【展覧会】『セザンヌ主義』

090122_1828690.jpg2009年1月11日土曜日。
横浜美術館。

セザンヌは好きな画家です。だから、この展覧会はずっと楽しみにしていました。
ポスト印象派、と言う名前は日本では長いこと「後期印象派」と呼ばれていましたので

ポスト印象派とは、モネやルノワールなどの仲間で、印象派の最後のほうの人々と解釈する人が多いそうです。


              


しかし、印象派とポスト印象派は全然違います。ポストと言うのは、〜の後と言うことで、「印象派の後に出てきた人たち」と言う意味です。
印象派とは、見たままの印象を描く人々ですが、ポスト印象派は、さらにその先を行く人たちだそうです。

ところで、ポスト印象派の巨匠と言えば、ゴッホ・ゴーギャン・そしてセザンヌ。
前者二人とセザンヌとの間には、決定的な違いがあります。

ゴッホとゴーギャンが、見たままの印象を描くことから先を進んで、心の中を描こうとたのに対して
セザンヌは、もっと客観的に一歩引いて、対象を造形的に理解して描こうとしたのです。
同じポスト印象派とまとめられていますが、ゴッホ・ゴーギャンと、セザンヌとでは目指す絵画の方向性は、真逆の方向にあったのです。

たぶん、絵を鑑賞する側の一般の人には、ゴッホやゴーギャンが好き、と言う人は多くても、セザンヌが好き、というひとは少ないのではないでしょうか。
心の中を描こうとしたゴッホやゴーギャンの絵画に、人は単純に精神を見出して共鳴します。けれど、対象を客観視して緻密な計算の元に描かれたセザンヌの絵画には、どこか難解さが付きまといます。

今回の展覧会で、その難解さを説明してくれているかととても期待したのですが、やはりセザンヌが難解すぎたのか、もともと、主催者側の意図はそこになかったのか、やっぱりセザンヌは難解な孤高の人のままでした。
一般の人々にはなかなか理解されづらいセザンヌですが、本当に多くのアーティストに影響を与えています。
セザンヌと言えば、故郷のセント・ヴィクワトール山を何度も描いていますが、彼は山を四角い面で分割して描きました。それは後にピカソやブラックを代表とするキュビズムの画家に多大な影響を与えることになります。

そんな風にセザンヌに影響を受けたアーティストは数知れません。この展覧会では、セザンヌに影響を受けた作品を紹介し、解説していたのですが、いかんせん難解です。中には、これはこじつけだろう、と言うのもありましたし。
だけど、セザンヌ好きには、たまらない展覧会ではありました。

ちなみに、ワタシは絵を描くわけですが、たぶん画家としてセザンヌに影響を受けているわけではないと思うんです。ワタシがセザンヌを好きなのは、色使いです。
難しいことはよくわからないけど、単純に彼の色使い、色の塗り方、そんなものに心惹かれるんです。

ワタシの目は、彼の絵を見るときはただの鑑賞者の目になっているのだと思われます。

「ただ好き」イロイロ書きましたけど、本当は、絵を見るときに必要なのは、それだけでいいと思うんです。


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