【展覧会】ノーマン・ロックウェル展 オールディーズ、その愛しき素顔たち

100618_1781442.jpg週末に、府中市美術館に、ノーマン・ロックウェル展を見に行ってきました。


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例えばこんな風に、ポスターのイラストには、家出少年とカフェで話し込む警官が登場しますが、この画の横には、リヴォーリのこんな写真が並べられていました。事故にあって運ばれる母を見つめる少年を「大丈夫」と励ます警官です。

ロックウェルの絵は、アメリカを体現してるとも、どこにも存在しない夢の中のアメリカ社会を描いているとも言われているそうですが、ロックウェルの描いた50年代〜70年代の「古き良き時代のアメリカ」と、リヴァーリの切り取った現代のアメリカ。
そこには、全く隔たりなど感じられません。

ロックウェル自身は「どこにも存在しないアメリカ」という批判に対して、「誰も気づかなかったアメリカを描いている」と言っていたそうですが

絵にしろ写真にしろ、テクニックも大切ですが
どこをどう切り取るか
何をどう描くか
それが何より大切なのに違いありません。

晩年には、社会的な作品も多く残しているロックウェルですが、彼の絵が、それ一色に染まってしまったら、アメリカ社会は、なんと夢のない社会になってしまったでしょう。

彼のユーモアあふれる絵が飾られた表紙を見るたびに、アメリカ国民は、ささやかながらも、きっと自分たちの幸せを、実感できたに違いありません。

ところで、ロックウェルは、ニューヨーク出身ですが、夏休みを田舎で過ごして、牧歌的な風景に心奪われ、画家になる決心をしたそうです。
彼は都会よりは田舎を好んだのだそうです。

このくだりを読んで、生涯故郷から離れることなく、すばらしい作品を書き続けた、アメリカを代表する画家・アンドリュー・ワイエスを思い出したりしたのでした。
自然は偉大ですね。


100618_1781445.jpg100618_1781446.jpg上/ピカソやレンブラント、ゴッホなどの自画像も混ざってるところがステキ。

下/上部手前の文字が、ガラスに書いてあると瞬時に分かってしまうのがすごすぎる!!

ところで、彼の作品にしばしば登場するコロタイプ、というのが、いまだによく意味がわかっていません。写真を使った印刷技術のようですが、元は油彩なのでしょうか?
彼の作品は、ほとんどが油彩と版画(シルクスクリーン??)で、油彩と言うのが、とっても意外な感じでした。


コロタイプ [collotype]
平版印刷の一種。厚いガラス板に塗布したゼラチン感光層を版画とした写真印刷法。写真・絵画などの精巧な複製に適するが、大量印刷には適さない。玻璃(はり)版。アートタイプ。


ノーマン・ロックウェル オールディーズ、その愛しき素顔たち

ノーマン・ロックウェルは、アメリカで最もよく売れた雑誌「サタデー・イブニング・ポスト」の表紙を、47年間もの間、毎週のように描き続け、大変な人気とともに「アメリカに愛された国民的イラストレーター」と評されています。

ロックウェルは、物語や表紙のイラストに、徹底した制作態度でのぞみました。

制作の一例を紹介すると、まずモデルを使い、ラフデデッサンを行う。たくさん写真を撮り、再び木炭によるデッサンを行う。
これに彩色すれば仕上がる。が、しかし、突如作品が写真に縛られているように感じると、締切間際の苛立ちの中でも、妥協することなく、下絵とは全く違った構図の作品を一気に完成させたことも、しばしばありました。

彼のマンガのように誇張されたユーモラスな作品は、徹底した下絵づくりと最終的に彼の柔らかなイマジネーションによって、どの絵にも独特の「おかしみ」と「やさしさ」がたたみ込まれていったのでした。

貧しくとも心やさしいアメリカ国民の実生活を、あらためて写真で切りとったカメラマン、ケヴィン・リヴォーリの写真作品も交えて展示いたします。カメラマン、リヴォーリが追ったロックウェルの世界もこの展覧会の見どころの一つとなっています。


              


1950〜70年代、オールディーズ、古き佳き時代のアメリカ。
その日常生活にあふれるユーモラスな情景を描きとめたノーマン・ロックウェルは、アメリカで最も有名な画家の一人です。
今展覧会は、平成21年6月から、アメリカのフロリダ州やテキサス州など4会場で開催され、大変な人気を集めた展覧会の日本巡回となります。
初期の貴重な油彩作品を含む35点と併せて、報道写真家ケヴィン・リヴォーリによるアメリカの日常写真35点を展示公開します。


府中市美術館

会期:5月19日(水曜日)から7月11日(日曜日)

時間:午前10時から午後5時まで   (入場は午後4時半までです。)

休館日:月曜日

主催:府中市美術館、産経新聞社

後援:アメリカ大使館

協賛:京王電鉄グループ、京王電鉄バスグループ

協力:日本航空、津田塾大学

企画協力:アプトインターナショナル

観覧料:一般600円(480円)
    高校生・大学生300円(240円)
    小学生・中学生150円(120円)
    ※()内は、20人以上の団体料金。
    ※未就学児及び障害者手帳等をお持ちの方は無料。
    ※府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」
     で無料観覧できます。
    ※常設展もご覧いただけます。

交通:電車をご利用の場合

京王線府中駅から
ちゅうバス(多磨町行き)「府中市美術館」(1)下車すぐ 
  8番乗り場から、8時から毎時30分間隔で運行。運賃100円
武蔵小金井駅行きバス(一本木経由)「天神町二丁目」(2)下車すぐ
武蔵小金井駅行バス(学園通り経由)「天神町幼稚園前」(3)下車
徒歩5分

京王線東府中駅北口から
徒歩15分
ちゅうバス(府中駅行き)「府中市美術館」(1)下車すぐ 
  8時5分から毎時30分間隔で運行。運賃100円

JR中央線武蔵小金井駅からバス
京王線府中駅行き(一本木経由)バス「一本木」(4)下車すぐ
京王線府中駅行き(学園通り経由)バス「天神町幼稚園前」(5)下車
徒歩5分


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