週末に、府中市美術館に、ノーマン・ロックウェル展を見に行ってきました。
例えばこんな風に、ポスターのイラストには、家出少年とカフェで話し込む警官が登場しますが、この画の横には、リヴォーリのこんな写真が並べられていました。事故にあって運ばれる母を見つめる少年を「大丈夫」と励ます警官です。
ロックウェルの絵は、アメリカを体現してるとも、どこにも存在しない夢の中のアメリカ社会を描いているとも言われているそうですが、ロックウェルの描いた50年代〜70年代の「古き良き時代のアメリカ」と、リヴァーリの切り取った現代のアメリカ。
そこには、全く隔たりなど感じられません。
ロックウェル自身は「どこにも存在しないアメリカ」という批判に対して、「誰も気づかなかったアメリカを描いている」と言っていたそうですが
絵にしろ写真にしろ、テクニックも大切ですが
どこをどう切り取るか
何をどう描くか
それが何より大切なのに違いありません。
晩年には、社会的な作品も多く残しているロックウェルですが、彼の絵が、それ一色に染まってしまったら、アメリカ社会は、なんと夢のない社会になってしまったでしょう。
彼のユーモアあふれる絵が飾られた表紙を見るたびに、アメリカ国民は、ささやかながらも、きっと自分たちの幸せを、実感できたに違いありません。
ところで、ロックウェルは、ニューヨーク出身ですが、夏休みを田舎で過ごして、牧歌的な風景に心奪われ、画家になる決心をしたそうです。
彼は都会よりは田舎を好んだのだそうです。
このくだりを読んで、生涯故郷から離れることなく、すばらしい作品を書き続けた、アメリカを代表する画家・アンドリュー・ワイエスを思い出したりしたのでした。
自然は偉大ですね。
上/ピカソやレンブラント、ゴッホなどの自画像も混ざってるところがステキ。
下/上部手前の文字が、ガラスに書いてあると瞬時に分かってしまうのがすごすぎる!!
ところで、彼の作品にしばしば登場するコロタイプ、というのが、いまだによく意味がわかっていません。写真を使った印刷技術のようですが、元は油彩なのでしょうか?
彼の作品は、ほとんどが油彩と版画(シルクスクリーン??)で、油彩と言うのが、とっても意外な感じでした。
コロタイプ [collotype]
平版印刷の一種。厚いガラス板に塗布したゼラチン感光層を版画とした写真印刷法。写真・絵画などの精巧な複製に適するが、大量印刷には適さない。玻璃(はり)版。アートタイプ。
ノーマン・ロックウェル オールディーズ、その愛しき素顔たち
ノーマン・ロックウェルは、アメリカで最もよく売れた雑誌「サタデー・イブニング・ポスト」の表紙を、47年間もの間、毎週のように描き続け、大変な人気とともに「アメリカに愛された国民的イラストレーター」と評されています。
ロックウェルは、物語や表紙のイラストに、徹底した制作態度でのぞみました。
制作の一例を紹介すると、まずモデルを使い、ラフデデッサンを行う。たくさん写真を撮り、再び木炭によるデッサンを行う。
これに彩色すれば仕上がる。が、しかし、突如作品が写真に縛られているように感じると、締切間際の苛立ちの中でも、妥協することなく、下絵とは全く違った構図の作品を一気に完成させたことも、しばしばありました。
彼のマンガのように誇張されたユーモラスな作品は、徹底した下絵づくりと最終的に彼の柔らかなイマジネーションによって、どの絵にも独特の「おかしみ」と「やさしさ」がたたみ込まれていったのでした。
貧しくとも心やさしいアメリカ国民の実生活を、あらためて写真で切りとったカメラマン、ケヴィン・リヴォーリの写真作品も交えて展示いたします。カメラマン、リヴォーリが追ったロックウェルの世界もこの展覧会の見どころの一つとなっています。
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【展覧会】ノーマン・ロックウェル展 オールディーズ、その愛しき素顔たち
【展覧会】創刊30周年記念 月刊日本橋展
日本橋店 3F ギャラリー
2010年3月19日(金)〜3月24日(水)
9:30〜20:30 (※最終日は17時閉場)
<入場無料>
月刊日本橋を彩ってきた、永井保さん、小川幸治さんの原画を展示していました。
ネコの絵がかわいくて、手ぬぐいを買ってしまいました。昔の日本橋の雰囲気なども味わえて、楽しい展示でした。
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2010年3月19日(金)〜3月24日(水)
9:30〜20:30 (※最終日は17時閉場)
<入場無料>
月刊日本橋を彩ってきた、永井保さん、小川幸治さんの原画を展示していました。
ネコの絵がかわいくて、手ぬぐいを買ってしまいました。昔の日本橋の雰囲気なども味わえて、楽しい展示でした。
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【映画】『海の上のピアニスト』
今回の3本は、コメディと、コメディタッチのサスペンスと笑えるものが続いたので、最後にヒューマンドラマを。
これは感動作ですね。
主人公が、ひらりと帽子を海に投げるシーンが、なんとも印象的です。
登場人物が、みんないいのです。主人公も、友達のトランペッターも、楽器屋のおやじも、主人公の父も・・・・
友達が、主人公を探して必死になる姿
そして
「人は、物語をかたって、それを聞いてくれる人がいるなら、悪くない人生だ」
と言う(ような意味の)言葉・・・
映画を見て、いろんな風に感じる人がいるだろうし、どう感じるかは人それぞれだけれど、この主人公は幸せだし、きっと満足だったんだと思う。
少し前の自分だったら、もう少し感傷的な想いで、このラストを受け入れたんだろうなと言う気がする。
この映画を見て、少し前に、ただ受け身で見ていればいいテレビと違って、ネットは、常に選択を迫られているので、(次をクリックしなければ、先を見ることはできないので、そこに「クリックする」「しない」という選択肢が生まれる)非常に疲れるらしい、という記事を読んだのを思い出した。
自由に選択できるということは、実はとってもしんどいことなのかもしれない。
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【映画】『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
きっとこの映画のタイトルは一生覚えられそうにないと思う。
だけど、本当に面白い映画だった。面白くて痛快でおしゃれで・・・
人がたっくさん死ぬのに、全然悲壮感も気持ち悪さもないのがいい。・・・・けれど、それだけに、子供の教育上はよろしくないかも?
まぁある意味、教訓的なものもこじつければ出てくるわけですが。
大人が楽しむ映画ですね。
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【映画】『マルコヴィッチの穴』
最近、ずっと元気でハッピーだった私なのですが、ちょっと、どどーんと落ち込むことがあって、笑える映画が見たくて。
爆笑すると言うような映画じゃないけど、最初から最後まで面白かったです。
特に、マルコヴィッチ自身が入った時が最高。
キャメロン・ディアスはかわいいなぁ。
写真だとイマイチきれいだとは思わないんですが、動いてると、本当にチャーミングですね。
ちょっと不思議の国のアリスを思い出したんですが、予告編見たら、アリスをしのぐ想像力とか書いてて、笑ってしまった。
確かに!
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【映画】『カッコーの巣の上で』
この週末は、土日とも出かける予定があったのですが、どうしても映画が見たくて、金・土・日と夜に三本見ることに。
『ショコラ』がラブロマンス、『ユージュアル・サスペクツ』がサスペンスなので、残り一本は、ヒューマンドラマか、社会派ドラマをということで、アメリカンニューシネマを代表する名作を選んでみました。
カッコーの巣と言うのは、精神病院の蔑称なのだそうですね。
ジャック・ニコルソン、いいですねぇ。決してイケメンではないのですが、チャーミング。
彼が病院内の空気を変えていこうとする様子は痛快で、その中から、彼と心を通わすビリーやチーフとの友情もとても素晴らしい。
しかし、まさかこういう結末だとは思いませんでした。書評にも「切望的な最後だけど、なぜか希望が持てる」と書かれているものが多いですね。
この映画を見て、ますます昨日の『ショコラ』はおどぎ話だったな、と思ったのでした。新しくい入り込んだ者が、元からあった決まりを変えようとするのは、そんなに簡単なことではないのでしょうね。
見てから数日は、ちょっとしばらく気分が下がってしまいました。それでも、いい映画だと思います。
一番下にネタばれが続きます。
映画を見た方だけどうぞ。
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【映画】『ショコラ』
さて、デップさまです。
『スウィーニー・トッド』は、どうしても好きになれなかったので、お口直しにと選んだこの映画。
大正解!!
まず、しょっぱなから、村の映像の美しいこと!!赤いマントを着たヴィアンヌ母娘の姿。ヴィアンヌの作り出すショコラはキラキラとまばゆいばかりです。
その美しい村になじむよう、ヴィアンヌは奮闘。しかし、それをはばむレノ伯爵。
ヴィアンヌの自由な精神の象徴がショコラ。
レノ伯爵が憎む堕落への誘惑の象徴もショコラ。
その勝利はいかに?
我らがデップさまは、今回登場自体は少ないのですが、実に印象的で、カッコよすぎます!!
代々伝わる秘薬としてのチョコレートを、旅をしながら、え続けるヴィアンヌ。彼女も自由ですが、行った先の町では、きちんと店を出し、町に溶けもうとします。けれど、さらに自由な流浪民のルーは、家すら持とうとしないのです。
デップさまは、こうしたアウトローを演じても、なんだか気品があるのですよね。
そうそう、ヴィアンヌは、赤が好きなようで、唇もハイヒールも赤。赤いニットやストールなどもよく身につけています。何より、ヴィアンヌが母と旅したときも、今、娘のアヌークと旅する時にも身につけるマント。
その赤は、チョコレートに入れるチリペッパーの色を、表現してるのかなぁ?と思いました。
この物語の舞台はフランス。フランス国旗の色は、青が自由、白が平等、赤が博愛(友愛)を象徴しているそうですね。誰にもやさしく手を差し伸べるヴィアンヌには赤が似合います。
ジュリエット・ビノシュはまさにはまり役。彼女以外にこの役をやる人を、想像できません。それと、アルマンド役のジュディ・デンチが圧巻。
宝石のようにきらきらした、幸せになれる映画でした。
デップさま画像がいっぱい
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【映画】『ユージュアル・サスペクツ』
今回見るまで、全く知らなかった映画ですが、アカデミー脚本賞を受賞してるんですね。さすが、練り込まれた脚本。うまいです。ええっと驚く結末かと思いきや、さらにそこから、大どんでん返しが待っている。
それも、はっきりと結末を言葉では知らせず、刑事の目線と、登場人物の歩き方だけで、そうと知らせている・・・・すごい。
語り部のケヴィン・スペイシーが素晴らしい。夫は、ベニチオ・デル・トロがお気に入りだそうで、調べてみたら、彼はチェ・ゲバラの映画にも出てるんですね(コレも縁?)。今度見てみなくちゃ。
そうそう、この映画も『ガタカ』も夫のお勧めでした。彼は、イーサン・ホークが素晴らしいと言い、私はジュード・ロウにときめいてましたwwどちらも、彼が薦めてくれなければ、私は自分では、選ばない映画かもしれませんww
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【映画】『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
コメディ映画かと思いきや、かなりグロい部分もあって、R-15指定は当然。
ジョニー・デップはこの映画で初めて歌ったそうですが、さすがもとはバンドマンだけあって、かっこいいです。
特に街にさまよい出て、お客(餌食)を探すシーンの迫力はすごい。
・・・・この先ちょっとネタばれです。
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【映画】『バタフライ・エフェクト』
これはだいぶ前に見た映画なのですが・・・かなり好きな映画なので、レビューを残してみます。
愛する人が自分のせいで不幸になってしまったら・・・自分はその人のために何ができるだろうか。主人公は、とある特殊な能力を使って、彼女を救うことを試みます。
何度も何度も試みた結果、誰かが不幸になる。そしてついに、主人公の下した決断とは・・・
ラストが本当に切なくて・・・・
それにしても、よくできた映画です。素晴らしいです。
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