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『冒険王・横尾忠則 初公開!60年代未公開作品から最新絵画まで』
を見に行ってきました。
周りではこの展覧会に関して、
まったく盛り上がりを見せていないのですけれど
ものすごく楽しい展覧会で、
世田谷美術館のアクセスの悪さにもかかわらず、
前回の『カバコフ』に比べると、結構なお客さんでした。
とはいえ、上野などの美術館に比べれば、
全然快適に見られましたけどね。
周りも若いカップルなどが多くて、みんな楽しそうに見ていました。
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![080601yokoo2.jpg 080601yokoo2.jpg](http://hiyoko.tv/blog/img/img304_080601yokoo2.jpg)
シュールな作品世界を圧倒的な画力が説得力のあるものにしている、
と言うのが両者の共通点であるように思います。
そういう横尾さんは、以前にもこの世田谷美術館で見たルソーを敬愛していて
彼に対するオマージュとして、かなりの数の作品を描いています。
本展の第一章がまさにそれ。
ルソーと言えば「素朴派」と呼ばれ、正規教育を受けていないためか
デッサンに狂いの目立つ絵が多い事で知られています。
特に彼の自画像は、河岸に立つルソーが、周りに描かれた人物や船に比べ
大きすぎる事が指摘されてきましたが、正しい比率で描かれた絵、として
豆粒大にルソーを描き、さらに絵の上部には、元の絵でルソーが持っていた
パレットや筆をそのままの大きさで描いていて、思わず笑ってしまいます。
愛があるから描ける絵です。
その次には延々とY字路の絵が続き、この絵たちは怖いんですが引き込まれます。
そして、江戸川乱歩の小説で育った世代にはたまらない『冒険王』の世界。
ポスターの絵にも出てくる3人組が活躍します。
わたしとホセ・ソニオは生まれた年代は違うのですが、子供の頃に乱歩を読みあさったのは同じ。
乱歩を通過したかしないかで、のちのちの感性に、大きな差が出るように、近頃つくづく感じられるのです。
図書館で借りまくって読んでいて本当によかった。
その後アングラのイラストレーションの時代の絵が続き、細かい線画にため息。
(この頃には、閉館時間も迫って来ていて、焦りつつの鑑賞。うーん、もったいない。)
最後に同じY字路でも、思いっきり明るい温泉の絵画のオンパレードで、幕を閉じる展覧会。
一見同じような絵が何度も出てくるのですが、ちょっとずつ違ったり、何か新しい発見があったりして
見るものを飽きさせない、見る人まで冒険世界に引き込んでしまう、素晴らしい展覧会でした。
ホセ・ソニオ氏の方がワタシより感銘を受けたようで、いつもはワタシが並んで買う図録を
「今日はボクが買います」とためらいもなく並んでいました。相当楽しかった模様。
こんなにおすすめの展覧会なのに、会期終了後でごめんなさい。
ちなみに、その後ダーウィン展と屋上庭園には行きましたが、引っ越し準備に忙しく、当分はおあずけになりそうです。
世田谷美術館
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
「ターザン映画」や「少年探偵団」、「アングラ演劇」や
『平凡パンチ』を愛するすべての世代に贈る、横尾忠則の冒険絵巻!
「冒険王」。アート界を走り続ける横尾忠則(1936年〜)に、
これ以上ふさわしい称号はないだろう。
1960〜70年代の鮮烈なグラフィック・デザイン、1980年代の“画家宣言”、
昨今は“隠居宣言”のかたわら小説家デビューと、話題多きこの作家については
今まで無数の展覧会が開かれてきた。だが意外にも、彼の「冒険」に
正面から切り込んだものはない。
<冒険王・横尾忠則>は、初公開の60年代グラフィック原画から、
冒険的物語がテーマの最新作まで、およそ700点が全館に展開する
“血沸き肉躍る”一大絵巻なのである。
展覧会の構成も、冒険物語仕立てだ。事件を予感させる<Y字路>シリーズの
近作に始まり、江戸川乱歩の「少年探偵団」、ジュール・ヴェルヌの
『海底二万里』、「ターザン映画」などから生まれた作品が次々に登場する。
都会の屋敷の地下室、洞窟、海底、密林は「僕の中ではすべてつながっている」
と作家は言う。めくるめく「冒険」イメージの連鎖を楽しめる展開だ。と同時に、
芸術の根源が宿る場としての“子ども”の世界も、ここで感得できるだろう。
横尾忠則の「冒険」を語るのであれば、イメージを創造する“方法論上の冒険”は
外せない。その意味での最大の見どころは、1960〜70年代の貴重な
グラフィック原画だ。作家から預かった1300点におよぶ資料の調査を行い、
約500点を精選。その大半が初公開である。『平凡パンチ』や『話の特集』を
飾った数々のイラスト、寺山修司や唐十郎、土方巽のアングラ演劇・舞踏の
ポスター、それらの原画や印刷指定紙からは、若き横尾忠則の大胆不敵でいて
驚くほど緻密な仕事ぶりを堪能できる。
横尾忠則の注目作・代表作を一望する「夢」・「コラージュ」などのコーナーを
経て、作家が「人口庭園」ともよぶ最新作、極彩色の<Y字路温泉>が最後を飾る。
毒々しく懐かしい、なのに全く未知の、眩暈がするようなシリーズだ。
アート界の「冒険王」、横尾忠則はどこまで行くのか?
そのゆくえを、本展でじっくり占っていただきたい。
いつも反省するのですが、世田谷美術館に到着するのが午後3時とか遅いんです。
この日も都電巡りを散々したあと(こっちはこっちで大事)だったので、結局横尾さんの企画展を見るだけで精一杯。
いつも今日こそは!と思う常設展を実損ねるのでした。バスキアが見たいのに。