建築業界に携わった者として

※過去の痛い引用です。こんなこともあったという感じでお読みくださいませ。


              


某編集さんの記事で読んで、これは書かなくてはいけない、と思った。

今、書籍版が売れに売れている「き○●の日記」が元ネタ。 普段は無断転載一切禁止のき○●さんが、転載歓迎だと言う。きっこの日記・17〜18日
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20061017
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20061018(両方リンク切れ)


※某編集さんの記事から転載(許可済み)

以下、本日東京新聞以外のマスコミが無視したらしい、イーホームズ藤田社長のプレスリリースより
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耐震偽装事件を通じて、マスコミとはどういうものなのかが良く分りました。新聞では朝日新聞が最も良いだろうと思って、去年の12月上旬に築地本社を訪ねました。
たとえ、イーホームズに批判的な記事を書いたとしても構わないから、僕らが知る全ての事実を伝えるので、この事件をしっかり記録して記事にしてくださいと頼みました。
耐震偽装を担当していた斉賀さんというデスクの方が応対してくれ、僕の趣旨を理解してくれ、担当記者をつけてくれました。12月13日に大臣認定プログラムが改ざん可能であるとの記事を書いてくれたのはこの方達です。他の報道関係者に較べて、最も、技術的学識的観点から確認検査制度や構造設計を勉強して記事を書いていました。

僕らは、年が明けて2月に入りアパを糾弾し始めました。
★斎賀さんが亡くなったのはこの時期です。★
そして、担当だった記者の方は担当から外されました。因果関係は僕には分かりません。そうした事実が符合しているだけです。そして、3月3日に、合同捜査本部の緊急立入捜査が入ります。アパの関係も含めて多くの資料が没収されました。しかし、僕らは、手元に残していた資料をもってアパの糾弾を続けました。結果として、4月26日に僕が逮捕されることで、会社の存続を断念せざるを得ませんでした。8月31日に最後まで残務整理の為に残っていた社員の再就職が決まりました。この日から、僕は、僕が辿った道筋を書き始めました。

僕は、我が子同然であったイーホームズという命を弔うために本を書きました。ある出版社に入稿もしました。そして、もしもの時を考えて、信頼できる複数の友人にも原稿ファイルを渡してあります。

(★=某編集さん挿入)
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正義を貫こうとした人が殺されるのは、なにも漫画の世界の話じゃあないのだよ、わとそんくん。 ★の段読んで、まぢで恐くなりました。 会ったこともないですが、デスク・斉賀さんの魂に合掌。


以上、某編集さんのところから転載



私は建築業界に長くいたので、こういう問題が起こると、とても悲しくなります。
現場の人間は、いいモノを作ろうと、何日も徹夜して必死に頑張ってるのに。

建築に携わる人間は、医者と同じ、人の命に関わる仕事をしているのだと、常に思っていました。でも確かに、そう言った意識は現場には希薄かもしれません。意匠設計をする人たちは、耐震よりはデザイン性を重視しがちです。そのために、ビルの設計には構造設計部門がちゃんとあるわけですが。


私が当時勤めていた会社は、横浜ランドマークタワーも、東京ディズニーランドもシーも、都庁も手がけています。 (多分全て複数社の共同体だと思うけど、調べればどこかわかるかも)私自身も、名古屋時代、金山の大きなビルの設計に携わってきました。(といっても、しがないCADオペですが)

どれも高層タワーだったり、たくさんの人が利用する場所です。もしもそれらの耐震に問題があったらどうなるのだろう。想像するだけでも恐ろしいです。

ランドマークタワーを担当した上司が、とても印象的なことを言っていました。
「僕らが作っている設計書は、1/500とか1/1000などのおおざっぱなもので、どうしても現場のボルト一個単位までには誤差が出て来る。1%の誤差でも、ランドマークタワーのように数百億(だっけ?)の物件だと数億円の誤差になるんだよ」
そのときにも恐ろしいと思いましたが、今はもっと思います。

だって、そこに目を付けて手抜きをすれば、どれだけでも底なしにもうかるというわけなのですもんね。

でもその上司を含め、みんな職人肌の無骨な人たちで、今私の周りにいる、「出版バカ」(失礼) に負けないくらい「建築バカ」ばかりでしたよ。それなのにどうしてこういうことになってしまうのでしょう。

それは利用する人間がいるから、なのでしょうね。

              


コメント

2006年10月19日
08:25

ちょっこ
仕事が「こなす」ためのものになってしまっている人には
仕事の成果をつかってくれる、人間ひとりひとりが見えなくなってしまっているのかも。

人を数(○○人)という括りで考えるのでは無く、つねに、ひとりひとりの集合体であるという意識を忘れないようにしようとおもう。
2006年10月19日
08:34

こっひー
平然と私欲のために偽装してしまう…ちょっとごまかすくらいの気持ち(ありがち)が、ごまかしきれなくて殺人まで…なんて愚かすぎる!
地震が実際に起こったらどんなことになるんだろう…。
私がいた住宅メーカーの設計部の上司が家を建てた時は現場のいい加減さに呆れていましたが…最近あった先生の問題もそうだけど自分の仕事にもっと誇りを持ってほしいものですね。
2006年10月19日
11:57

かきひよ
>ちょっこさん
大きな組織になればなるほど、1人の力は弱くなってしまう。
そこで責任が希薄になるのが、問題なのかもしれないね。
みんなやってるから、自分くらいなら、と言う意識は怖い。
それでも自分のやってる小さな事がやがて膨らんで
大きな仕事になるのだと言う意識を持ちたいものです。

今は私はメディアの仕事に携わって、それはそれで
影響力の怖さを実感しています。
末端の仕事でも手を抜かないようにしないと。
2006年10月19日
12:04

かきひよ
>こっひーさん
家族がゼネコン勤務で設計士でも、住宅設計に関しては
あんまり頼りにならなくて(ビルと一戸建ての違い?)
特に作るのはまたもっと下請けの業者だから
どの時点で手抜きがされるのか、判断は難しいと思うけど、
見ていて、なーんかいい加減に作ってるっぽい印象を
私も受けたのですよ。(特にツーバイフォーは
上棟まであっという間で、ありがたみに欠ける)

最近ちょっと静かだけど(他にマスコミの目がいってるから)
一戸建ての欠陥住宅の問題も深刻です。
洗濯もの干すのにベランダに出るのに、命綱が必要なんて
恐ろしい事が実際にあるわけで。

本文中にも書いたけど、建築って人の命を預かってるんだ、
と言う意識をちゃんと持った人しか、仕事して欲しくないですよね。
2006年10月19日
14:24

まじょ
怖い話だ・・・
いろいろと法律的縛りがある上でのことだから、モノ創りに携る人間の良識や常識(すごく曖昧)に任せる意外にはない、むずかしい問題だよね〜〜〜。
装身具を作っていても、同じ問題に行き当たることがあります。
大きくても、小さくても、形ある物を作るというのは同じこと。
いつも真剣勝負でなくっちゃ!と思っています。
2006年10月21日
17:57

かきひよ
>まじょさん
そうそう、モノを作って発信して行くって、すごく
責任重大だよね。それはすごく実感する。

情報もある意味人を殺しますよねー。
殺さなくても、間違った情報が、人の運命を狂わせたり
といったことはよくあること。
マスメディアも人の命を預かってると言えるのかもなぁ。

会社では、テレビ番組のサイトを作っているのですが、
時間を5分間違っても大変な事になってしまう。
毎日真剣勝負です。


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