今回、このバルビエのコレクションを提供して下さったフランス文学者の鹿島茂氏によれば、それはバルビエの作品のほとんどがエフェメラの複製芸術(つまりは版画)によるものだったからだそうです。
しかし奇跡は起こります。
彼の作品の多くは、ポショワール(ステンシル画)の天才刷り師・ジャン・ソデによって刷られ、その技法はジャン・ソデしか秘法を知らなかったため、現代では絶対に再現不可能となったのだそうです。
「香りと恋心」バルビエのイラストレーションと香水瓶展
2007.12.14 〜 2008.3.23
恋人の残り香に、想いをはせる。
なつかしい香りが、遠い昔の情景をあざやかによみがえらせる。
香りは、恋愛において、しばしば重要な役割を果たします。
本展は、そんな「香り」と「恋心」の深い関係をテーマにした展覧会です。
20世紀を代表するイラストレーター ジョルジュ・バルビエの作品を、フランス文学者 鹿島 茂のコレクションより、香水瓶を高砂香料コレクションと資生堂企業資料館の収蔵品よりご紹介。
とっても素敵な展示でした。
ちょっとエロティックでコケティッシュなのも魅力だし、ユーモアも感じられて、見ていて楽しかったです。ファッションに造詣の深かったバルビエは、ロココ風やアールデコを好んで描き、また、民族風のイラストもとっても素敵でした。
今回のテーマである恋心と香り、ということで、美しい香水瓶がたくさん展示されていて、それも見ていて飽きませんでした。香りに見る歴史上の女性として、フランス王妃マリー・アントワネットや中国の香妃伝説にちなんだ小物も展示されていましたし、(ただし年代が微妙で、実際に使われていたものとは違ったよう?)歴代の資生堂の香水のパッケージやモデル山口小夜子さんに関する展示も興味深いものがありました。
また、再現された大正期の資生堂の香水『月見草』の香りが嗅げたのも、なかなかできない体験だったと思います。
こんなに盛りだくさんで、この展示、無料なんです。素晴らしい!!
初めて行った『ハウスオブシセイドウ』はとっても趣のある建物でした。
わたしは美術館に行くときは、おしゃれしたいと思います。
なぜなら、美しい絵画や芸術作品と並んで、恥ずかしくない格好でいたいから。
その空間にふさわしい自分でいたいからです。ただおしゃれをするのでも、奇抜な格好よりは、上品さを心がけたいのです。
だから、いい絵を飾っているだけでなく、建物まで美しい美術館が好きです。東京で一番素敵な美術館は、東京都庭園美術館だと思いますが、あんなに古い絵本やアクセサリーが似合う美術館はないと思います。同じくらい好きなのが、上野の国立博物館です。
もちろん黒川さんの設計されたかっこいい国立新美術館もいいのですが、古い建物の持つ味わいにはかなわないのですね。あくまでもわたしにとっては、ですが。
このハウスオブシセイドウも、大好きなギャラリーのひとつになりました。