わたしの宝物 その1

040312zakka.jpg自分にとっての宝物ってなんだろう。先日、ふとそんなことを思いました。そんなときに、目に留まったのが、オーディオセットの上に飾られてる小さな額縁たち。これらはみんな、大切な人からもらった、大切なものたちばかり。落ち込んだとき、未来に悲観的になったときに、わたしに元気と勇気を与えてくれます。


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中央の絵は、わたしの最初の植物画の先生の作品です。とはいえ、この先生はもともと、植物画家ではなく、風景を主とした水彩画家なのでした。女性で美術の教師でありながら、教頭先生にまでなられた方で、わたしがこの先生に師事したのは、一年に満たない短い間でしたが、人格者というのにふさわしい、素晴らしい先生でした。この先生との出会いがなかったら、今のわたしはなかったと思います。本当に心からそう思えるほど、この先生との出会いは、わたしにとって、とても大切なものでした。

「絵はね、上手に描かなくていいんですよ。自分らしく描く事、それが一番大事なんです」その言葉は、挫折続きだったわたしを、どれほど救ってくれる言葉だったでしょう。「植物画は、実物どおりに描かなくてはいけませんが、でも同じ青でも同じ赤でも、人によって感じ方は違います。バラがユリに見えたり、菊がツバキに見えなければ、それでいいんです」今思うと、植物画としては、かなりアバウトな教え方だったかも(笑)

とにかく、褒め上手な先生で、デッサンが狂ってれば「いい色が出てますねぇ」色がにごってれば「この花の形はいいですねぇ」すべてがおかしくても「あなたらしさが出てますねぇ」必ず、どこかを褒めてくださいました。でもだからといって、みんなが頓珍漢な絵を描いてたわけではなく、どの人も本当に、どんどん上達して行きました。そして、何よりもみんな、絵を描くことを本当に楽しんでいました。

そんな矢先、関東への引越しが決まったときに、先生が下さったのがこの絵。赤い額に、きちんと入れてくださいました。今思うと、それほど上手でもなかったわたしなのですが、「いつか銀座で個展ができるようになりますよ、あなたなら」そんな風におっしゃってくださいました。どこまで先生が、わたしを評価してくださっていたのかはわかりませんが、その言葉は、今も励みになっています。


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