生誕120年記念・色彩のファンタジー・シャガール展〜写真家イジスの撮ったシャガール〜

071124chagall.jpg三連休のど真ん中、秋晴れの気持のいい日に、上野の森美術館で開催中のシャガール展に行ってきました。

上野の森は、ちょうど一年前(2006.11.22)にダリ展に来て以来です。2004年に狂ったように美術展に脚を運んで以来、尻すぼみにどんどん脚を運ぶことが少なくなって来ているのですが、今後また絵を見る機会が増えそうな気がしています。

シャガールと言えば、幻想的で、ちょっと怖い感じのするのがわたしの持っていたイメージです。しかし今回の展覧会で、画材によって随分印象が変わるんだなぁ、と思ったのがいちばんの感想。

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『ダフニスとクロエ』1961年
シャガールと言えばリトグラフ。その中でも最高傑作と言われているシリーズ。版画ではありえない多色遣い(60色だっけ?)の色鮮やかなもの。
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『花嫁の回想』1979年 / 『毛皮襟の女』1934年
油彩はくっきりと色濃く、シャガールの幻想世界をより際立たせます。この辺りの絵を見ると、ちょっと怖いと言う印象を抱いてしまうのです。しかし初期には右のような作品も残しているのですね。
この絵を見てすぐにシャガールだとわかる人はいるのでしょうか。普通にうまいよね、と言い合いつつ通り過ぎ。

071124chagall4.jpg『ポエム』より 1968年
今回の発見はシャガールの木版画。
まさかこんなにユーモラスで楽しい世界だとはっ。リトグラフに比べると、色合いもはっきりとしています。そしてこのまるでおとぼけなキャラクターちっくな動物はナニ?見た瞬間、友人とともに笑ってしまいました。
そして部屋に唇がぽっかり浮かんでる絵を見て、わたしが友人に
「わたしの唇だけが、こんなふうに訪ねて来たらどうする?」
と尋ねると
「きちんとおしゃべりしてお相手するけど、耳が来てないから、一方的にしゃべっていそう」
「そっか、耳がいないから聴こえないんだ」
「そうそう」
わたしのバカな質問にちゃんと答えてくれる友人に感謝。

シャガールは初期には銅版画を中心に制作していたようで、ものすごい数が展示されていました。最初はまったりと見ていたのですが、ふと先を見るとあまりの数に
「ちょっと休憩しようか」
と椅子に腰掛け。最初に時間を取られすぎて、最後はちょっぴり駆け足に。

とっても楽しく満喫できた展示でした。時間配分考えたほうがよいかも、だけど、結果的には好きな絵は最初のほうに集中していたので。まぁよかったかな。

シャガールの絵画には、鳥がよく出て来るのも、わたし的には萌え。ミュージアムショップで、ブローチを衝動買い。今日の記念に。それほど楽しい一日でした。


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シャガール展
http://www.ueno-mori.org/special/2007_chagall/index.html
今年は、20世紀最大の画家の一人であるマルク・シャガール(1887-1985)
の生誕120年にあたります。
シャガールは、ロシア生まれのユダヤ人で、フランス、アメリカ、メキシコで活躍します。パリに出て豊かな色彩感覚を開花させ、詩的で豊かな色彩表現と物語性をたたえたシャガールの絵画は、世界中の人々に愛と希望を与え続けました。

1922年頃から版画の制作を始め、その後生涯に渡って約2,000点にも及ぶ作品を残しています。はじめは銅版画を中心に取り組んでいましたが、第二次世界大戦後、リトグラフも手がけ、鮮やかな色彩の作品を次々と生み出しました。

本展では、シャガールのリトグラフの最高傑作ともいわれる《ダフニスとクロエ》やシャガールの版画世界がより大きな広がりをみせた木版画《ポエム》や《サーカス》、《聖書》、《アラビアンナイトの四つの物語》の5つのシリーズ合計222点と、愛や生命への賛歌を奔放な描線と、踊る色彩で幻想的に描いたシャガールの絵画17点を一挙に展示します。

また、画家と交遊のあったリトアニア生まれの写真家イジスが優しい眼差しで撮影したシャガールの制作風景や素顔などの写真約100点を特別公開し、知られざるシャガールに迫ります。

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