』より
http://allabout.co.jp/family/tablecoordinate/closeup/CU20080528C/
日本の洋食器は、ヨーロッパの食器を模倣・学習することから
はじまりました。その過程で現在『オールドノリタケ』と呼ばれている
輸出用陶磁器が生まれました。やがて和洋折衷のデザインによる日本独自の
洋食器が生まれ、日本の洋食器は、アメリカをはじめとする海外への輸出を
担う主要な産業のひとつになりました。
今回の展示は、明治にはじまり、大正、昭和にかけて、大正ロマンや
昭和モダンと呼ばれた日本独自の洋風陶磁器を一堂に見ることができる
展覧会です。2008年4月17日(木)から6月15日(日)まで
東京都庭園美術館で開催されています。
展覧会構成は以下になります。
1、万国博覧会と明治の輸出陶磁器
2、欧州名窯品に学ぶ国際市場参入の試み
3、アール・デコと輸出陶磁器の多様化
4、日本的趣向の図案の成長
5、日本の洋食器の完成へ
公式サイト
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/noritake/index.html
本展は、日本洋食器の変遷を文化史的な視点から捉えて収集してきた
守屋知子氏のコレクションを中心に200点余りの作品により、
明治から昭和戦前期までのわが国における洋食器文化の定着と
発展の軌跡を展観するものです。
日本の洋食器は、殖産興業政策からヨーロッパの様式を模倣・
学習することからはじまり、その過程で現在「オールドノリタケ」
と呼ばれている輸出用陶磁器も生まれてきました。
やがて日本人の好みにあった装飾手法を応用して和洋融合の
デザインが生み出され、名実ともに日本独自の洋食器が花開く
ことになります。
本展はそのような明治から大正期における輸出陶磁器を概観した
うえで、世に大正ロマン、昭和モダンと言われ、日本人の好む
デザインへと発展した洋風陶磁器を一堂に会し回顧する総合的な
展覧会としました。今に息づく素晴らしいデザイン、懐かしい意匠を
ご堪能ください。
ノリタケカンパニーリミテド
http://www.noritake.co.jp/
東京都庭園美術館
住所:港区白金台5-21-9
電話:03-3443-0201
アクセス:JR山手線、東急目黒線 目黒駅 (東口)より徒歩7分
都営地下鉄三田線・東京メトロ南北線 白金台駅(1番出口)より徒歩6分
map → http://www.teien-art-museum.ne.jp/info/access.html
展示開催期間:2008年4月17日(木)から6月15日(日)
開館時間:午前10時〜午後6時(入館は午後5時30分)
休館日:毎月第2・第4水曜日(祝祭日の場合は開館し、翌日休館)
料金:一般 1,000(800)円
大学生[専修・各種専門学校含む] 800(640)円
小・中・高校生および65歳以上 500(400)円
*( )内は20名様以上の団体料金
*未就学児、障害のある方とその介護者1名、教育活動として教師の
引率する都内の小・中・高校生および教師は無料 (事前の申請が必要)
*フルーツ模様の入った服装でご来館のお客様は、団体料金で入場
いただけます。(割引の併用はいたしません)
主催:財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館
後援:東京都
協賛:戸田建設株式会社、東京ガス株式会社
企画協力:アートプランニング レイ