庭を形作るのは植物で、植物は生きている。
だからどんどん成長したり
時には枯れたりして、自由にはならないし、
自分の預かり知らぬ方へ
変化して行ってしまう。
庭には完成と言うことがない。
一瞬の美を愛でることはできても、一瞬の後には、変わってしまう。
常に移ろい行く。
本展では自然光の差し込む3階展示室を屋上庭園と捉え
近現代の作家の庭をめぐる様々なアプローチを
10のセクションに分けて紹介します。
庭を主題とする作品はもとより、庭のように手をかけ育むもの
と言う寓意的な意味でも作品を採り上げます。
記憶の中で理想化された楽園や、切り取られ記録された自然、
秩序から解放された空間など、美術館ならではの庭を散策する
機会となるでしょう。
1.グロテスクの庭
2.庭を見つめる
3.掌中の庭
4.アトリエの庭
5.夜の庭
6.閉じられた庭
7.記録された庭
8.記憶の中の庭
9.天空にひろがる庭
10.庭をつくる
1.美術鑑賞をしていると、いろんな言葉のルーツを知ることが多い。
実に自分が様々な言葉について、いかに勘違いをしていたかがわかる。
ゴスと言う言葉の語源のゴシックについて勘違いをしていたように
グロテスクと言う言葉にも、その本来の意味とはまったく結びつかない
想像をしていた。
グロテスクとは、
ルネッサンスの人々が古代ローマ時代に描かれた
壁画の中に発見し、その後流行したグロテスク模様のことで、
「グロテスク」とは、発見の場所が「洞窟(グロッタ)」であったという
エピソードに基づく壁面装飾をあらわす言葉。
今ではグロテスクとは、オカルトチックな気味の悪い画像や表現に
使われることが多いですが、もともとはそう言う意味ではなかったのですね。
1978年生まれと言う比較的若いアーティストのニコラ・ビュフが
この展覧会のためだけに制作し、展覧会終了とともにはかない夢のように
消え行く運命の壁画。
古代ローマの詩人が記した楽園の世界を主題に、古今東西のイメージを
混在させたグロテスク模様のデッサンを展開。
どこかゴシック好きにも受け入れられやすそうな装飾的な作風。
2.鉛筆デッサン中心に。細かさに目を見張る。
3.創作版画の揺籠期の雑誌、同人誌を展示。
4.牧野虎雄(1890-1946)の庭を描いた作品たち。新しいものから順に
展示されていて、あとになるほど気に入った作品が多かった。
しかし、ヘチマの絵の背景の赤茶の鮮烈さが忘れられない。
5.シュルリアリズムの作品たち。
6.『ロンサール恋愛詞華集』にマティスがつけた挿絵。
簡単に描いてるように見えるけど、きっとマティスは
何度も何度も書き直して再構築してるんだろうなぁ。
7.このコーナーが一番好き。素晴らしい版画たち。感動。
どうしたらこんな素晴らしい作品が作れるんだろう。
中林忠良(1937-)は素晴らしい!!藝大の版画研究室で
駒井哲郎(1920-1976)の跡を継いだらしい。さすが。
9.天空にひろがる庭
チラシの作品はこの中のひとつ。点々と○をスタンプしたカラフルな立方を
規則正しく並べたもの。美術館の高い天井の壁面に一面に描かれたものは
圧巻。他にも初めて見るような巨大な絵画に立ち尽くすわたしたち。
10.木でできた花(ガーベラだったかな?)。手に持ってもよいとあるので
持つと明らかに木なんですが、見た目はにわかには信じがたいほど
本物そっくりです。すごいすごい。
なんだかんだとすごく面白い展覧会でした。
わたしが『ひよこ日記』にフェルメールについて書いたのを
きっかけに、交流の始まったTakさん。
Takさんのblog『弐代目・青い日記帳』は、artに関する濃く深い記事の
質と量で、他の追随を許さぬblogとなっています。
フェルメールファンのTakさんですが、西洋絵画にとどまらず、
日本画はもちろん、建築・植物・音楽と、その造詣の深さには圧倒される程。
その活躍ぶりを世間が放っておくはずもなく、新聞に紹介されたり
展覧会のレセプションに招かれたり。
Takさんっていったい何者?と思いつつ、いつも記事を参考に展覧会に
足を運んだりして、大変お世話になっていたのでした。
そのTakさんからいただいたチケットで行って参りました、この展覧会。
どうもありがとうございます。
いつかTakさんとはお目にかかる機会がありそうな気がしています。
ところで、mixiを見るまでは、ずーっと「たく」さんだと思っていたんですが
「たけ」さんなんですね。
Takさんのプレスツアーレビュー
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1370
屋上庭園
http://www.mot-art-museum.jp/kikaku/110/