チャイナペイントの作品ができるまで その1 『絵付け』

kama1.jpg昨日の『お花のクッキーとヘレンドのフラワーリボン』の食器について、どのような工程で作っているのかを載せてみることにします。

この画像は、我が家にある焼成用の窯です。この窯が、どうしても欲しくて、お金をためていました。もう少しでお金がたまるというときに、父が急死しました。わたしも少しお金をもらい、形に残るものをということで、この窯を買いました。そんなわけで、ちょっと記念の品だったりします(笑)

窯について・・・だいたい洗濯機程度の大きさで、重さは約80kgもあります。熱源は電気で、温度は約1400℃まであげることが出来ます。わたしのやってるチャイナペイント(上絵付け)は、約800℃で焼きます。時間は、3〜5時間程度です。陶芸や下絵付けは1300℃くらいの高温で焼きます。時間も、ずうっと長いです。

この窯は、家庭用の窯としては、大きいほうなので、家庭用の電気契約では、使用できません。我が家は6キロ契約という契約で、ものすごく大きな分電盤が、壁にくっついています。その分電盤、よくエアコンと間違えられます(^^ゞポリポリ


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1.花の絵を描く

1.下絵を描く
まずは下絵を描きます。スタビロ鉛筆と呼ばれる専用の鉛筆を使用します。これは焼成時に消えてしまいます。もっと手の込んだものになると、やはり専用のカーボン紙を使用して、下絵を写すこともありますが、これは単純な絵柄なので、ラフで描いてみました。

2.一回目の色を入れる
下絵に色を入れたところです。絵の具は鉱物などでできた顔料ですので、焼成によって化学変化をします。特にマロンと呼ばれる濃いローズ色や紫は、焼成前にはこんなくすんだ色をしています。この色は顔料に金が含まれるので、非常に高価な絵の具でもあります。

3.一度目の焼成
一度目の焼成が終わりました。きれいなローズ色が出てくれています。まだ絵の中に色が入った程度ですので、こんなに薄くても大丈夫。むしろ、濃く描きすぎると取り返しがつかないので、最初は薄く描き始めるほうが失敗が少ないのです。

4.線描き
次に線描きと呼ばれる作業をします。細い線で葉脈や花の芯などを入れていくのは、とても骨の折れる作業です。また、影も少しずつ入れていきます。ここまで来ると、だいぶ花らしくなってきました。


5.2度目の焼成
2度目の焼成が終わりました。もっと小さな小花だと2回程度で完成しますが、この花にはもう少しメリハリと葉の影などが必要です。もっと大きな花はもっと何度も焼き重ねることもあります。


6.影入れと金彩
花と葉に影を入れて、金彩を施しました。取手部分のこげ茶っぽいのがそうです。金は純度によって値段が違ってきます。これは40%のマット金で、一番高価な部類に入ります。ブライト金といって、磨かなくても光るものは安価ですが、やはり高価なものに比べると輝きの質が劣ります。
※このカップは二客作ったのですが、ここからカップの片割れのほうになってしまったようです。

7.3度目の焼成
3度目の焼成が終わりました。これで完成です。チャイナペイントには他に盛り金やレリーフなどの様々な技法があります。これは一番初歩的なテクニックだけで作ることのできる作品です。


8.金磨き
マット金は焼いたままですと、まったく光らないのですが、専用の金磨きやすりや、金磨き砂で丁寧に磨くことで、非常に美しい輝きを引き出すことが出来ます。さぁ、これでいつでもお茶の時間にデビューが可能です。

作成期間 2002年2月〜4月


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